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🇨🇳#5 敦煌の砂漠でキャラバンリーダーになる
今朝は出発前、ホテルの部屋でコーヒーを淹れて仕事をした。
当たり前にお風呂に入れて、コーヒーが飲めて、バッテリー残量に怯えない日常が、いかに尊いものであったか、出発3日目にして噛み締めている。
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世界遺産の敦煌莫高窟へ
10:30、タクシーで敦煌莫高窟にやって来た。
チケット代は238元(4760円)、プラス20元(400円)で日本語ガイドが付くという。
ハロウィンで仮装し、ブラックフライデーはAmazonで爆買いし、クリスマスを祝う日本人が、こんなに辺鄙な場所にある仏教の聖地に、数多く訪れているということだろうか。
にわかに信じがたい話ではあるが、これはやはり、井上靖の名著『敦煌』の貢献というのが大きいのだろう。
そして、もしあなたが今敦煌に興味を持ち、キーワード検索でこのページにたどり着いたのなら、こんな駄文を読むのに時間を費やさず、一刻も早く『敦煌』を読むことをおすすめしたい。
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話を莫高窟に戻そう。
莫高窟は、世界遺産に指定されている中国三大石窟の一つだ。
現存する735の石窟のうち、492に壁画が確認されている。
また、壁画以外にも仏塑像、大仏、仏具などがあり、極めて良い状態で保存されている。
しかもこれらが、4から14世紀まで、実に1000年もの間、コツコツと作られたというのだ。
ワンピースをすでに1111話(24年4/7現在)描きあげた尾田栄一郎先生も立派だが、千年、志を繋いでいくことは容易ではない。
わたしは一代あとの娘にも、自分の思いが伝えられていないのだから…。
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ガイドを担当してくれたのは、日本に留学経験があるという孟さん。
母語で説明するのも困難な内容を、細部まで丁寧に解説してくれた。
石窟内部は写真撮影が禁止なため、見せられなくて残念だが、壁画は息を呑む繊細美だ。
唐代のラピスラズリや孔雀石を使った鉱物顔料の色彩が今なお鮮やかなのも、奇跡に近い。
わたしが子どもの頃、庭に埋めまくった宝の地図も、いつかの未来人たちをこうして驚愕させるのかもしれない。
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石窟の周辺は、荒涼な大地、峻険な岩山、砂漠と、大規模な芸術作品を作り上げるには命懸けの環境である。
きっと、奈良の大仏と同じで、制作中に多くの人が命を落としたのだろう。
「信仰」の力を感じた。
あまりに感動して、帰り際土産屋によって数百ページある莫高窟の写真集を購入し、上海の友人サアヤに送り付けた。
発送手続きを終えてから、無名の舞台俳優を推している日本の友人が、毎年その俳優のポスターとカレンダーをわたしにくれて困っていることを思い出した。
以降、感動の押し売りには気をつけようと思う。
中国のラビオリを食す
市内に戻って食事をとったのは2時だった。
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めちゃめちゃおいしい…。
クレープのように薄く焼いた小麦粉の皮を、切ってから具材の上に乗せて軽く(蒸すように)煮て作るそうだ。
味付けは醤油ベースだが、滑らかな舌触りのラビオリのようでもある。
おばさんもまさかこのサイズを一人で平らげるとは思わなかったのか、出る時に顔を二度見された。
キャラバンリーダーに就任
その後、鳴沙山&月牙泉へ。
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観光地の追加オプションだけにはカネを払わないと決めていたが、ホンモノの砂漠を前にしてわたしは考えを改めた。
いや、こんなん絶対自分で歩けないっしょ…。
仕方なく、わたしは100元(2000円)でラクダに乗る道を選んだのだ。
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乗馬ならぬ乗ラクダの説明は一切なく、ラクダはわたしを乗せた途端にいきなり歩き出した。
そしてその後、40分間に渡って降りることは許されないのだ。
そもそも、扱い方を教わっていないので、自分一人では降りようがないのである。
ところで、あまりに唐突な出発だったため、わたしは自分の尻のポジションを間違えて乗ってしまった。
どうにかバランスを直したいが、わたしはなぜか(たまたま)五人の部隊を率いるキャラバンリーダーになってしまったのである。
下手に動いて乗っているラクダを刺激したら、紐で繋がれた後ろのラクダたち、ひいてはメンバーにも迷惑がかかる。
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そして、本日の敦煌は強風。
容赦なく砂塵が先頭を行くわたしの顔面に降りかかる。
けつポジおかしい、顔に砂、砂、強風
けつポジおかしい、顔に砂、砂、強風
の無限地獄である。
その後、けつポジを直せぬままなんとかリーダーを務め上げたわたしには、ご褒美の絶景が待っていた。
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時に厳しく、多様な美しい顔を持つ敦煌の街よ、忘れられない景色をありがとう。
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まもなくラーメンの街、蘭州に到着。
つづく
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現在の総移動距離 約8400km
現在の33地域クリア率 33分の3
降り立った都市 6
①上海②新疆ウイグル自治区(カシュガル/ウルムチ/トルファン)③甘粛(敦煌/蘭州)
飛行機 2回
新幹線 0回
寝台列車 2回
普通列車 0回
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