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日記 5月25日 自分のためと、一緒にいきてくれている人々と、これからも一緒に生きるために

引つづき
愛なき時代に生きてるわけじゃない
を実感した日のこと。

いよいよパジャマにも着替えて
そしたらやっぱり、
やっと病人の自覚がでてきた

荷物を出したり、Wi-Fiをつないだり
いろいろしてるうちに、回診の時間になり
知らない女性のドクターがきて

わたしはこんにちは、っていったけど
その人はこんにちはって言わなかったし
知らない人なのに、名前も言わずにいきなり
明日手術ですね、かわりないですか
って、

知らない人なのに・・・
っておもいながら、一応
はい、かわりないです
といったら、だまってすぐ出ていこうとしたので
あの、お名前は
ときいたら、ちょっとムッとしたみたいな顔して
ナントカです、っていってた

知らない人やからしょうがないで。
名前いわんほうがへんやで。

って自己内で話した。

それから、1階におりた
ノースなんとかっていうレストランがあるから
そこに入ったら、すぐに
待ち合わせてたRくんとにいちゃんがきてくれた

ご飯は、わたしのは18時から病棟で出るのと
ふたりは、せっかく札幌なんだから
あとで美味しいもの食べた方がいいでーってなって
そのレストランでは
飲み物とかあまいものとかだけ
食べることにした

わたしはクリームあんみつ
お兄ちゃんはソーダフロート
Rくんはレモンスカッシュ

さんにんですわって、おしゃべりしながらあまいものをたべた
なぜ、わざわざレストランでしゃべるかっていうと
病室での面談は30分と決まってて
だけど手術前日
心細いしできるだけ一緒にいたかったから
ごはんの時間までここでおしゃべりしてから
一緒に上にあがろうという作戦にしたわけ

おしゃべりしてたら18時がきたので
いっしょに10階にあがった
みんなで、マスクをして

ナースステーションで、名前と時間と続柄と、体温をかいて
それから、ぼくの新居にきてもらったわけ
食堂車みたいだけど、りっぱなところ
ぼくが、これからしばらくくらすところ

お兄ちゃんとRくんは、
頼んだもの、全部持ってきてくれてた
アイパッドつけられるアームも、お水のめるストローも
コーヒーも、なんやかんや全部

ぼくのごはんは少なかった
きっとあした、手術だからなんだろう
照り焼きみたいなちいさい鶏肉(みょうにおいしかった)
食堂車みたいなとこににいちゃんとRくんが向かい合わせに座って
わたしはベッドに三角座りしてごはんたべてた

そしたら
とんとん、ってノックのおとがして
看護師さんかと思ってたべながら返事したら
主治医のせんせいだった

来られないってきいてたから、びっくりして
嬉しくなって、わー先生!って
わたし、アイドルにするみたいに手を振ってしまった
きてくださったんですね
ってわたし、兄とRくんを紹介した(Rくんは二度目なのでしってる)
「明日がんばろうね」って先生、言ってくれたと思うけど
わたしなんか、うれしくてそわそわして、あんまり集中してなくて
なに言ってたか、わすれちゃった
先生、一分もいなかったと思うけど
なんかやけに
わーよかった、と思って
手をのばしたらかるく握ってくれた

大事な手術してくれる人のこと
この先生にお願いしたんだって
お兄ちゃんにも紹介したかったから
(それと、先生にも、お兄ちゃんを紹介したかったから)
嬉しかった

手術前日も先生は忙しいんだって、だからこられないって
事前に言われてわかってるから、大丈夫ってかんがえてたけど
サプラーイズって感じできてくれたから
うれしかったよ

それから、おにいちゃんとRくんは
おいしい成吉思汗をたべにいった
時間外の出入り口からふたりを見送って
ひとりで、部屋に戻った

シャワーをして、
気になってたけどなかなか連絡できてなかった人にも連絡して
いろんなやりとりした

愛なき時代に、生きてるわけじゃない

いやむしろ、たいへんなことがあるときに
愛を感じることも、多く起こるのかもしれない

強くなりたい、優しくなりたい、

いまはうけとってばかりだけど
(いまはうけとるときなんだ、きっと)

今から、胸を切られる、右のおっぱいがなくなる手術をする
わきのしたのリンパも全部とって
右手はすこし、しばらく不自由になる

どんなにショックか、どんなに世界が変わるか
いくらかんがえても、はなしをきいても
本当には、わからない
この姿とはおわかれ
健康だったかもしれないけど
健康じゃなかったかもしれない

いきるために、治療をしてもらうんだ
自分と、一緒にいきてくれている人々と
これからも一緒に生きるために

これで、手術前の日記はすべて終了。
3月3日にがん検診をうけて、2ヶ月と3週間くらいが過ぎた

私はいまここにいる、もうすぐ着替えて、先生が迎えにくる
みなさん、ありがとうございました。
手術後に、また日記をはじめます。

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