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点と点を繋ぐと「縁」になる…Ep6  (妹の大出血)

ある始点は
自宅の
2階の子ども部屋

妹と私は
2才違い

2年間一人だった私という点に
もう一つ
点…が繋がった

私の記憶を遡り
何才からの記憶が
あるのかと
問われたら

胎内記憶でなければ

2才半と答える
その所以は…

ある日
母から
2階で昼寝している妹の様子を
見ておいでと言われる

階段を昇り
そっと引き戸を開けると
妹が布団の上に
背中を向けて
ちょこんと
座っている

そっと見ている私の前で
パッと
妹が振り返った

その時の
妹の顔は
真っ赤

赤い顔面の中の
見開いた両目…

血で真っ赤…
…と言うことが
わかった
わかってしまった

私が
叫んだか
泣き出したかしたのだろう

階下から
母が
ドタドタと
急いで上がってきた

母の驚愕
私を押しのけて
妹を抱き上げた

母を見た途端に
妹も
泣き出す

果たして…
顔面からの
出血ではなかった

妹は
母の鏡台から
顔そり用のカミソリを取って
片手で握りこみ
その指先が切れて
出血
その手で
顔全体をぬぐったのだ

顔全体が
大出血したのではなかった

その衝撃的なシーンは
私の人生初の
記憶となった
あの
血まみれの顔の
白い瞳が
私をジッと見つめる
恐ろしい記憶

妹との「縁」は開始された
その途中に
どんなに驚くような出来事が
あったとしても

この始点に
敵う出来事は
今まで
なに一つない