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寓話集

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#夜

夜

 犇めく建築群の、鋼鉄とガラスが軋りあう交響的細胞帯の合間で、ぽっかり口を開けた間抜けな気孔のように、正確な広さもわからない公園が、空にむけて白い息を吐き続けている。頸を立てて見回すと、どの方角をむいても黒ぐろと密生した木々の稜線が視界を上下に分断しており、一か所だけ歯が抜けたあとのような黒い空間に、ホテルの青いネオンが浮かび上がっている。

 ――ここに、いる。

 ふたたび水中に引きずられたよ

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