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【詩】彩り


自分自身だって世界の一部なはずなのに、大切にするのは自分を除いた世界だぞって説く大人がいる、ぼくはそのことが嫌いだ。 
それは透明人間になれって言っているようなもので、しんだほうがいいよって言っているようなもので。その言葉にどれだけ、多くの人が犠牲になってきたか知っているくせに、忠誠心が高ければ高い人ほど守ってしまうのを知っているくせに。みんながみんなだけを大切にすれば一人残らず幸せになれるなら、じさつする人なんて存在しない。化け物に変わってしまう人なんて存在しない。気づいてる、誰しもが気づいてる、なのに気づかないフリしてる。一体いつまで、そうしているつもりなの。
 
呪いの言葉を言う大人はずるい。自分はそれが呪いだとわかった上で、落とすだけ落としてその場から去っていく。神様からのギフトだと勘違いした子どもたちが、大事にそれを守り続ける。守れば守るほど、自分たちは楽になると、大人は知っているんだ。
 
ぼくは、誰一人として、透明になってほしくなかった。透明になれば幸せな世界になると信じてほしくなかった。好きなことと、嫌いなこと、混ざって鮮やかなまま存在することは可能なんだって本当は知るべきだったし、そう教えてほしかった。
 
ぼくも、きみも、あの子も、彩り豊かなまま生きるのだ。
邪魔してくれるな、大人たち。
消してくれるな、この鮮やかな色を。

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