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テキストカラテ:アーカイブ

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過去に旧Twitterで投稿していたニンジャ二次創作をアーカイブ化したものを置いています
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記事一覧

アーカイブ:【ウェアー・ゼアーズ・ニンジャ、ゼアーズ・マッポー】

1.

「アイエエ……」鮮烈な赤に染まった学生服の少女が、悲鳴を漏らしながら這いずる。その前に立ち塞がる影。「ハイ、サヨナラ。俺の勝ちね」その影は市販のマスクで口元を隠し、フードを目深に被っている。残忍な目が少女を見下ろした。「ア……アイエエ!!」

◆◆◆

 
「クータ=サン。クータ=サン!」「ン……」クータは身を起こした。彼は、周囲の視線を浴びている。教壇には厳めしい顔をした教師。「ここ!

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アーカイブ:【ラン・アンド・キル】

1.

「サヨナラ!」ウィーブルは爆発四散した。ニンジャスレイヤーは爆発四散跡を見向きもせず、再びカラテ警戒の態勢をとる。

 彼は目前に聳える高層ビルの屋上部をキッと睨む。そこには二人のニンジャが。彼らはニンジャスレイヤーにアイサツをした。「ドーモ、イアウィッグです」「ドーモ、スティングバグです」アイサツを終えた二人の内、スティングバグが、ニンジャスレイヤーを強く睨み返す。

 彼は憎しみに染

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アーカイブ:【ザ・ベスト・クロス・メイ・ハブ・ア・ミリピード・イン・イット】

1.

「イヤーッ!」「イヤーッ!」闇夜に響くイクサの声。交差する影。「グワーッ!」片方の影が吹き飛び、『たいへん良いです貴方』と書かれた電子看板に身体を埋めた。ZRAM!電流が疾駆する。「グワーッ!」影が電光によって照らされ、金属製のメンポと柿色の装束を見せた。

「お、おのれ……おのれ!」柿色の装束、金属製メンポをつけたその人物は、怒りの色を目に携え、看板から抜け出す。直後、「イヤーッ!」カラ

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アーカイブ:【スシ・イズント・イートゥン・アット・エニィ・タイム】

1.

 重金属酸性雨が降り注ぐ中、通路の端、小さな屋根の下でギターを鳴らす少女。「成果はーなくー」彼女の荒削りな歌声に耳を貸す人は、誰一人としていない。少なくはない通行人たちは、みな、少女の前を無関心に通り過ぎていく。「そのー先にー先に……アー……」

 少女はギターをかき鳴らしながら、口をモゴモゴとさせた。歌詞を忘れたのだろう。「アー……でー……出てたのがー」うろ覚えな歌詞を紡ぐ。通行人は誰も

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アーカイブ:【ヒストリー・リピーツ・ヒムセルフ】

1.

 ギュグン!ギュグン!

 バイオスモトリによる労働力によって、大型のリフトが降下を始める。数十人は搭乗できるであろうこのリフトには今、二人しか搭乗しておらず、どこか寂しい。二人の内の片方……細身の男はどこか落ち着かない様子だ。

 ゴウン、ゴウン、ゴウン……降下音が鈍く鳴る度に、細身の男は身を強張らせるのだった。「緊張しているのか、エフェメラ=サン?」もう一人の、中肉中背の男が聞く。「…

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アーカイブ:【オバケ・オブ・コケシ・ザット・マスト・ダイ】

1.

「なぁアニジャ」臆病そうな小柄の男が、先に歩く長身の男に震える声で言った。長身の男は苛立ちを帯びた声で答える。「なんだよ」「本当にこんなところに、金目のモンあんのかよ」小柄の男は周りを挙動不審気味に見渡しながら、おずおずと聞く。

 彼等が歩くは、薄暗い廃墟である。時折薄汚いネズミが飛び出しては、小柄な男の心臓を跳ね上がらせた。この廃墟は、かつてはショッピングモールであった。しかし、ヤクザ

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