アーカイブ:【ザ・ベスト・クロス・メイ・ハブ・ア・ミリピード・イン・イット】

過去に旧Twitterで投稿・連載していたテキストカラテ(ニンジャスレイヤーの二次創作小説)のログ/アーカイブです。ツイート通し番号と専用ハッシュタグの削除をのぞいて本文に変更点は無く当時のままであり、誤字修正や加筆の類はありません。


1.

「イヤーッ!」「イヤーッ!」闇夜に響くイクサの声。交差する影。「グワーッ!」片方の影が吹き飛び、『たいへん良いです貴方』と書かれた電子看板に身体を埋めた。ZRAM!電流が疾駆する。「グワーッ!」影が電光によって照らされ、金属製のメンポと柿色の装束を見せた。

「お、おのれ……おのれ!」柿色の装束、金属製メンポをつけたその人物は、怒りの色を目に携え、看板から抜け出す。直後、「イヤーッ!」カラテシャウトともに、鋭いカカト落としが!「なに!グワーッ!」彼は頭頂部を打ち付けられ、地に向かって落下し、地面とキスをした。

「ア、アバッ……」男は苦痛に喘ぎながら立ち上がる。そして目を見開いた。タタミ二枚分ほどの距離にイクサの相手が降り立ち、彼に向かって、ゆっくりと歩みを進めたからだ。『海とか……』『アッお得な』……寂れた電子看板が火花を散らしながら、その姿を仄かに照らす。

 何ら変哲もない洋服。ここネオサイタマにおいては、逆に目立ってしまうであろう、そんな普通の服。バチバチ、バチバチ……寂れた電子看板の仄かな光が、その顔を撫でる。秀麗な顔の少女だ。彼女はゆっくりとした足取りで、自らのイクサの相手……ニンジャの元へ向かう。

「バ……バカめ!イヤーッ!」柿色装束のニンジャが不意にクナイ・ダートを投擲!「ニンジャの死因はトドメにあり!ノコノコと余裕を見せたのが貴様の死因というわけよーっ!間違いなく殺した!」ニンジャは勝利を確信し、拳を高々と掲げる!「そうなんですか」 ……冷たい声。

 声の主たる少女は、飛来したクナイ・ダートを掴み、無感情に言う。「ありがとうございます、アーマンド=サン。勉強になりました」アーマンドと呼ばれたニンジャは驚愕した。「な……バカな!」 「イヤーッ!」少女は駆け出し、アーマンドのワン・インチ距離まで到達。

「間違いなく殺せたはずなのに!」アーマンドが喚くが、少女は聞く耳持たず、「イヤーッ!」ヤリめいたキックを放つ!「アバーッ!」アーマンドは顔面を強かに打ちつけられ、吹き飛んだ。メンポが砕け散る。彼は地面をゴロゴロと転がっていった。「アバッ、アバッ……」

「ア、アバッ……畜生……」アーマンドは血反吐を吐きながらブザマに地を這う。「ち、畜生、テメッコラー……ソウカイヤは、テメェ、を、逃さ」「ハイク、詠みますか?」少女はアーマンドの言葉を遮り言った。「……ア……?」「ハイク、詠みますか?よくわからないですけど」 

「なにを言って」「ハイク。最期に。詠みますか?って。意味は、よくわからないんです。ただ、そう言えと……言われた気がしたので」少女はずり落ちたオーバーニーソックスを戻しながらアーマンドの返答を待つ。「アバッ、アバッ……嫌だ……死にたくねぇ……」「そうですか」

 少女は無表情のまま、アーマンドの側まで歩く。地を這いブザマを晒すアーマンドを侮蔑的に見下ろし、そして……「イヤーッ!」頭部を踏み潰す。「サヨナラ!」アーマンドは爆発四散した。少女は服に付着した返り血を暫し見つめた後、表通りのネオン街へと足を運んでいった。

【ザ・ベスト・クロス・メイ・ハブ・ア・ミリピード・イン・イット】

 ……事の発端は、珍しく重金属酸性雨が一時間ほど止んだあの日だ。あの日、少女アケシ・ノノミは、いつもと変わらぬ学校生活を送っていた。屋上に呼ばれ、罵倒を受ける。或いは、暴力を振られる……彼女にとってはチャメシ・インシデントといえる、変わらぬ学校生活を。

 彼女はスクールカーストの最底辺の人間だった。それは彼女の独り言の多さであったり、そのアトモスフィアであったり……そういった理由から、そうなった。ノノミはそれを特に自覚することもなく、またジョック連中による陰惨なムラハチにも、特に何の感情も抱かなかった。

「ノノミ=サン、珍しく止んでるんだからさぁ、屋上こない?空を見ようよ」ノノミのクラスメイト(彼女は名を知らない)であるジョックの一人に誘われ、彼女は屋上へと足を踏み入れた。謂れのない罵倒と暴力を振るわれた。彼女は特に何の感情も抱かなかった。

 ……「ノノミ=サン、そこから飛び降りてみなよ!晴れてるし!」「晴れてるしな!」「涼しいよ!」……彼等は笑い、ノノミへそう言った。彼女は頷き、パラペットを越え、空へと足を踏み出した。彼等は一斉に悲鳴を上げた。ノノミは何の感情も抱いていなかった。

彼等の悲鳴を聞きながら、ノノミは落ちていく。「おかしい人達。飛び降りろと言ったから、私は飛び降りたのに」彼女はそう思いながら、地に迫っていく。「少しだけ、コワイな」ポツリと呟く。コワイ?そんな感情は一切無い。ただ何となく、最期に何か口にしたかった。

 視界に入る光景が、降下するスピードが、鈍化していく。ソーマト・リコールが流れ出す。それは、ひどくボンヤリとしていて、何の想い出なのかも判別できなかった。「こんなものなんだ」ノノミは。目を。閉じた。ソーマト・リコールが止まる。声と共に。聞き慣れない声だった。

 ノノミは鬱陶しそうに目を開く。彼女の視界に、先程までとは全く違う世界が広がっていた。そこは彼女の生まれ育った町だった。一切の色は無い。彼女は声に導かれるようにして、歩く。歩く。やがてノノミは自分が誕生した小汚い病院へと足を踏み入れた。そこに声の主は居た。

 悪臭の立ち込めるなか、「ドーモ……カッカッカ……ヤスデ・ニンジャです」声の主は嗄れた老婆の声で、ノノミにアイサツした。その外見は人間離れしており、数えきれぬほどの脚と、異常に長い胴を持っている。顔は襤褸布めいたメンポに覆われ、よく見えない。 

 ノノミは異形の姿を前にしながらも、無表情のままにアイサツを返す。「ドーモ……あはたは一体?……ニンジャ?」彼女の色のない声に、ヤスデ・ニンジャは答える。「然り。解放だ。私は貴様になり、貴様は私になるのだ。手を差し出せ」言われるがまま、ノノミは手を伸ばす。

 瞬間、視界が切り替わる。元の世界に、現実に。地が迫る。彼女は何の躊躇もなくそこに両の手を突き出した。常人であれば地面との衝突により、骨が突き出すであろう衝撃に、彼女の腕は耐える。ノノミは叫んだ。齢16にして、生まれて初めて、叫んだ。「イヤーッ!」

 反動を活かしスプリング。見事に着地した。彼女は両手を何度も握り、開き……自らの身体を支配する全能感に暫し酔いしれた。屋上部を見上げる。見下ろすジョック連中と目が合う。ノノミは跳躍した。彼女はその跳躍力に少し驚いた。そしてすぐに納得した。 

「ニンジャ。ニンジャになったんだ。私は」ノノミは全身を駆け巡る衝動を、ジョック連中に振るった。特に理由は無い。ただそこに居て、目が合ったからだ。カラテを振るいたかったからだ。「アイエエ!?ニンジャ!?ニンジャナンデ!?」ジョック共の悲鳴が、心地よい。 

 ノノミは逃げ惑う彼等の行く手を阻んだ。そして、使命感のようなものを感じ、それに準じた行動をした。「ドーモ。ミリピードです」アイサツ。使命というよりは、本能か。ミリピード。可笑しな名だ。だがノノミはそれを受け入れた。そして、ジョック共を惨たらしく殺した。 

 アケシ・ノノミは……ミリピードは、眼前に広がるアビ・インフェルノ・ジゴクめいた凄惨な光景を冷たい目で一瞥する。一瞬後、彼女は全能感と高揚感に酔いしれ、体を震わせた。そして、「イヤーッ!」パラペットを飛び越え、学校を出る。ネオサイタマの往来へと、駆ける。

 それからの彼女は、特に行動理念もなく、ネオサイタマを歩いていた。ヨタモノや、ただの通行人などを時折殺害しながら。「さて、どうしましょう。取り敢えず家に帰りましょうか」ミリピードは虚空に向かって話し掛ける。「でも服は変えたほうがいいですよね」

 ミリピードは手頃な服屋を探し、何着か服を拝借した。『誰も文句は言わなかった』。そして彼女は返り血の付いた制服を脱ぎ、他の幾つかの服を拝借品の鞄に詰め込むと、新たな装いでネオサイタマの往来を歩いていった。目的地は、自宅。近いわけでは無いが遠いわけでも無い。

 そう時間はかからないだろう、と考え、自宅へと向かっていたミリピードだったが、到着する頃には太陽はすっかり沈んでいた。道中で少し殺りすぎた。「明日からはもう少し抑えていきましょう。学校で目立っても困るし」彼女は独り言を呟きながら、扉を開ける。

 彼女は無表情のまま、室内を見渡す。そこには無残な死体と成り果てた両親の姿と、その側に立つ、返り血塗れの男。柿色装束に金属製のメンポ。ニンジャだ。ミリピードはため息を吐き「ドーモ、はじめまして。ミリピードです」アイサツ。柿色装束のニンジャもアイサツを返す。

「ドーモ、ミリピード=サン。アーマンドです」アーマンドは肩を怒らせながら、威圧的な声を投げる。その装束にはクロスカタナのエンブレム。ミリピードは何ら物怖じせずに言う。「アーマンド=サン。親類の死亡時の手続きは何をすればいいんでしょう?学校とか、市役所とか」

「何を惚けた事をほざいていやがる、小娘。いいか、テメェは俺らの庭で好き勝手やった。だから目をつけられた。わかるか、エエッ?」アーマンドは首をゴキゴキと鳴らしながら、ミリピードを睨み、言い放つ。「ソウカイヤは、野良ニンジャの横暴を見逃さん」

 ミリピードは無感情な目でアーマンドを見る。「それで。私の両親を殺して。次は何を?」「チャンスをやる。俺に従い、ソウカイヤに入れ。断るのなら、死んでもらう」アーマンドは先程よりも語気を強めて言葉を放った。ミリピードは動じない。「断ります。でも死にませんよ」  

「なに?」アーマンドは片眉を吊り上げた。ミリピードは自らの足にカラテを漲らせ、言う。「せっかくニンジャになったので。私は、好きに生きたいです。あなたが死んでください」

 ……そしてアーマンドとミリピードのイクサが始まった。ミリピードにとって初めてのイクサだ。彼女をソウカイヤに刃向う愚かな小娘と侮ったアーマンドは、イクサに敗れ、死んだ。ミリピードは無傷だった。「案外、楽なんですね」……彼女はまだ知らない。ソウカイヤの力を。  

◆◆◆

 一見すれば、ネオサイタマには有り触れたヤクザ事務所に思える施設。その一室に男が一人。彼は音声通信による会話を交わしていた。「アー、野良ニンジャ……ワカル、ワカル」どこか面倒そうに話す男。彼の紫色のヤクザスーツには、クロスカタナのエンブレムが輝いている。

 黒い染め残しの目立つ金髪を、オールバックにした髪型。その顔の鼻から下は簡易な金属製メンポで覆われているが、声音やメンポで覆われていない部分からは、彼の年齢的若さを感じさせる。「ワカル、ワカル。だが、何故俺が」『アソシエーテ=サン、貴方が一番近いからです』

「ワッザ?俺が一番近い?」アソシエーテと呼ばれた男は訝しんだ。「ギスセライ=サンよぉ、あそこらはアーマンド=サンのテリトリーだろ。奴にやらせろ」『アーマンド=サンは死にましたので貴方に言っています』通信相手、ギスセライは即答した。アソシエーテは息を呑む。  

「マジかよ……いやそれにしても、だ。遠いんだよ俺にとっちゃよ。第一」『貴方いつも文句多いですね。少しは考えなさい。今、殆どのニンジャは、マルノウチ・スゴイタカイビルに出払っている……わかるな?』アソシエーテは押し黙る。『人手不足な。さっさといきやがれ』  

 アソシエーテは何か言おうとしたが、通信は切られてしまった。彼は不快そうに舌打ちし、壁に掛けられた『総会勧誘部門』と威圧的に書かれているショドーを見た。彼やギスセライの所属する部門。狼藉を働く野良ニンジャをスカウトし、ソウカイヤに服従させる部門だ。  

 ギスセライはアソシエーテより上の立場のニンジャだ。出世欲が高く、行く行くは部顧問の座へつこうという野心が見え透いている。現顧問はその肩書きに相応しいカラテ戦士であり、いずれは誉れ高き『シックスゲイツの6人』入りを果たすであろうことは、周知の事実だ。  

 現顧問が『シックスゲイツの6人』入りを果たし、顧問の座が空白になったその時を、ギスセライは今か今かと待っている。彼はアソシエーテやアーマンドなどの下級ニンジャを動かし、彼らの活躍の6割程を自分の功績として報告。順調に出世を重ねていっているようだ。  

((現顧問が『シックスゲイツの6人』入りで顧問の座が空白になったところ、ねぇ。兼任になるんじゃないか、実際……))アソシエーテは出発の準備を整えながら、ギスセライの浅はかな考えを吟味する。((それに、現顧問にはソンケイを感じるが……ギスセライには、な))

 アソシエーテは現顧問の雄姿を想起する。金糸を織り込んだ装束、シャープなメンポ。外見や振る舞いに、アソシエーテはソンケイを感じた。ああ、これが真のヤクザなのだ、と。((……俺もリーゼントにしてみるか?))彼は頭髪を少し弄りながら、事務所を後にした。  

 新品のヤクザモービルに乗り込む。これはアーソンというソウカイヤのニンジャから与えられた物だ。アソシエーテは、彼にもソンケイを感じている。エンジンキーを作動させながら、彼は目を閉じた。(真のヤクザだ。俺のような鉄砲玉でタマ落としかけたレッサーとは違う……)

◆◆◆

 ZAP、ZAP……ミリピードは退屈そうにテレビ画面を見ていた。足元にはこの家の住民であったモノが転がっている。『なんだか暖かい!』ZAP!『ワーワー!スゴーイ!』ZAP!『昨夜のマルノウチ・スゴイタカイビルの爆発はヤクザ抗』ZAP!「……退屈ですね」

 ZAP、ZAP……ミリピードは再び報道番組を見る。『続きまして、ササキ・ノシロウ=サン。イサマ・トウシロ=サン。ユメ・カシビマ=サン。ヤマ・スギモト=サン。ヤマ・リンゴ=サン。フジキド・フユコ=サン。フジキド・トチノキ=サン』「……」彼女は目を細めた。

 再び報道に目を通したのは、その内容に少し惹かれたからだ。マルノウチ・スゴイタカイビルでの爆発。ヤクザ同士の抗争と報道されている。以前までの彼女であれば、それをそのまま聞いていたろう。だがニンジャとなった今では、見えてくるものが違う。「ニンジャ、ですよね」

 ニンジャが関与している可能性。証拠は持ち合わせていない。ニンジャ第六感、といったところか。「でも、アブナイですよね」彼女はアーマンドが何度か口にしていた言葉、『ソウカイヤ』を思い出している。彼はイクサの最中に、ソウカイヤの強大さを何度も説いていた。

 そんな組織が関与している場に、退屈凌ぎで赴くほど、彼女はイディオットではない。「近づかない方がいいですよね」……彼女のこの判断は、実際賢明だった。この日、マルノウチ・スゴイタカイビルの爆発には、実際ソウカイヤが大きく関与していたからだ。それに……。

 ……この事件の裏側で、恐るべきニンジャ殺戮者が誕生していたのだから。マルノウチ・スゴイタカイビルに近づかない方が良い、という判断は、もしかすると彼女の中に融けていったヤスデ・ニンジャのソウルが齎した警鐘だったのかもしれない。兎角、彼女は賢明な判断をした。

 ミリピードはリモコンをテレビ画面に投げつけると、狭い家を出ていった。顔も名前も知らない人物の家でテレビを見るなど、彼女にとって初めてのことであった。「ニンジャだから、好きに生きていける……生きる……」彼女は虚空に向かって喋り続ける……。

2.

 ブロロロ……ヤクザモービルがエンジン音を鳴らしながら走行している。運転席にはニンジャ。染め残しのあるオールバックの金髪。簡易なメンポ。アソシエーテだ。「遠いんだよ……気が滅入っちまうぜ」彼は呟く。車内には彼一人しかいないため、その言葉を聞くものはいない。

「アーマンドの野郎も、連絡ぐらい寄越してから死ねよ……野良ニンジャのワザマエはおろか、名前すらわからん」アソシエーテは苛立ちの色を顔に浮かべながらヤクザモービルを走らせる。取り敢えずは、アーマンドの生体反応が消えた地点へ向かう。そして周辺でインタビュー。

「楽な仕事じゃねぇよなぁ、スカウトってのは……場合によっちゃ殺さねぇといけねぇし……アー……」アソシエーテは溜め息を吐きながら、アクセルを踏み続ける。この新品のヤクザモービルは、彼がソンケイを抱くセンパイの一人、アーソンから与えられたものだ。

 アソシエーテは、そんなヤクザモービルを自分で運転をしているということをモチベーションを上げる燃料にし、疲労の溜まった顔を凛とさせた。ブロロロ……ヤクザモービルは走っていく。

◆◆◆

「イヤーッ!……痛いですか?」ミリピードはエキゾチックモヒカン大男の腹部に出来た裂傷に、手を突っ込みながら問う。無論、この裂傷は彼女のカラテによって切り裂かれた為に出来たものだ。「ア、アババーッ!」「……痛いですか?答えてください」ミリピードはなおも問う。

「アバッ、アババッ!い、痛いです!許して!」エキゾチックモヒカン大男はブザマに泣き叫びながら答える。彼は数刻前の己を恨んだ。治安の悪いこの地域を一人で歩く女子高生をファックしようとした己を。女子高生は、ニンジャだった。「アバッ、ニンジャナンデ……許して」

「痛いんですか。わかりました。イヤーッ!」ミリピードはエキゾチックモヒカン大男の腹部に突っ込んだ己の手を捻り、彼の内臓物を握った。「アババーッ!?」「これは?痛いですか?イヤーッ!」更にそれを引きずり出した。「アババーッ!アババーッ!」ナムアミダブツ!

 エキゾチックモヒカン大男は白眼を剥きながら叫ぶ。痛みが理性を破壊する。彼はただただ叫んだ。「アババーッ!アババーッ!」「……答えてくれませんね」ミリピードは残念そうに言うと、内臓物から手を離した。エキゾチックモヒカン大男は倒れ伏し、そして、事切れた。

「他に誰かいませんか?いますよね。出てきてもいいんですよ?」ミリピードは周囲を見回し、抑揚の無い声で言う。実際、辺りにはエキゾチックモヒカン大男と同じ類のヨタモノ達が潜んでいる。数刻前は、彼らもエキゾチックモヒカン大男と同じ思考を持っていた。

 治安の悪い地域を一人で歩く女子高生。それを彼等が狙わないはずはなかった。エキゾチックモヒカン大男は抜け駆けをしたのだ。ヨタモノ達が口々に文句を言いながら飛び出そうとした瞬間……女子高生は、ニンジャは、そのカラテを振るったのだ。ヨタモノ達は必死で隠れた。

「……」ミリピードは辺りをジッと見つめる。暫くすると、彼女は何処かへと歩いて行った。ニンジャは去った。それでもヨタモノ達は数時間ほど隠れ潜んでいた。

◆◆◆


「アイエエ!ニンジャ!?ニンジャナンデ!?」外回りの営業と思われるサラリマンが叫んだ。目の前には威圧的に立つ……ニンジャ!「ドーモ、アソシエーテです。悪いが、インタビューさせてもらう」彼は懐からチャカ・ガンを取り出し、サラリマンに突きつける。

「この周辺で、不審死が相次いでいる。何か知っているか」「アイエエ知りません!」アソシエーテはチャカ・ガンのトリガーを引き、サラリマンの足元を撃った。「アイエエ!」「本当に何も知らないか?不審な人物を見かけたりしなかったか」「アイエエ……知りません……」  

 再びチャカ・ガンが火を吹いた。今度はサラリマンの顔のすぐ横だ。「アイエエ!!こ、この辺りは人通りが少なくてですね、ヨタモノばっかりでしてね、それで……アッ!そ、そういえば」「なんだ。言ってみろ」アソシエーテはサラリマンに威圧的に問うた。  

「じ、女子高生が!この辺りはハイスクールもなくヨタモノだらけなのに、ひ、一人で歩いていたのを遠目に!」サラリマンは恐怖に顔を歪ませながら答える。アソシエーテはチャカ・ガンを下ろした。「……多分、それだな。女子高生、ねぇ」「どこの制服かはわかりません!」

「成る程。インタビューは終わりだ」アソシエーテは踵を返しヤクザモービルへ向かっていった。「ア、アイエエ……」極度の緊張から解き放たれたサラリマンは糸の切れたジョルリめいて倒れ、しめやかに失禁した。アソシエーテは見向きもせずにヤクザモービルに乗り込む。

 IRC端末に、クローンヤクザを要請する旨のメッセージを伝える。あまり多くは要請できない。彼の金銭的事情と、ギスセライの性格のせいだ。「この辺りをグルッと回るか、それかここで張っておくか……さてどうするか」彼は座席を後ろに倒し寝転ぶと、思考を働かせた。

 件の野良ニンジャについての情報が少ない現状、動き回るのは得策ではないかもしれない。如何程のワザマエなのかさえわかれば良いのだが、今のところ指標がアーマンドを殺したというものだけだ。アーマンドは勧誘部門のニンジャなのだが、どういうわけか然程強くはなかった。

「……クローンヤクザが来るまで待つか」彼はそう結論付けると、座席を起こした。思いの外勢いが強く、彼は少し驚いた。「ダッセ……一人でよかった、ってとこだな」アソシエーテはハンドルにもたれかかり、待機した。メンポを外し、懐から取り出した携行食を口に入れる。

「……俺はこんな所でこんなつまらんことをしていて……俺がスカウトした奴らは今頃スゴイタカイビルで商談の護衛……ハァーッ」アソシエーテは大きく溜め息を吐いた。ボンヤリと景色を見る。何の見所もない、寂れたストリートだ。「……惨めなもんだぜ」

◆◆◆


「イヤーッ!」「アババーッ!」「痛いですか?……あれ」ミリピードはポカンと口を開けた。目前のサイドモヒカンの男が呆気なく死んでしまったからだ。彼女はその死体を蹴り転がした。「身体は大きいのに、あまり丈夫じゃないんですね」そう言うと、彼女はまた歩き出した。

 彼女はヨタヨタとしながら、覚束ない足取りで歩む。身体に異常があるわけではない。演技だ。側から見れば、体調の悪い女子高生が一人で歩いているようにしか見えぬ。そうしていると、ヨタモノが現れる。謂わば釣りだ。ミリピードが嗜虐心を満たしたいが為の釣りなのだ。  

「スミマセン」「……はい?」彼女は声の方へ振り返った。そこに立っていたのは、厳しい顔をした屈強な男。ミリピードは、嗜虐心に身を疼かせながら問う。「どうしましたか?」「ちょっと来てもらえますか」男はドスの効いた声で返す。その目はサングラスに隠れ、見えない。

「わかりました。ついていけばいいんですよね?」ミリピードは聞く。男は何も答えず、彼女に背を向けて歩き出す。彼女は後についていき……やがて薄暗い路地裏へと着いた。男がミリピードの方へ振り返る。ミリピードはカラテを漲らせた。その時、彼女は背後に気配を感じた。

 彼女は振り返った。そこには、厳しい顔をした屈強な男が。その目はサングラスに隠れている。ミリピードは不思議そうにその男を見た後、彼女を誘導した男を見た。二人の男の顔は、瓜二つ。「あれ?双子なんですか?」ミリピードは二人の男を交互に何度も見ながら聞く。

 二人の男は何も答えず、IRC端末を取り出し、機械的に操作した。その動作を終えると、両手を後ろに回し仁王立ち。そして微動だにしなくなった。「……?」ミリピードは彼女の進路と退路を阻むようにして立つ二人の男をまじまじと見る。外見は、ヤクザそのものだ。

「まぁ、いいです。あなた達は、答えてくれるんでしょうか?……イヤーッ!」ミリピードは進路を阻んでいる方のヤクザへと突撃、トビゲリを放つ。瞬間、「「ザッケンナコラー!」」二人のヤクザは恐るべきヤクザスラングと共に、懐から取り出したチャカ・ガンを撃った!

 一秒たりともズレのない、完全に同期したチャカ・ガンの射撃に、ミリピードは怯む。「ンアーッ!?……イ、イヤーッ!」だが彼女のトビゲリの勢いは止まらず、進行方向のヤクザの首を直撃。「グワーッ!」彼の首が吹き飛び、その断面から緑色の血が噴水のように飛び出す。

「……緑?」ミリピードは噴き上げる血をフシギそうに眺める。その血液は、緑色から赤色へと変色していく。「スッゾコラー!」後方のヤクザの銃撃。ミリピードはそれを躱し、そちらへとスプリント。距離を詰め、その顎を蹴り上げた。「イヤーッ!」「グワーッ!」

「痛いですか?」ミリピードは問う。ヤクザは答えず、チャカ・ガンを構える。「イヤーッ!」ミリピードはその腕を蹴り、切断!「グワーッ!」「痛い……ですか?」ヤクザは答えず、素手のカラテで彼女へ攻撃を加えようとした。「イヤーッ!」彼女はヤクザの頭を蹴り上げる。

 ヤクザがよろめきながら仰向けに倒れた。ミリピードはその顔に向けてカカト落とし!「イヤーッ!」「アバーッ!」ヤクザの頭部がトマトめいて破砕!緑色の血液が飛び散り、それらはやがて赤色へと変色していく。「……何なんでしょうか?わかりませんね」

 彼女は知る由もなかった。この双子めいて瓜二つなヤクザ達が、クローンであることを。クローン技術が日本社会の裏で使われていることを。だが彼女が思案する間は、ない。「イヤーッ!」「ンアーッ!?」彼女の肩に深々と突き刺さる……スリケン。血が滲む。

 彼女は苦悶しながらスリケンを引き抜こうとした。しかし襲撃者がそれを許さぬ。新たなスリケンを投擲!「イヤーッ!」「イ、イヤーッ!」ミリピードはそれを辛くも回避。スリケン投擲者の方を見る。既にワン・インチ距離に!「え」「イヤーッ!」「ンアーッ!」

 襲撃者の放った鋭い蹴りが、ミリピードの腹部を直撃。彼女は嘔吐を堪えながら悶絶し、後ずさった。襲撃者を見る。その者は紫色のヤクザスーツに身を包んだ……ニンジャ。ニンジャだ。そのニンジャは威圧的なアイサツをした。「ドーモ、はじめまして。アソシエーテです」

「ンアッ、ゴボ……フゥーッ……ドーモ、アソシエーテ=サン。ミリピードです」彼女もアイサツを返す。アイサツは大事だ。古事記にもそう書いてあることなど彼らは知らぬ。彼らはそれを本能で理解している。「クロスカタナのエンブレム。あなたは、ソウカイヤの……」

「そうだ。俺はソウカイヤのニンジャ……アーマンド=サンとは違うぞ。俺のカラテは奴の上を行く。身をもってわかったろう」アソシエーテは髪の毛を一本弄りなから言う。余裕を見せつけている。一方のミリピードは、多少息は荒くなっているものの、特に怯える様子は無い。

 アソシエーテはパチンと指を鳴らす。新たなクローンヤクザが二人、この路地裏の前後を阻むようにして現れる。「俺はお前をスカウトしにきた。ソウカイヤに入れ、ミリピード=サン」「……断っておきます。せっかくニンジャになったのだから、もう少し楽しみたいですね」

「そうかい。つまり、殺していいという事だな?」アソシエーテがカラテを漲らせた。ミリピードもまた、己の足へカラテを漲らせる。「死にたくは、無いんですよ。命だけは見逃してください。なんでもしますから」「駄目だな」「そうですか。残念です」

 互いに睨み合う。アソシエーテは、眼前の小柄な少女に宿るニンジャソウルの格の大きさを感じ取る。(高位のソウル……だが先のアンブッシュにまるで対応が出来ていなかったところをみるに、この小娘のカラテは大した事は無い。ニンジャとのイクサも慣れておらんはず……)

「イヤーッ!」ミリピードが先に仕掛ける。直進的なトビゲリだ。アソシエーテは彼女の足に手を添え、これを無駄の無い動きで紙一重の回避。「イヤーッ!」その顔に渾身の右ストレート!「ンアーッ!」ミリピードはアッサリと後方へ吹き飛んで行ってしまった。

(弱い。アーマンドはこれに殺られたのか)アソシエーテは訝しんだ。そして油断の無い足取りでミリピードの方へ向かう。彼女は地に仰向けで倒れ、唖然としていたが、「……イヤーッ!」カラテシャウトと共に勢いよく起き上がると、その勢いのままヤリめいたケリ・キック!

「イヤーッ!」この恐るべきケリ・キックに対し、アソシエーテは自らもケリ・キックをぶつける。彼は常人の三倍の脚力を持っている!「アー……うまくいかないものですね」「これがニンジャだ、小娘。ノー・カラテ、ノー・ニンジャ!」彼は受け売りの言葉を叫ぶ。

「なるほど。勉強になりました。イヤーッ!」ミリピードはケリを戻し、クルクルと踊るようにして後退した。アソシエーテは彼女の後方に控えるクローンヤクザに指令する。「撃て」「スッゾコラー!アバーッ!」ナムサン!何が起きたのか!クローンヤクザの額には……クナイ!

 読者の中にニンジャ動体視力をお持ちの方はおられるだろうか?その方には見えたはずだ。クローンヤクザが射撃を行う寸前、ミリピードがクナイ・ダートを精製、投擲した瞬間を!「……あ。出ました」ミリピードはポツリと呟く。「チッ……さすがにY-10だと反応が鈍いか」

 アソシエーテは不満気に言う。彼の金銭的事情の関係上、Y-10しか要請することが出来なかった。最新型であるY-11ならば、先の場面で死にはしても、反応の速さから、射撃は出来ていただろう。実際ミリピードのクナイ投擲は、アソシエーテから見れば遅すぎた。

「なるほど、なるほど。こうやって……イヤーッ!」ミリピードは立ち止まり、アソシエーテへ向かってクナイ・ダートを二本投擲した。「イヤーッ!」アソシエーテはこれを軽く躱す。そこに更にクナイ・ダート。今度は四本だ!彼は決断的な眼を、飛来するクナイに向ける!

「イヤーッ!」彼は両手を目前に突き出した。すると、その両手に炎が!すわ、人体の自然発火か?否!これはカトン・ジツ!飛来したクナイ・ダートはあっと言う間に焼き溶けた。「え……なんですか、それ」ミリピードは不思議そうに尋ねる。「『何でも使え』…….ってな!」

 彼は常人の三倍の脚力にカラテを漲らせ、呆気にとられるミリピードへ全力スプリント!ハヤイ!「イヤーッ!」「イヤーッ!」ミリピードはバックフリップで回避!「イヤーッ!」「ンアーッ!」だが空中の彼女の背に、アソシエーテが投擲したスリケンが直撃!彼女は墜落した。

「お前のような小娘がソウカイヤから逃れられるとでも?」アソシエーテが威圧的に言う。それに対し、ミリピードは変わらぬ口調で答える。「……わからないので、試してみようかと思っているんです。見逃していただけると大変ありがたいのですが」「駄目だな」「そうですか」

 するとミリピードは、徐に服のボタンを外し始めた。アソシエーテは眉をひそめる。「私、女子高生です」「……それで?」「若いですよ?」「……」「お好きにしてもらっていいです。ですから命だけは」「悪いがお前のようなガキは趣味じゃないんでな」「そうですか」

 アソシエーテは懐に手を入れ、スリケンを取り出そうとした。だが、既にストックが無くなってしまっていることに気づき、舌打ちした。そしてチャカ・ガンを取り出す。「ハイクを詠め、ミリピード=サン。終わりだよ」「……『何でも使え』……」ミリピードがボソリと呟く。

「ア?」アソシエーテは怪訝そうに言葉を吐いた。刹那、「イヤーッ!」ミリピードが上着を脱ぎ捨てながら突撃!「イィヤヤヤヤーッ!!」目にも留まらぬハヤイさでケリを放ったのだ!ゴウランガ!残像が幾つも残り、まるで千本の足があるような錯覚!「ヌゥーッ!?」

 アソシエーテはこれをいなしていく。軽いカラテだ。「虚仮威しが!」彼はチャカ・ガンを投げ捨て、カトンを纏わせた手で殴りに行こうとする!すると、ミリピードはケリを止めぬままに、両手をアソシエーテに向けた。「イヤーッ!」そこから放たれたのは……ニオイ・ジツ!

「グワーッ!?」アソシエーテは怯んだ。メンポの呼吸孔にニオイ・ジツによる臭気が入り込んだのだ!ミリピードはケリを止め、「これ、使うと服や身体に暫く匂いが付いてしまうので使うのが嫌だったんですよね。では、アソシエーテ=サン。オタッシャデー」と言い残すと。

 踵を返し、ネオサイタマの闇へと駆けて行った。「ゴホーッ……おい、お前!追え!追うんだよ!」アソシエーテは、彼の後方で依然として仁王立ちするY-10型クローンヤクザに指令する。クローンヤクザがそちらへ走っていくのを見届けると、彼はIRC端末を取り出した。  

「アー……畜生、畜生」アソシエーテはメンポを取り外し、鼻をつまみながらスカウト部門のチャットルームへ、失敗の旨を伝えるメッセージを飛ばした。彼は給与査定を案じながら、去っていく瞬間のミリピードのしたり顔を想起する。「畜生……いつか必ず痛い目見せてやるぞ」  

 怒りや疲れの混じった複雑な表情で、アソシエーテはネオサイタマの夜闇に浮かぶドクロめいた月を見上げる。程なくして、クローンヤクザの断末魔が彼の耳を揺らした。だが彼はそちらへは向かわず、ヤクザモービルに乗り込むと、自らのテリトリーへと帰っていったのだった。

◆◆◆


「イヤーッ!」「アイエエ!」小柄な少女が、浮浪者の持つタッパーを奪い取る。哀れな浮浪者は失禁しながら、這うようにして彼女の元から逃げていく。少女は侮蔑的な眼でその様を見送ると、タッパーに眼を落とした。ケミカルな色の合成スシが入った、安物のタッパーだ。 

「……不味そう、ですよね」少女は一人呟き、顔を上げた。ドクロめいた月が彼女を見下ろす。「……今日は、疲れ、ました。どこかで、休まないと……休む……」少女は暫く虚空に向かって喋り続けていたが、「イヤーッ!」不意にカラテシャウトを発し、跳躍。

 そして、幾つかの建物を飛び渡っていくと、一際高いビルを睨んだ。「イヤーッ!!」再び跳躍。先ほどよりも高く。『終焉が近いです』『宇宙とわれわれ』などと書かれた看板が、壁にコラージュめいて打ち付けられている高層ビル。その屋上に、少女はヒラリと降り立った。 

 すると彼女は徐に、アグラの姿勢でその場に座り込んだ。そして、眼を閉じる。((……なんでしょう、これ。なんだか、よくわからないですけど……癒えていく……))彼女自身、自らのこの行動に疑問を抱かざるを得ない。ソウルに導かれるようにして行った、この行動に。

 これはアグラ・メディテーション。平安時代の頃よりニンジャ達が使う、神秘的な治癒手段だ。少女は……アケシ・ノノミは、ミリピードは、アグラ・メディテーションを続ける。側には合成スシ・パックが置かれているだけだ。彼女は一人、ただ一人、息を吸い、吐く。


【ザ・ベスト・クロス・メイ・ハブ・ア・ミリピード・イン・イット】


◇回顧録◇

アソシエーテと共に弊テキストカラテの看板ニンジャとして知られていた少女ニンジャ、ミリピードの初登場エピソード。時系列的には第一部の最初期、ボーン・イン・レッド・ブラックのあたり。
身もふたもないことを言えば、とにかく『キャラ萌え』が欲しくなり錬成したカワイイなニンジャ、それがミリピードことアケシ・ノノミだった。
本エピソードで描かれるディセンション直後の彼女は非常にサツバツとしており、サイコキラーめいているが、これはもう、「こういう子って……イイよね……」の一心だけで書き進めていたもの。そうしてノリノリで進めた結果、これフジキドに見つかったらスレイ待った無しでは?と思い至り、まだフジキドが自由でない暗黒の七日間の極々初期に時系列を設定した。彼女は後々人間性を得ていき、成長していくのだが……そう、ニンジャ性を潜ませ、人間性を得ていかなければ忍殺捕捉されてしまうであろうがため、何としてもその成長を描かなければならなかったのだ。こんな悪逆なニンジャがいれば確実にニンジャスレイヤーが現れなければいけないだろう、という確信があった。だからミリピードは成長していった。
結果的に、そんな彼女の成長が当時の読者様方々から評価と人気を集めることになり、ミリピードや、ひいてはアソシエーテとのキャラクター性に深みを与え、人気と評価を得ることとなるのだった。ウキヨエをいただいたりもした。感謝の限り……。
ミリピードとアソシエーテの二人を描くエピソードは今後もドシドシとアーカイブ掲載していく。おたのしみに。

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