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《点光源 #4》 遅れてきたシンガーソングライター。

aimoさんというチャーミングな女性。
彼女は透き通った声でオリジナル曲、そしてチャゲアスやASKAのカバー曲を歌うシンガーソングライターだ。


彼女とはTwitterで出会った。
スラリとした黒髪の美女がごついギターを抱えて歌っているだけでも心惹かれるのだが、私が楽しみにしているのは彼女の日常ツイート。
ユーモアの中に密かに隠れた悲哀、そして音楽への探究心たっぷりのツイートに惹きつけられる人は、ASKAファンに限らず多いかもしれない。

そのaimoさんだが、なんとギターを本格的に始めたのがつい3年前だというから驚きなのである。

歌もギターもとても新参者な感じには見えないし、しかも彼女、上はもう中学生のお子さんのいるアラフォーお母さんなのだという。
自宅で結構な声を張り上げながら弾き語りをするお母さんを、ご家族が温かく(?)見守っている様子も、ツイートからは垣間見えて楽しい。

音楽への愛、歌う喜びを、全身で表現するaimoさん。
ASKAの音楽を愛する人たちのインタビュー連載《点光源》、4つ目の光はこの人である。




●恥ずかしくても笑われても、歌いたくなった

ーーaimoさんはSNSで他にない魅力を放ってるんですよね! '78年生まれということで、私と同じく「アフラフォーお母さん」なので日々のSNSにシンパシーも感じるし、歌う時の真剣さ、美しさと、ユーモラスな日常のギャップにも惹きつけられます。

ありがとうございます。aimoとしてTwitterを始めたのはたった1年前なんです。やっぱり、まずは自分の歌をたくさんの人に聴いて欲しいという気持ちがあるので、私がどんな人なのか伝わるようなつぶやきを心がけてます。

ーー「ファンの発信」という以前にご自身の活動がしっかりと軸にあることが、魅力の理由なのかなと思ったりします。
弾き語り動画をアップし始めたのはいつ頃からですか?

Twitterと同時期なので、1年前からなんですよ。あまりSNSに詳しくなくて、フォロワー0人の状態で最初の動画をアップしちゃったんです。
チャゲアスの「WALK」を歌わせて頂いたんですが、こんな、どこの誰だかわからない人の歌なんか誰も聴かないだろう、という気持ちでアップしたら、なんとその日のうちに何百回と動画が再生されて。たくさんの反応とコメントまで頂けて、本当に嬉しかったんです。
チャゲアスやASKAさんファンの方の情報収集力、少しでも関連するものに向けている情熱ってすごいなと、その時に実感しました。


ーースタートでその反響はびっくりですね!

本当にありがたいことですね。それから何度かカバーを歌わせて頂いて、オリジナル曲も50曲くらい作り貯めているので、それもちょっとずつ動画にしてアップしています。
でもそんな中で、チャゲアスのカバーでは「WALK」と「BIG TREE」を歌わせて頂いたのが私の中では大きくて。ASKAさんの曲がずっと好きで、たくさん聴いてきた経験がやっとここで生かせたという実感もあるし、ようやく私の表現だと思える方法を見つけたので、これからも続けていきたいなと思ってます。


ーーaimoさんは、歌はもちろん魅力なんですが、それに加えて日々のツイートがいいんですよね。私がいいなと思ったのは、恋愛短歌。単純に同年代として「恋愛」をフレッシュに詰め込めているのが羨ましかった(笑)。

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あれですね(笑)…短歌は今まで全然作ったことなくて、作詞の勉強に役立つかなと思ってやってみたのですが、結構難しいんですよ! 一つ作るのにも時間もかかりますしね。
もう結婚生活を18年も続けているので、恋愛なんて…って感じなんですが、どうせやるなら笑われるくらい、恥ずかしいくらいやらないとダメだと思って。


ーー私からすると、そこがすごい。普通は「どうせやるなら恥かきたくない、スマートにやりたい」なのに、aimoさんは逆なんですよね。

あなたの魅力はどこですか? と聞かれたら、私にはそこしかないんです(笑)。創作って、情熱を出し惜しみしちゃいけないと思ってて、出し惜しんじゃうと逆にカッコ悪いじゃないですか。だから恥ずかしくても笑われても、私としては大丈夫なんですよね。


●遅れてきたシンガーソングライター

aimoさんがアコースティック・ギターを手にしたのは3年ほど前。
それまでは人前で歌ったことがなかった彼女は、言うならば「遅れてきたシンガーソングライター」だ。
だがその肩書きに負けることなく、のびのびとした歌声でオリジナルやカバー曲を歌って聴かせてくれる。どんなきっかけがあってこの道に進んだのか。

3〜4年前くらいに、急にギターを弾いてみようかと思い立ちました。
それまではほとんど音楽をしっかり学んだ経験がないんです。実は20代の時にも一度、ピアノを弾いてみたいと思い立ってチャレンジしたんですけど、中途半端になってしまって。チャゲアスの楽譜を買って練習してみたんですけど、ASKAさんの曲ってコードも転調も複雑で…本当に難しいんですよね。
それに当時はまだ、人前で演奏したり歌ったりなんてことも、とても想像できなかった。

ーーそこのハードルは結構ありますよね。

まさかそんなこと自分にはできない、というのがあの頃の気持ちでした。自分の曲を作ることには、さほど抵抗はなかったんですけどね。昔から、手を動かして何か作ったり表現したりするのは好きだったので。
でも、やり切らなかったというのは、きっとそこまでの情熱が無かったってこと。そうしてる内に長男が生まれて、ピアノどころじゃなくなってしまって。

ーー子供が生まれると全部そっちに持っていかれますもんね。

本当にその通りで。どうしても子供に集中してしまうんで、私もご多分に洩れず子育てにどっぷりでしたね…。でも長男が生まれて5年くらい経ったとき、ちゃんと自分のこともやらなきゃダメだ、って気付いたんです。
ここ最近は下の子も大きくなってちょっとだけ子育てが落ち着いてきたので、ふとギターを弾いてみようかなと思って。実家から古いギターを持ってきて、習い始めました。


ーーそれが3年ほど前ですか。習うだけならともかく、そこからSNSやライブハウスなど、人前で歌ってみようと思えるまでには大きな勇気がいりますよね。

そう! 最初は「人前で歌うなんておかしな人なんじゃないか」と思い込んでいたんですけど(笑)、ギター教室の発表会で歌った時に、思っていたほど大変なことじゃなかったんですよね。これなら「やりたい」という気持ちを大事にした方がいいなと思って。
よく、人には「恥ずかしい」と
「やりたい」という気持ちが49:51のバランスであるって言うけれど、みんな大体は49の方を選んでしまうんですよね。でもやりたい気持ちに素直でいた方が道が開けると思うし、私はそっちを選んだんです。

ーー「やりたい」を選ぶ大事さに、年齢を重ねるにつれ気付いていきますよね。

若い内に気付ける方がいいんですけど、でも大体の人って40代辺りで気付くんじゃないのかな…気付かない方が良かったんじゃないかと思うことも(笑)。でも逆に、若い内にそれに気付くことって本当に難しいとも思いますし。

ーー私は遅れて気付く人たちが好きですよ(笑)。もう隠すものも無くなっちゃうから、情熱がストレートに届いて胸を熱くさせられます。

40代って本当に大変なんですよね…。仕事も子育てもあり、生活に追われて。だから若い内に行動できる人は素晴らしいと思います。
最近はSNSで他人が目に入り、劣等感や焦りを持つことも多いし、自分に自信がなくなってネガティブに入り込んでしまうと、自分の弱さに溺れてしまうんですよね。だから、小さなことでも自分の本当の気持ちを知り、そこを選んでいくということが大事な気がします。


ーーもう、共感することばかりです…。

弾き語りって、本当にいいですよ。大声出すとストレス発散になるし、ギター弾くのに手も使うし。歌うときは気持ちを乗せるために心を動かしてると思うので、これを続けてると自分に向き合えるし、無心になれるんですよね。


●ASKAの音楽に救われた中学時代

aimoさんは東京生まれ。
ちょうど思春期とチャゲアス・ブームが重なり、彼らの音楽を浴びるように聴いた「黄金世代」のファンである。
小学生の頃は光GENJIが大好きで、クレジットにCHAGEや飛鳥涼の名前が並んでいることにも気付かずエレクトーンで弾いていたというaimoさん。
そして中1の時に「SAY YES」が大ヒットし、この人達の音楽は本当にすごい、そして今の私に必要なのだ、と確信したという。

ーーaimoさんはどんな中学時代を過ごされてたんですか?

私、不思議なことに中学の記憶がまったくというほど無くて…。やりたいことが見つけられず、ダラダラ生きていました。

ーー部活に熱心だったりはしなかったんですか。

それも全然。しかも実は軽音部でエレキギターやってるんですよ。音楽経験ないって言ったのですが(笑)。でも無いに等しいくらいに、この記憶も薄いんです。
小学生の頃はエレクトーンを少し習ってたんですけど、これも全然好きじゃなくて。思えばあまり音楽に興味がなかったんですよね。スポーツも好きじゃなく、文学少女だったかというとそうでもなくて。本当に打ち込めるものが全くない子供でした。

ーー今のaimoさんから想像できないですね…。でも、そんな中でチャゲアスは好きだったということですか。

そう、チャゲアスを聴くことだけが唯一の楽しみだった。
あの頃は、中学生なりの一生懸命さで歌詞を読み込んだり、好きな曲を選んでベストアルバムを作ったりしてましたよね。
親に言い出せなくてファンクラブには入れなかったしライブにも行けなかったけど、当時はよくテレビやラジオに出てらしたので、新聞の番組欄をチェックするのが楽しみで。

ーー「チャゲ」の字を見つける速度が育つんですよね(笑)。

そうそう、速かった(笑)。あの当時はもちろんYouTubeも無いから情報源がテレビ、ラジオ、CDしかなくて、音楽を味わう時の真剣さが全然今と違ってましたよね。とにかく毎日ASKAさんの音楽を聴いていたので、こんなこと言ったら怒られそうですが、耳が育ったと思っています。楽曲を理解できてるわけではないんだけど、本当に一生懸命聴き込んでいたので。

ーー情報には、あの頃と今では本当に大きな差がありますよね。今はネットで過去のインタビュー記事も拾えたり、アーティストや楽曲の情報も簡単に手に入るけど、昔は全くわからないまま未知の存在で、アーティストの存在自体にもロマンがあって、作品を聴くことだけが全てだった。
そんな中、思春期のaimoさんにとってASKAさんの存在とはどんなものだったんでしょうか?

うーん…中学生のしんどい現実を忘れさせてくれる存在でしたね。
私は父親を早く亡くしてるんです。それで年上の人への憧れもあったのかなぁ…。淡い恋心のようなもので、ASKAさんが理想の人になり、心の中に架空の安らぎを作っていたのかなとか、色々思いますね。
言い換えると、ASKAさんに逃げていた。ASKAさんの世界にいれば嫌なことも現実も忘れられるし、幸せだった。ASKAさんの音楽を聴いている自分を好き、という感覚もあったと思います。

ーーaimoさんは本当によく自己分析されてますよね…。
歌詞についてはどうでした? 私は中1の時、「クルミを割れた日」という曲の歌詞にすっかり衝撃を受けて。幼い頃に読んでいた児童書や文学の世界観にとてもよく似ていて惹かれたと思うんです。そういう歌詞世界が、それまで聴いていた音楽と全然違ってびっくりしたという思い出が。

さすが我らがs.e.i.k.oさん、中1で「クルミを割れた日」の歌詞を読み込めるとは! 私はその時、「クルミを割れた日」って日本語的に変じゃない? と思ってました(笑)。もちろん歌自体は大好きでしたけれど。
歌詞の世界観でいうと、私はASKAさんの中の「寂しさ」をよく拾い上げていたと思うんです。なんであんなにファンに愛され、いろんな人に囲まれて堂々としてるASKAさんが寂しいんだろうと、ずっと不思議に思っていました。そして私が勝手に感じていたASKAさんの寂しさで、自分の中の寂しさを薄めていたのかな、と思うんです。

ーーASKAさんの曲の中に寂しさがあるという感覚、よくわかりますね。近年になってなお一層、そういうことを歌ってらっしゃる気もします。

『しゃぼん』の「この寂しさは どこから来るんだろう」とかね…。でもまさに、どこから来るんだろうって思ってた。
それが、高校生の時に『river』という曲を聴いて、「君が言う寂しさって 生まれた時のものさ」というフレーズで納得し、腑に落ちたんです。完全には理解できないんだけど、私の中に共鳴する部分がずっとある感じです。

ーーそうか…。ASKAさんの歌詞って多面体のようだから、聴く人によってそれぞれ自分の気持ちに寄り添う部分を見つけて、大事にしていますよね。aimoさんにとってはそれが「寂しさ」、どこか満たされないものを抱えていた当時にはなお一層そこが響いたんですね。

私とASKAさんは年齢も性別も違うから、もちろん自分を重ねることはできないけれど、不思議と歌詞には共感できた。これを作って表現しているASKAさんへの憧れの感情が一番強かったですね。音楽って、ちゃんと理解できてなくても細かいことを超えて包み込んでくれるところが、すごいなと思います。

ーー完全に理解できないものに深くはまったという経験自体が、後を考えても自分の軸になっていきますよね。

本当に有り難い経験でした。熱中できることが何も見つからない中学時代に、ASKAさんの音楽が自分を救ってくれたんだ、と思っています。

高校に入り、恋をしてからは、ASKAさんから少し離れては戻る…を繰り返していました。大学に入ってからはやっぱり自分と向き合わざるを得なくなるので、ASKAさんからだいぶ離れたんです。もちろん高校、大学とも楽曲だけはしょっちゅう聴いていたんですけれどね。
そんな経緯だったんですが、ここ最近に至っては、出会った頃以上に真剣に聴いています。
自分の表現をする中で、改めて大人になった自分で向き合ってるという感じ。

ーー歳を取ったからこそわかる部分があったりしますしね。

そう、それが新鮮。でもそうやって楽しむためには、純粋に没頭した経験が大事なんですよね。大人になると、何かを得てやろう、元を取ってやろうという考えがチラついてしまうから(笑)。本当に思春期に良い経験をさせてもらったと思います。


●大人になりきれず、何度も回り道を


好きな世界は見つけ出せていたものの、実は最近になるまでなかなか自分のやりたいことを掴めなかったというaimoさん。40歳を目前にしてギターに出会うまで、随分と遠回りしてきたようで…。

ーー今こんなに好きなもので自己表現をされてるaimoさんが、ずっと「何も打ち込めるものがない」と閉塞感を抱えていたというのがすごく意外なんですよね。

好きなことって、なかなか見つけるのが大変ですよね。これだ!と思ったものにはのめり込んで真面目に続けてみるんだけど、やっぱり違うかも、と後で気付くことも多かった。本当にギターに出会うまで遠回りしてきました。

ーーその回り道自体が、今のaimoさんを知るカギになりそうですよね。そこについてもぜひ伺ってみたいです。

私、結構突き詰めていくタイプなんです。二十歳くらいの頃、まずはヨガと自然食にはまって、当時はあまり自然食自体もポピュラーでない中で、ローフードという非加熱のもの以外は食べちゃいけないというところまで行きまして…。かなりストイックに、良いハーブティーを作るためにきれいな草原を探してハーブを採りに行ったりとか(笑)、今思い返せばものすごいエネルギーを傾けてましたね。
なんでだかわからないんだけど、いつも私の中に満たされなさ、何もちゃんと成し遂げていないという欠落感があるんです。足りない感覚がいつもある。

ーーいや、逆に「成し遂げた」って胸張って言える人はほとんどいないですよ!

いやいや、でも受験で第一志望に受かったとか、部活をしっかりやったとか、皆さんどこかで何かを成し遂げてるじゃないですか。私には全然それがなくて、それで子供が産まれた時には「今まで何一つ成し遂げてこなかったからこれだけはちゃんとやろう」と思って、かなり頑張っちゃったんですよね。

ーー子育てって、一番思い通りにいかないですよね…。

本当にそう(笑)。子供って食べたい物への欲求は素直だし、思ってた理想と折り合いがつかなくなることだらけで、徐々に「もう理想はいいから『この子はこの子』を大事にしていこう」となりましたね。

ーーそうやって切り替えるのもなかなか大変なことです。

本当に難しかった。私は自分の大人になりきれないところがずっと嫌で、でもどうやらこれは性質で変わらないから、どう付き合っていくかに切り替えよう、となっていきました。


大人になりきれていない自分が嫌いだった、と語るaimoさん。どうやっても思うようにいかない自分を、なんとか乗りこなそうとエネルギーを振り向けてきた半生がよく伝わってくる。
でも逆に言えばその「大人になりきれなさ」こそが彼女にしか持ち得ない個性でもあるのだから、人間とは一筋縄にいかないものだな、と思う。

ーーaimoさんの曲を聴いていると、思春期の感覚が真空パックされてるみたいなんですよね。それをしっかりこの歳まで取っておけるって、かなりすごいことだと思うんです。

いえ、もちろん大人になりたいんですが、私みたいな人ってきっと無理なんですよね。ずっと私が抱えている欠落感、どこか満たされない感じ…これは、表面的な生活だったり外見のコンプレックスだったりというより、もっと内面的なものなんです。ずっと抱えてるけど、まだはっきりとは正体がわからない。

ーー人って大人になるプロセスでそこを見つめて理由を与え、蓋をしていこうと決めたり、ここら辺でいいかなと折り合いを付けたりしていきますよね。そうでないと自分の足を引っ張ってしょうがないから。

本当にそれをできる人が羨ましいんです。でも私はできないまま、思春期の気持ちのままでここまで来てる。ある意味幸せなことですよね、我がままを通してるようなものだから。

ーーだからこそ、歌を作りながら見つけていこうとしてるんですね。

そうかもしれないです…。本当はこんなエネルギー、日常に向ければいいんですよ(笑)。みんなそうやって力強く生きてるのに、私はどうしても内側に向かってしまうから、はたから見れば「あの人何やってるんだろう」って思われてると思う。

ーーそれは私にも当てはまるところで。noteにもっと有益な情報を載せるためには「時短家事のノウハウ」とか書けた方がよっぽどいいんですよ(笑)。でもできないからこういうことを書いている。色んな人がいていいのかな、と最近は腹をくくってますけどね。

「s.e.i.k.oの時短家事ノウハウ」、一度読んでみたいです!(笑)

ーーいや、まず書けないので!(笑)
aimoさんの性質は本当に面白いというか、表現にすごく役立ってると思いますよ。


●人と心を合わせれば感じられる世界がある

aimoさんの中に充満するエネルギーと、幼少期からずっと続いているという満たされなさ。「あまり勉強ができなくて」と謙遜されるが、どこまでも粘り強く思考し続ける人であり、しかも直感的、ときに動物的な人でさえある。
そして最後に残る手触りは、すべて受け入れてくれるような優しさ。

なぜ彼女からはそんな印象を受けるのだろうか?
aimoさんという魅力ある人物の奥底にもう少し触れたくて、話を深めてみた。

ーー私と同世代でもう中学生のお子さんがいるということは、ご結婚は早かったんですか。

20代の半ばに結婚・出産したんですが、夫はタイ人なんですよ。私、あまり国籍や職業とか、普通ではハードルになり得るものが全然気にならないタイプなんですよね。どんなものに対しても「好き!」か「普通!」の軸しかなくて(笑)。

ーーすごい(笑)! それでも異文化で育った人と深く付き合うというのは、結構大変なことじゃないですか。

人間関係って、1:1で相手を深く知ることがとても大事だなと思ってて。だから私にとってはあまり特別でないというか、自然だったのかもしれないですね。
それと、今は仕事をしていまして。知的障害者の方が通う施設で、色々なサポートをする仕事なのですが、本当に皆さん優しい方々なんです。私にとってこの場所は、一人一人と深く向き合う大切な場所なんです。そういう温かい職場に出会えているのは、本当に幸せなことだと思います。


ーーきっとaimoさんは外的なものよりも、心が動くこと、本質的なものの方に興味がある方なんだろうと、お話ししていてひしひしと感じます。
実は、ASKAさんの音楽ってそこに通じている気がしてるんです。物事の本質を、ものすごいエネルギーを持った人がグングン追い求めていくのを目の当たりにするような興奮や喜びが、聴く人の中にある。もしかすると、ASKAさんのそういうところに惹きつけられたというのもあるんでしょうか?

確かにそういうところに、子どもの頃から無意識に惹きつけられていたかもしれないですね。ASKAさんはきっと、人の心の内側に心を合わせていかれる方だと思うので。ご本人ではないので、こんな風に言ってしまうと失礼かもしれませんが…。
でもそういうところを、ASKAさんの音楽を聴いて自然と学んでいたのかもしれないです。それは今になって、自分の作曲にも仕事にもすごく役立っていることです。

ーー多くのファンの方達も、無意識のうちにその「心でつながってる」ような感覚を持ち合わせてるんでしょうね。

きっとASKAさんには、それが見えているのでしょうね…。
とにかくASKAさんには感謝の気持ちしかないです。音楽家ASKAという1人の人を深く愛し、楽曲を愛し、学ばせてもらいました。その経験が私の今の生き方につながり、ASKAさんから学んだ自己表現を通じて弾き語りを始め、自分を愛せるようになったんです。

ASKAさんに出会わなければ今の私には出会えなかった。13歳の私に会えたら、大丈夫だよと笑顔で伝えたい。
そしてTwitterでチャゲアス、ASKAさんのファンの方々とも知り合えました。だからASKAさんにはずっと元気で、日々幸せでいて欲しいといつも願っています。もちろんこれからも新曲を聴けたら、ライブに行けたらこんなに幸せな事はありません!


ーーいやぁ、多くのファンの方が結局は同じことを思ってらっしゃるはずですよ!  ASKAさんの健康と幸せをただ願うという…。もう、そういう域に達してきましたね(笑)。aimoさんも、どうかお元気でご自身の曲を歌い続けてください。

ありがとうございます! Twitterを見てくれている方、歌を聴いて下さる皆さんにはこの場を借りてお礼を申し上げたいです! 今はまだ自分の事で精一杯ですが、いつかきっとお返しさせて頂きます。
そして最後に、私の弾き語りをサポートし支えて下さり、いつも温かく見守って下さるギターの恩師、多功誠さん、Twitterを始めなさいと背中を押してくれたミュージシャンの仁-Jin-さんには、この場を借りて感謝を申し上げたいです。
長い私のお話、ここまで聴いて下さってありがとうございました!


aimoさん、静かに青く燃え盛る炎のような人だった。
その「名前も国もない 生まれたての」ような魂は、これからどんな羽を見せてくれるのだろうか。

<完>

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ASKAの音楽を愛する人たちへのインタビュー連載《点光源》。
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