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(精一杯、あの時を生きたんだ)

「パクさん。僕らは精一杯、あの時を生きたんだ」(宮崎駿)

2018年4月5日にスタジオジブリの高畑勲監督(愛称:パクさん)が亡くなった。当時リアルタイムでそのニュースを見ていた僕は、宮崎駿監督が、高畑監督の葬儀で上記の言葉を送ったとき、二人の関係性がありありと伝わってきたのを覚えている。それと同時に、ある二人を思い出し、彼らに付随した”ある一曲”が頭に流れてきた。

The Beatles(ビートルズ)の元メンバーとして有名なポール・マッカートニー。彼の『New』(2013)というソロアルバム作品に「Early Days」という曲がある。
どんな曲かというと、ポール・マッカトニーとジョン・レノン、二人が出会った当初(Early Days)の思い出や、ジョン、ビートルズに対する彼の、現在の想いを歌にしている。楽曲の中でジョンと二人で過ごした青少年時代をポールは以下のように表現している。

(They can't take it from me, if they tried I lived through those early days / 信じようと思っても無理さ 僕はそんな信じられない時間を過ごした)

これは、、ポールだからこそ言える最高のパンチライン。笑

1957年7月6日、ポールはジョンと出会い、ザ・クオリーメン(ビートルズの前身バンド)に加入する。出会ってから二人は毎日のように膝を突き合わせ曲を作り、その後、彼らは歴史上最も有名なバンドのメンバーとして活躍する。
バンド活動期間は8年という短い年月。この期間に関して、もしポールが誠心誠意正直に思い出を全て語ったとしても、それらは、僕らの想像を優に超えるのだろう。もはや誰も信じてくれないだろう(=信じようと思っても無理)と決め打ちするポールに思わず聞きながら笑ってしまった。

ポールはファブフォー(ビートルズの愛称)時代を”甘美なる思い出”と表現し、また、今は亡きジョンに対してアーティストとしての永遠を願う。

(May sweet memories of friends from the past always come to you, when you look for them. And your inspiration, long may it last May it come to you, time and time again / 過去の仲間たちとの甘い思い出が、求めばいつも君の元へ訪れますように。渇くことないインスピレーションが、君の元へこれから何度も訪れますように)

ビートルズ結成前の、彼らがまだ何者でもなかった頃、無我夢中で曲を書いていた時間、そして4人で駆け抜けた日々、それらがポールにとってかけがえのないものとなっていること、

その時間がどんなものだったのか、それは、あの時を精一杯生きた当事者だけにしか分からない。

ー追記ー

少年ジョン・レノンの音楽との出会い、母親の愛と喪失を描いた映画『ノーウェア・ボーイ ひとりぼっちのあいつ』はビートルズマニアからも評価が高くおすすめ。特に史実通り丁寧に描かれたジョンとポールが初めて出会うシーンはなかなかに痺れる。

※楽曲「Early Days」の歌詞も自分で和訳したので気になった方は是非。


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