【散文詩6編】 一番傷口に沁みたのは、君がたくさんちぎった愛だった



恋人たち

子供のときに飲み込んだ花の種が君の体内で育ち、それがいつか大きな花となって口から花びらが溢れるとき、あたりには花畑が広がって、周りではたくさんの蝶が楽しそうに飛んでいるだろうね。そのときには君の顔はもう花で覆われて見えなくなるだろうし、体も覆われてしまったら手も握れなくなって、スカートから伸びた足先くらいなら見えるかもしれないね。そうなる前に僕は君を忘れないためにもたくさん見つめて、いろんな場所に連れて行きたいとも思うけれど、なるべく日当たりの悪い場所に閉じ込めて、一秒でも長く君と一緒に過ごしたいとも思ってしまうだろう。

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きみのために風は吹いている そう思えるのはきみのかけがえのない生活が、日々が、 言葉となって浮かんでくるからだと思う きみが今生きていること、それを不器用でも表現していることが わたしの言葉になる 大丈夫、きみはきみのままで素敵だよ 読んでいただきありがとうございます。 夜野