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スワンの日常【過去記事】あのオリエンタルホテル宿泊に成功!(前編)

「元気が出ないとき、スワンさんの日常をハッシュタグで探して読み返していますが、あの記事が見当たらないんです」「スワンのアホ記事、一気に読めるようにしてほしい」という珍人物たちがいて、ほとほと私の周りはヘンタイだらけだと確信する。

でもこのメッセージをきっかけに、目覚めた。何に?ってアホ記事をnoteにまとめようということにw。

10年ぐらい遡ってやってみようと思う。今日は、分野でいえばアドベンチャーとでもいいましょうか。

横浜中華街に、たしかに存在した【旅館オリエンタル】に、うん10年越しにトライして初めて宿泊に成功したときの記録でございます。長いので3回に分けました前編です。

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横浜中華街。中心街にありながら、昭和を守り抜いているその佇まい移り変わるYOKOHAMAをただ一人ひっそりと見守ってきた、旅館オリエンタル。

今はなきお姿。

いつも中からオーナーが外をのぞいていて、前を通ると睨まれるぞと、子どもの頃からそんな噂を聞いていた。

昔一度だけ見かけたオーナーは、すでに結構なおじいちゃんだったので、年を越えるごとに私の焦燥感はつのっていた。

ヤングな頃から本気でここに泊まってみたいという私を、友人たちが「??」という目でみていたけれど、今まで何度経験しただろう。

勇気を振り絞って扉を開けて、「すいませーん」「ごめんくださーい」
「泊まらせてほしんですけど」と声を張り上げたこと。

ガン無視です。完敗です。まるで「お前なぞまだまだ門をくぐることは早いのじゃ」と言われているような敗北感。

入れないからこそ、当然興味は高まるばかり。
いつかは絶対に泊まるという執念だけは燃え上がり、しつこくネットで成功者の情報を漁っては、泊まれるコツを調べたこともあった。

しかし、ほんの数名しかいない成功者がその内部を告白しているが、同胞たちよ、けっしてつまびらかにせず、どこか謎を残してそのレポートは終わっている。わしの好奇心は倍化する。

「絶対に泊まるぞ。」街はクリスマスムード漂う2013年。おっとっとを巻き込み、そう決めてアポなしで中華街へやってきた。

扉はその敷居の高さとは裏腹に身軽でカジュアルなスウィングドアである。押せば入れる

当然、予約など受付ていない。電話もでない。とにかくここは、行き当たりばったり、宿泊は主人の気分次第という国内でもたいへん稀有なホテルなのである。

どなたかのレポートで、旅館おかみはカメラが嫌いらしいと読んだ。その理由は勝手に入って写真を撮って出て行く人がいるらしいからだと。

そんな失礼な輩と一緒にされては困る。わしは真剣なんじゃ。自前の一眼レフを鞄の奥底へ仕舞い込んだ。

welcomeのLが一個多いまま三十余年。

ロビー入ると左手は事務所。この窓からいつも外へとコンセントがのびており、冬寒そうで夏はしこたま暑そうだった。

 いよいよ、赤い扉を押してイン。

「すいませーん」と声をかけたまま、左手の事務所をのぞく。

時が止まっている。毛布や座布団の位置まで数年前のままだった。埃をかぶった英語まじりの料金表。当時は米兵や船乗りで賑わっていたはずだ。

右手には階段の下に過去フロントだったであろうカウンターの痕跡(今はすさまじくいろんなものがカウンターに乗っかっている!w)が残っている。

まっすぐ奥は厨房(だった)のようだ。そこへたどりつくまで、左に2つほど部屋があり、この寒いのになんとドアは開いており、テレビの音が漏れ聴こえている。明らかに誰かいそうだ。

我ら夫婦はじっと同じ場所に立ったまま、互いに声色を何色も変えて、宿泊意思を叫んだのだ。

「ごめんぐだざーーーーい!」「あのー!」


…しーん。

そこ、あいてるのにね。明らかに誰かいそうなのにね。これだよ。これなんだよ。長年こうして生きてきたんだよ。そして、さみーんだよw フロントは冷え切っていた。

夫とはシカトされても3分はねばろう!と約束をしていたので、時々大声を出してお互いに寒さをしのいでいた。

 しかしどうでしょう。

お店に入って3分誰も出てこないって相当だ。そこに居てはいけないような気分になってくる。これが敵の手なのか。

 今年も宿泊は叶わず終わるのか…

そうあきらめかけた瞬間、突然!今我々が押して入ってきた背後の赤いスウィングドアがあき、両手に買い物袋をいっぱいもった中国人らしき男性があらわれた。

オーナーか?いや、ずいぶん若いな。息子か?まあなんでもいいや。とにかく誰かが来たのだ。

「すいません、本日泊まりたいんです」と話しかけると、彼は荷物をガサガサいわせながら目の前でノーノーと手をふり、

○×△●○!

という。わからない。意味不明。すると彼が、先ほどからドアがあいている左の部屋に首を突っ込んで、

○×△●○!

とどでかい声で叫ぶと、なんと、

「あーーーはいはいはいはーい」
中から、おかみが難なく出てきたのだ!爆


続く。

右側の建物。このペントハウスにはオーナー夫婦が住んでいたという噂も。

(2023年12月の記事:オリエンタルホテル前編)

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