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人は信じても、期待してはいけない。

先日、こんなTweetを拝見した。

こちらの投稿は10万以上のリツイートと、30万近くのいいねを獲得しているのだが、コメント欄は賛否両論が入り乱れている。


「大学にいかせてもらっているのに文句を言うな」

「社会人だってリモートワークだ」

「早く大学に通いたい」


心ない言葉や、共感する言葉など、さまざまな言葉や意見が飛び交っている。何年前に大学から離れたのかわからない私からすると、特にどちらの意見も正しく、間違っているので、どちらを擁護するということはない。

しかし、さまざまな期待を胸に大学へ進学し、それとは相反するような現状に晒されている二十歳にも満たないような方を、アドバイスをすることもなく社会人が総叩きしようとしている様が実に滑稽である。

同じ社会人として、なんだか恥ずかしい。これだからTwitterは民度が下がったと言われるのである。経験を積んでいる社会人であれば、どのようにその現状から大きな学びを得ることができるのかを提言するべきだと思うし、叩いている暇を有益なことに使うべきである。

かくいう私も、匿名でそれらの人を叩いてしまっているので、大差ないのだが。

もっと世の中の人が、心にゆとりを、余白を持って、日々の生活を送れたらいいなと思う今日この頃。


今日取り上げるのは、そんなリモートになっている大学を対象にしたサービス。

株式会社EduLabが、オンライン試験監督をサポートするサービス「Check Point Z」を旺文社と共同開発していくことを発表した。

大学の授業は7月の半ばに差し掛かった今でもほとんどがオンラインになっており、今年の後期から出席があるのかないのか、という状態ある。

期末試験もオンラインで行う必要が生まれる。それらの試験を、PCのカメラを起動した状態で受験してもらうのが想定されるが、「その状態でカンニングなどの不正行為を防ぐことができない」、というのが今回同サービスを開発に踏み切った要因だという。


利用される技術は、AIによる目線の動きのチェックや、PCの操作ログなどだそう。具体的にどのような技術を盛り込んでいくのかは発表されていないので知る由もないが、今まで人が行なっていた部分をかなり軽減することができるというのは、大学側としても嬉しいだろう。


同サービスが完成し、正式にリリースされたら、大学での試験だけでなく、さまざまな資格試験や、入学試験での利用も考えられる。もしかしたら、仕事をちゃんとしているのかをチェックするために、会社が導入するかもしれない。


さて、個人的に今回紹介したサービスは素晴らしいものだと思っている。しかし、どこか腹落ちしない部分もある。


例えば、同サービスの根底にあるのは、「生徒が不正行為をする」という考えだ。少なくとも、私は何かの試験でカンニングを含む不正行為をしたことがないので、何故そこまで心配する必要があるのか、わからない。

そもそも不正行為をすることでメリットが享受されてしまう現行の仕組みがよくないように思える。どうしたらそれが解決できるのかと言われると確かに思いつかないが、不正行為をしなければならないような状況を作り出しているのは、少なからず大学側の責任でもあると思うのだ。


私は、ブロックチェーンの概念がとても好きだ。

分散化されており、「誰が偉い」、「誰が強い」みたいな考えが一切排除されているからだ。非中央集権型とも言える。

また、ビットコインのブロックチェーンは、不正がほとんどできない仕組みになっている。その仕組みについてここに書くには、余白が狭すぎるのでやめておくが、簡単に言ってしまえば、「不正をするインセンティブが、通常運転している際に得られるインセンティブよりも低い」ということだ。

つまり、不正をするにはコストが高すぎる、ということ。すなわち、ブロックチェーン上に記録されている情報は圧倒的に信頼度が高く、そもそも誰かを信用するという行為を必要としないのである。


この考えを、もっと応用することはできないのだろうか。不正ができないように監視するのでなく、不正をするつもりにならないという状態を作ることはできないのだろうか。

すでに、無人で運営されている本屋さんが東京に存在する。

不正をするしないの話とは関係がないが、盗む人もいないという社会に対して信頼をしている店主がいるから成り立っている本屋さんだ。


教育の現場で、学びの場で、人を疑うことから入ってしまうのが当たり前になっていることに、疑問を覚えた今回のサービス。

私たちの生活が、もっとトラストレス(trustless)に、もっとシームレス(seamless)に、もっとボーダーレス(borderless)になったらいいなと、思った。


そんな考えになるために大事なことは、「人に過度な期待をしないことだな」と考える、日曜日の昼下がりである。

しらんけど。

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