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【土の魅力を広めたい。】五段農園の高谷さんインタビュー!

皆さんこんにちは!
白川ワークドット協同組合の山田です!

白川ワークドット協同組合には現在、12社の企業がワークドットの組合員として入っており、さらに、ワークドットの職員をマルチワーカーという形で受け入れてくれるなど、今日のワークドットを支えてくれています。
そんなワークドットにはなくてはならない存在である組合員さんたちですが、実は皆さんとても面白い方たちなんです!
といっても、ここで私がいくら面白い!いい人達なんです!なんて書いても伝わらないかなと思います。

なので今回は、魅力あふれるワークドット組合員の方の紹介をしていきたいと思います。ワークドットにはどんな組合員の方がいて、その方たちは普段何をされているのか、どういう人たちなのか、というところを紹介できたらいいなと思います!

記念すべき最初の組合員は五段農園の代表である高谷さんです!
以下、高谷さんのインタビューの様子になりますので、お楽しみください!



高谷裕一郎さん。五段農園代表で2015年に岐阜県白川町へ移住。
有機農業と、オカラやモミガラなどの未利用資源を使ったたい肥作りを始める。


ーそれではインタビューを始めていきたいと思います。高谷さん、よろしくお願いします。

高)よろしくお願いします。

ーそれではいきなりですが、高谷さんが仕事するうえでの夢について教えてください!
高)もともとこっちに移住した理由は、有機農業がしたいとかじゃなくて、とにかく田舎で暮らしたかったっていう理由なんだよね(笑)
土に触れるのが子供の時から好きで、有機農業は土に触れる機会があるし、たい肥作りもやってるから、そういうのが面白くてやってる所があるなぁ。そういう面白さをもっと伝えていけたらいいなぁと思ってセミナーだったりポッドキャストをやってるかな。
簡単ではないけど、難しい話でもないからもっとみんなやればいいのになとめっちゃ思うし、それを普及させたいなぁ。
農業で沢山作りたいっていうのもあるけど、それよりもみんなの足元にある土に興味をもってもらって、それをどうにかすることができることをもっと広がって欲しいなって思うな。

ー有機農業というより、土に重きをおいているという感じですね!
高)そうだね。有機農家だけに必要なことではないし、農業を続けていく中で大切なことだしね。

ーたしかにそうですね!
有機農家になって、そこから土に触れることをやりたいを行動に移すきっかけなどありますか?
高)新規就農で始める時につまずいたのがホームセンターとかで売ってる培養土だと大体が化学肥料とか入ってたりしてて、有機農業で就農したかったからそういった土は使いたくなかったんだよね。でも、そういうの作ると時間がかかるし、中々いい土が世の中になくて、いい苗を作るにはいい土が必要なんだけどなって悩んでたら、僕の師匠の橋本力男さんが白川町へ講演に来ててさ。
4月から新規就農だって時に、橋本さんが良いたい肥ができればいい培養土がつくれる話をしてくれて、有機農業を始めるときに肥料はどうしていこうか考えてたから、その話を聞いてたい肥が作れればいいと思って、橋本さんのところに通い始めたのがきっかけかな。

ーあ、2015に白川町へ移住したとお聞きしましたが、その時はたい肥をやるぞっていう気持ちで来たわけではなかったのですね!
高)元々、無肥料自然栽培を行っている農家さんの元で1年研修してたんだよね。就農した最初の一年は、無肥料栽培をしつつたい肥の勉強を並行してやって、たい肥は大事だし土を育てるの面白そうだなって思ったから、ちゃんと勉強して育てて、農法はそっちにしようってことになったね。

ーなるほど!
ちなみに、白川町はどうやって見つけたんですか?

高)岐阜にロッククライミングしによく遊びに来てたんだけど、その時に川も山もきれいで岐阜いいなー、じゃあ移住しよって思ったのが岐阜へ移住するきっかけで、半年後にはもう移住してた(笑)
白川町にしたのは、移住したら有機農業をやろうとは思ってて、ネットで岐阜 有機農業って調べたら有機農業といえば白川町って出て、そこの農家さんたちと繋がって色んな所を紹介してくれたんだけど、その中に入っていたのが白川町、お米の種まきの時期に来たんだけど一目惚れで白川町にきた!

ー 一目惚れ!町のどの辺に惚れてしまったんですか?
高)自分の中で、「コンビニのない所に住みたい」がテーマにあって。実家が町でもないし、かといってすごい田舎でもない中途半端な所っていうのもあって、住むなら田舎で、どうせならコンビニのない所がいいなと思って。ここコンビニなかったからさ。

ー現代人はコンビニを求めるのに高谷さんは求めなかったんですね。
高)そうそう。だから今コンビニ行くとテンション上がるんだよね(笑)
セブンのコーヒーはなんでこんなにうまいんだろうってすぐ買っちゃうし、スイーツも買うし無駄に寄っちゃう。

ー自分の農園の好きなところを挙げられるだけてく挙げてください!
高)1人でギリギリ回せる所かなぁ…。いまマルチワーカーの人が手伝ってくれてめっちゃ助かってるし、いない生活は考えられないんだけど、一応自分の中では自分の手に収まる範囲の商売をしていきたいと思っていて、ギリギリそれがなんとかできててミニマムな持続可能な農業ができてるなって思うね。
あと、普通の農業って種を植えて収穫をして売るっていうのがほとんどだけど、僕のところは種をまく前のたい肥を作るっていう最初の段階から最後まで全部やれるのが、ある意味自立できてる所とかいいなって思うなぁ
そういう仕事って中々できなくて1次産業の全部を総なめできてるところが面白いし好き。

ー自分で作り上げてるんだぞ感がありますよね。
高)そうそうそう、農家はクリエイターだと思ってるんだよね。
僕の場合、ごみからたい肥を作って野菜を販売して売るっていう行為とかね。

ーどちらも自分で考えて作り出すということを行っていますもんね!
あ、ずっと聞いてみたかったのですが、よければ高谷さんの推しのたい肥、「推したい肥」を教えてください。

高)推しっ!?
推しのたい肥かぁ、初めて聞かれた(笑)

ー最近流行っているので。急にすみません(笑)
高)それでいうとおからをベースのたい肥かなぁ。うちでは「オカラモン」って名前で売ってるんだけどね。

ーオカラモンですか。
高)オカラモンは軽くて扱いやすいし、発酵が良くて。実際に使ってて良くなってくのが実感できるね。いいたい肥ですよ。
それにしても推したい肥って初めて聞いたなぁ(笑)

ー高谷さんの推しが聞けてよかったです(笑)
それでは、他の農園に負けないぞポイントを教えてください!
高)土を育てて野菜を育てるっていうのがうちのコンセプトにしてるんだけど、やっぱりそれをやってる農家さんがあまりいないんだよね。ほとんどの農家の人って、土は買ってきたものを使う人が多くて。全然悪いことではないんだけど。
料理人って買ってきた食材を使って料理すると思うんだけど、それって食材の次点でかなりのことが決まってると思うんだよね。だからその食材をどう表現するのかっていうところが料理人なんだと思うんだけど。
野菜を作るっていうのは肥料の質がとても重要だと思うんだよね。それを主体的に決められるっていうのは大きいと思う。

ー有機農業を行っている農家さんは最近多いですけど、土から作っている農家さんはみないですもんね
高谷さん)だいたい牛糞とかもらってきてまく人が多いけど、そこにひと手間かけて自分が作りたくて。求める味に近づけたら面白いと思うんだよね。

ー他の農園に負けないポイントはありますか?
高)培養土は今人気だけど世の中にそんなにないと思うんだよね。あそこまで質のいい培養土が。すごくいい苗ができるし、縁の下の力持ち感があるのが個人的に好きだね。
栽培がうまくいったって聞くと、ああ、俺の培養土がうまくいったんだなって思うね。
もともと自分がたい肥を始めたきっかけが培養土だったし、対象者は新規就農者だから、有機農業が広まる一助になったら嬉しい。たい肥も作るのが大変だからね。

ー高谷さんにとって五段農園とは何ですか?
高)なんか、プロフェッショナルみたいなこと聞くね!全然考えたことなかった!(笑)
えー、そうだなぁ……。
自分の好きなことをやりながら、人とつながったり経済的に成り立つことができるフィールドかな。実際お金も必要だし、それが収入に繋がるような農業をしながら堆肥のことを始めたことによって、多分ただ農業をやってただけだと、絶対に広がらなかったんじゃないかっていうくらい色んな繋がりができたし。サラリーマンとして農業に関わってきた時とはまた違う世界が見えるようになったね。
端的に言えなくて申し訳ないけど。

ーいえいえ!
むしろ、熱く良いお話で、背景からプロフェッショナルのBGM聞こえます。
高谷さんが、仕事をするうえで心がけているまたは信条みたいなものはありますか?
高)信条かぁ…自分が凄く心がけてるのは優先順位かな。優先順位の付け方がセンスの根底かなって、それさえ上手くやればなんとかなると思うんだよね。
畑の仕事をしてる時も、何かを取りにいくときは、絶対手ぶらで帰ってこないようにしてるんだよね。何かしらは手に持つようにするし、人にお願いする時も何かプラスでお願いする、みたいに最小限の動きをするようにしてるね。まぁ、楽したいだけなんだけど(笑)

ー大事なことですよ(笑)
優先順位の付け方かぁ…。すごく苦手なんですよね…。

高)そこに時間を割くくらいがちょうどいい気がするなぁ。俺も順位付けないで仕事するとごっちゃになっちゃうから、仕事を始める前にタスクを洗いざらい書いて、そのタスクたちの順位を1〜5に分けて、5からやっていくみたいな。5をやるときに1のタスクもできるじゃんってなったらそれも一緒にやっちゃえば時間の短縮になるし。

ーなるほど…!!
インタビューのつもりが、自分にとってものすごく身に染みる話になりました!


マルチワーカーに作業の指導をしている様子


ー高谷さんが今努力していること、勉強していることはありますか?

高)土壌医の勉強かな。2月に土壌医っていう試験があったんだけど

ー土壌医??

高)そうそう、土壌のお医者さんで土壌医っていうんだけど、その資格の1級を合格したんだよね。
それが結構大変だった…。凄い時間勉強してさ。

ーどうして土壌医の資格を取ろうと思ったんですか?
高)元々有機農業っていうのは概念的な部分が多くて、経験的にできてきたからこうすればいいとか。それに対して今の農業はある程度数値化されててこれが足りないからこれを入れるみたいな感じになるんだけど、有機農業にも、そんな化学的な視点を持って現象を説明できるようになりたいなと思ったのがきっかけかな。

ーなるほど…
高)これが本当によくて、土壌医の勉強って、有機のことだけじゃなくて、慣行農法の話もあるんだよね。化成肥料の話とか。それをもっと知るとすごい視野が広がったんだよね。実際、今まで見えなかった土の中のことをイメージできるようになってきたし。
これから先、有機農業が表舞台に引き上げられる状態になると思っているんだけど、そうなった時にいつまでもイメージだけで話していてはだめなのかなって、その辺もちゃんと説明できるようにならなきゃかなって思って。
勉強するのは嫌いじゃないから、試験の後も土壌医の勉強はわりとやってます。

ー勉強はいつから始めたのですか?
高)去年から2級を受けて、合格したから今年は1級を受けたかな。1級はレポートとかも出さなきゃだから大変だったんだけど、まぁ何年かかってもいいから受かろうって気持ちだったんだけど無事に受かってよかった。

ーちなみに1級の試験に受かるまで、勉強はどのくらいしましたか?ざっくりとで大丈夫です!
高)どのくらいだっけ…。1月とかは1日5時間くらい勉強した気がする。
トータルだとどうだろう…。200時間くらいは勉強したきがする。

ー200…!!すごい…!
高)もう45になってこんなに勉強するなんてことないからさ、強制的にこういう状況に身が置けるのは楽しかったね。

ー学校を卒業したら勉強をする機会ってそんなにないですよね。
高)そうだよね。でも、この年になって勉強するのがすごく楽しいんだよね。
山田さん(インタビュアー)は大学卒業したてだから、まだ解放感に浸ってると思うけど(笑)

ーそうですね、勉強から解放された生活を楽しんでいます(笑)
高)高校や大学の時代に、自分から学びたいと思って学ぶことの楽しいって気持ちでできてたら、自分はもっと凄い人物になってたのかなって。学生の時に、学ぶことの楽しさを教えられる先生って凄いなって思うよ。
どんなに大人になったら役に立つからとか、これ面白いからやれって言われてもやらないよね。

ーやらないですね。
高)そういうのに早く出会えた人は凄く充実した人生を送れてるんだろうなぁって思う。僕もサラリーマン時代に熱心に勉強しなかったし。農業をやり始めてから色々不可解なことにぶち当たる機会が多くなってから勉強を始めたもん。

ー不可解なことですか。
高)たい肥のことだと、なんでこれでちゃんとできるんだろうとか、現象として分かってはいるんだけど説明ができない。それがちょっと歯がゆくて色々勉強しているうちに土壌に行きついたんだけど。
本当に面白かったよ。

ー土壌にも医者があるなんて知らなかったので、土壌医の資格と聞いて最初は何のことか分からなかったです。
高谷さん自身は楽しんでやられてたと思いますが、努力したからこそ取れた資格ですね…!

高)1級の資格受かったときは本当に嬉しかったなぁ。持ってる人、全国でまだ300人くらいしかいなくてさ。

ーその300人の内の1人に高谷さんが入ってるんですか!
高)一応ね(笑)

ーそれは胸を張っていいことですよ!
高)知ってる人は土壌医なんですかっ!?って聞かれるから、ちょっと誇らしげにはい。って言うんだけど、でもそうするともの凄い専門的なこと聞かれるから、すみません、まだ新米なんですよ…ってなるね(笑)

ーなるほど(笑)
1級を取ったその先を今は勉強中ということですね!
高)そうだね。土壌についてはこれからも勉強していきたいなって思う。

ー私もそう思えるものに出会いたいです。
最後になりますが、五段農園さんの未来の色を教えてください!

高)色…。色っていうのは具体的な色じゃないよね?

ー本当の色ですね!緑とか白とか!
よければその色にした理由も教えてください!
高)本当の色か!(笑)
え、それなら青かな。

ー青!!!
高)うん。僕、今「ブルーコンポスト」っていうのを仲間と一緒に立ち上げたんだよね。このブルーコンポストっていうのが、生ごみみたいな最終的に廃棄されるものを、資源としてたい肥にするっていう循環に繋げるっていう役目なんだよね。なんでブルーかというと、グリーンな物を作るコンポストではあるんだけど、それがブルーな地球を作るってことでグリーンを超えてブルーに、それでブルーコンポストって名前になった。
グリーンコンポストだとちょっと普通だよねぇって。これはブルーだって。

ーグリーンを超えてブルー…なるほど…!!
高)そのブルーコンポストって名前を決めてから、自分の中で深い青みたいな色がテーマカラーになってるね。

ーなるほど、ブルーコンポストのこともあって未来の色は青ということなんですね。
高)今はそれが凄く面白そうだなって思ってて、たい肥作りの技術が農家だけじゃなくて一般社会にインストールされていって、家庭レベルでも、企業レベルでも広まって循環できたらいいなって思うね。

ー廃棄されるものを資源に変えるなんて、今の世の中に必要なことだと思いますし、高谷さんが楽しそうにたい肥について話しているのを聞いて、たい肥に興味を持ちました!
高谷さん、ありがとうございました!

五段農園HP
五段農園 (5dan-farm.com)

Instagram
https://instagram.com/yuichiro_takaya?igshid=MzRlODBiNWFlZA==

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