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郡山・会津若松旅行記・2023夏(3/n)

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0/n:1日目早朝
1/n:1日目午前
2/n:1日目昼
3/n:1日目正午過ぎ

1日目・正午過ぎ

宿泊地。猪苗代湖の宿泊地を検索すると、ここともう一つで独占されていた。

寿司屋から車を走らせ、1時間ほどで目的地に着いた。猪苗代湖の3時の方向にあるその店は、いくつかのサウナとグランピング施設を持っていた。snowpeakと業務提携しているのか、そもそもsnowpeakがやっているお店なのかは分からないが、とにかくsnowpeakの商品が多く販売・レンタルされていた。

受付の女性に、本日宿泊する者であると伝えると、チェックインまでもう少し待ってほしいと伝えられた。まだ2時間ほどあったものの、まあ大丈夫だろうと考えていたが、そう甘くはなかった。猪苗代湖を一周でもして時間を潰そうかと考えたが、少し離れたキャンプ場でイベントをやっているから、行ってみてはどうかと伝えられた。ロケ番組のような展開が起きた。旅先で出会う人からの紹介を、数珠繋ぎしていくという旅行は過去あまりしてこなかったが、今回の旅行はそうなる気配があった。今回の旅は一泊二日で、この場に泊まること以外、特に計画もなかったからだ。北海道旅行や、GWの東北縦断旅行が懐かしく感じた。人のすなるゆとりのある旅というものを僕もしてみむとてするなり。

車を再度走らせ、はたと気づいた。空が広い。空が遠い。青く突き抜け、雲もまばらに、空の麓に山が連なる。日本中にあるであろうこの夏の風景に、昨夏の北海道を追憶した。あの旅行の同伴者は元気にしているだろうか。3ヶ月連絡をとっていない。

猪苗代湖を囲うかたちで輪になっている一本道を、反時計回りに、3時から2時に向かって北上した。15分ほどで目的地に着いた。イベントが開かれているという天神浜キャンプ場の看板を目に、左折してキャンプ場に入ろうとすると、警備の者に止められる。どうやらこの道から入れるのは関係者のみらしい。僕らの前の車も、同じ轍を踏んでいた。二台がほぼ同時に切り返し、再度一本道に戻って北上した。すぐに目的地に着いたので、再び左折した。

湖に向かって進んだのち、湖まで100mのところで、再び左折。やや細めの林道を進んだ。すぐ隣に、国内で4番目に大きな湖があるとは思えないほどに林だった。わだちにある水たまりが、昨日の雨を知らせる。決して晴れではなかったが、雨でないだけ幸福だった。林のなかには、ここがキャンプ場だと知らせるに十分な建物が複数あった。

交通案内人に途中で指示されつつ、駐車場にたどり着く。200台ほどの駐車場が7,8割埋まっていた。福島県の青年会だかが運営している年次での祭りらしい。入口でリストバンドを巻かれたあと、いくつかのアンケートへの回答を依頼された。自分の回答が小丸のシールとして、回答した選択肢の枠に貼り付けられる仕組みだった。シールの色は複数あり、色には何の意味があるか聞くと、意味はないようだった。僕の職業人格が瞬間現れ、そして、消えた。

中を見回る。木の密度の低い林、つまり、典型的なキャンプ地であるこの場所に、複数台のキッチンカーが並んでいる。冷やし胡瓜、スーパーボール救い、焼きそば、ビール。シャーベットが食べたかったのだが、それに類するお店はなかった。少し歩いた先に、猪苗代湖が見えた。少し前に見たばかりだったが、その大きさに新鮮に驚く。南関東出身の僕の中で、湖といえば山中湖なのだ。そのスケールではない。十和田湖にも感じたが、大きい湖には、湖の持つ可愛らしい印象を消し飛ばず力を持っている。やはり、質量は正義だ。たくさんあるだけで、大きくあるだけで、迫力がある。唯一無二性を感じ始める。自らの視点で解釈をしたくなる。

湖畔は十分に広く、荷台が横から開くタイプの大型トラップが鎮座しており、開けられた荷台の上から町長が挨拶していた。4、50人の中年男性が、地上から話を聞いていた。地上の中年男性たちが町長に対して、あなたに関心を向けていますよというシグナルを最低限出しているのを見て、我々ホモサピエンスが社会性動物であることを思い出しながら、駐車場へ戻った。

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