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郡山・会津若松旅行記・2023夏(0/n)

明日を祝って 明日を夢見て
どこかしら似てるような僕らに祝福を
ゼローー

Plastic Tree『ゼロ』

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0/n:1日目早朝
1/n:1日目午前
2/n:1日目昼
3/n:1日目正午過ぎ



1日目・早朝【米沢〜郡山】

その日の朝は、山形県・米沢にいた。前日に新幹線を降りそびれ、米沢の東横インに泊まる羽目になっていた。米沢は、東北地方におけるめぼしい都市の一つで、米沢牛を掲げて東北の中核都市を成しているーーと思っていたが、新幹線の改札口を出るやいなや、コンビニすら、ロータリーすらない都市だと気づいた。それにもかかわらず、Googleマップで見つけた民宿に電話をかけるも空きはないとの声。にわかに野宿の気配が忍び寄ってきたが、東横インは何とか空いていた。ほっと胸を撫で下ろすも、そもそも降り損ねることがなければ無駄な出費も手配も発生していなかったことを思い出し、改めて肩を落とす。

というのも、今週末は土曜の午前から、友人と猪苗代湖でキャンプをする手筈だった。自分よりもだらしのない友人との旅行であったために、必然、その会を律儀にリードする立場だったため、前日に家に辿り着けずに待ち合わせ場所に遅刻するというズボラなことがしにくい状況だった。

几帳面偏差値47と45の違いだが

話は冒頭へ戻る。早朝午前7時前に、米沢駅の新幹線のホームにいた。なんでも、新幹線を降り損ね、戻りの新幹線がない場合、翌朝始発での帰還であれば、誤乗車扱いで無料で帰ることができるというイレギュラーな方法があると、駅員に伝えられていたからだ。気弱ながらも優しそうな駅員がその旨を伝えてくれたことは、昨夜の僕のこころをほのかに灯した。正直、キャンプの待ち合わせ時刻までは余裕があったために、無料で帰れなくとももう少し寝ていたかったが、昨夜の駅員の気遣いを無下にすべきでないという使命感から、今、ここに立てていた。他者への思いを行動の起因とする。何と美しいことではないか。人間こうでなくてはいけない。立派なものだ……などと、新幹線もろくに降りられない自分を称揚しているうちに、自宅についていた。時刻は午前8時過ぎだったか。

自宅で荷物をまとめる。貴重品と充電器具を小さな袋に入れ、アウトドア用にジーンズとデニムジャケットを着る。時間に余裕はあったが、ここで横になったらしまいだということも分かっていたので、家を出た。新幹線に乗る前に、東北まで来てくれる友人2人への土産を買い、待っていた。1人は、既婚であることを聞いていたので、くるみゆべしを10個入りから15個入りにしていた。

10年近く会っていなかった高校の友人と、何を話すか考えながら、郡山行きの新幹線に乗った。その日は7月の初日。毎年恒例の、気づいたら夏が来ていたというやつだった。

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