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パリの必見スポット、パリ植物園付属動物園

フランスの首都パリ。世界的に有名な美術館や建造物が多く存在し、グルメ、ファッション、観劇などの見どころも満載の、言わずと知れた観光地である。旅番組で紹介されることも頻繁にあり、実際に訪れたことのある方も多いであろう。そんなパリの外せない観光地と言えば、何といってもパリ市内にあるパリ植物園付属動物園(Menagerie, le zoo du Jardin des plantes、発音記号は文字化けの可能性があるため略)である。なぜわざわざパリにまで行って動物園なのか? と思うかもしれないが、この動物園、実は日本では見ることが難しい動物の宝庫なのである。パリ市内に位置していてアクセスがよく、またあまり広くないので空いた時間に気軽に行くことができることも魅力だ。今回の記事では、日本で見ることが難しい動物、特に哺乳類を取り上げて、この動物園の見どころを紹介していこう。

※掲載している情報は2018年頃のものになります。また、2020年5月現在フランスは入国が制限されている上、パリ植物園付属動物園も臨時休業中です。最新の情報に注意して下さい。

1.行き方

まず、パリには2つの動物園があることに注意しよう。1つは今から紹介するパリ市内の「パリ植物園付属動物園」、もう1つはパリ郊外のヴァンセンヌの森にある「パリ動物園」(Parc Zoologique de Paris)である。大まかに言って、植物園付属動物園は比較的小型の動物、パリ動物園には比較的大型の動物が飼育されている。パリ動物園についてはまた別の機会に書くことにする。

パリ植物園付属動物園への行き方は簡単なので、パリを始めて訪れる人でも安心である。パリの主要駅の1つ、オーステルリッツ駅(Gare d'Austerlitz)のすぐ目の前なので迷うことはないだろう。オーステルリッツ駅へは、メトロやバスで行くことができる。パリ市内の交通の利用方法については、後で別の記事に書くことにしようと思う。

営業時間は、年中無休で平日は9時から18時、日曜日と祝日は9時から18時半、入場は閉園の45分前までとなっている(季節により変更の可能性あり)。入場料は13ユーロ、子供10ユーロであるが、家族割引などもある。チケットは窓口または券売機で買うことができるが、券売機はカードしか使えない上、ここに限ったことではないがフランスの場合はこうした機械の故障が多いので、窓口の方が確実である。チケットを買うということは相手も分かっているので、フランス語や英語が全くできなくてもどうにかなる。休日はやや混んでいるので、平日の昼間に行くことをおすすめしたい。

2.西側の動物

パリ植物園付属動物園は、だいたい8の字を横にしたような形をしている。中央の入り口から見て地図上の右側を西側、左側を東側とし、入り口から入ってまず左側に進む前提でそれぞれのエリアでの珍しい動物を紹介していこう。フランス語ではあるが、以下の公式ホームページから園内地図を見ることができる。左の「Informations platiques」と書かれている部分をクリックすると、開園時間や料金を調べられる。また、左上から英語も選択できる。パリに行く機会があったら情報を確認しておこう。

https://www.jardindesplantesdeparis.fr/fr/plan-menagerie-3676

ネパールレッサーパンダ(日本での飼育頭数:12頭)

入ってすぐの場所には、生まれたばかりの動物がいればその情報が載っている掲示板がある。もしフランス語が分からなくても写真で紹介されているので、何となくは分かるだろう。

さて、入り口から入ってすぐ左側には、レッサーパンダが飼育されている。レッサーパンダにはシセンレッサーパンダとネパールレッサーパンダの2種類がいる。しかし、日本で飼育されてるレッサーパンダは、伊豆バナナワニ園の個体を除いて、全てシセンレッサーパンダなのである。逆に、ヨーロッパの動物園の個体は全てネパールレッサーパンダであり、シセンレッサーパンダは飼育されていない。日本のレッサーパンダと顔が少し異なるので、パリに来たらぜひネパールレッサーパンダを見ておこう。

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ガウル(日本での飼育頭数:0)
レッサーパンダのすぐ近くには、大きな牛であるガウルがいる。主にインドに住んでいる野生のウシであり、生息数が減少している貴重な動物である。このガウルは、日本では見ることができない。パリではその巨体と大きな角を間近で見ることができる。迫力に圧倒されること間違いない。

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シロイワヤギ(日本での飼育頭数:1、但し公開は終了)
道なりに進んでいくと、フラミンゴのいる池と爬虫類館があり、そのすぐ先には小動物の檻もある。この辺りはパリの喧騒から一時離れることができる貴重な場所である。ここは大体園の北側、地図で言えば上の方の中央にあたる。その少し先にいるのがシロイワヤギである。野生ではアメリカのロッキー山脈付近に住んでいるヤギであり、白くてふわふわした毛並みがとても可愛らしい。日本では金沢動物園で飼育されているのだが、高齢になったため公開は既に終了しており、日本で見ることはできないが、パリの動物園ではすぐ近くから見ることができる。

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ゴーラル(日本での飼育頭数:1)
そのシロイワヤギの隣には、ゴーラルという動物がいる。ゴーラルとは、アジアに住んでいるカモシカの仲間なのだが、日本では京都市動物園で1頭飼育されているのみである(正確には、京都の個体はゴーラルの亜種という説があるオナガゴーラル Naenirhedeus caudatus、パリの個体はNaemorhedus griseus)。パリに訪れる機会があったらぜひ見ておきたい。

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ビサヤヒゲイノシシ(日本での飼育頭数:0)
ゴーラルを見たら、少し戻って、別の道に進んでみよう。すると、ビサヤヒゲイノシシの群れが飼育されている。この黒くて大きな体が特徴的なイノシシは、フィリピンのビサヤ諸島の固有種であり、絶滅が危惧されている。この動物も日本では飼育されていない。

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そのまま道なりに進むと、入り口に戻ってくる。今度は入り口から見て右側、東側の動物を見て行こう。

3.東側の動物

アッサムターキン(日本での飼育頭数:0)
入り口から右に行くと、すぐアッサムターキンを見ることができる。ターキンは、ウシ科ヤギ亜科に属する大きな動物だ。とはいえ、ウシでもヤギでもない独特の見た目をしているので、ぜひ実物を見てみよう。日本では多摩動物園などでゴールデンターキンが飼育されているが、アッサムターキンは日本では飼育されていない。だが、パリの動物園であれば間近で見ることが可能である。

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アノア(日本での飼育頭数:0)
ターキンのすぐ先にいるのが、インドネシアスラウェシ島固有の小型のウシ、アノアである。このアノアも日本では飼育されていない。先に紹介したガウルやターキンと比べてみれば、その小ささがよく分かるだろう。

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ウンピョウ(日本での飼育頭数:6)
アノアの檻から北、地図で言うと上に向かって進んでいくと、左手にサルの家があり、その先にはネコ科動物の家がある。実は、このネコ科動物の家こそ、この動物園最大の見どころなのである。ここは屋内と屋外に檻が分かれているので、どちらかで動物の姿が見えない場合、もう一方から探してみよう。

そこで飼育されているのがウンピョウである。中国やインドに住む小型のネコ科動物であり、本種のみでウンピョウ属を形成する。日本ではズーラシアなどでごくわずかに飼育されているだけである。漢字では雲豹と書き、斑点ではなく雲が浮かんでいるような独特の模様が特徴的である。機会があったら実際に確かめてみよう。

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キタシナヒョウ(日本での飼育頭数:0)
このネコ科動物の家には、キタシナヒョウも住んでいる。キタシナヒョウは、名前の通り、中国北部に生息するヒョウであり、絶滅が危惧されている。別の亜種のヒョウであれば日本の動物園でも飼育されている場合もあるが、キタシナヒョウは日本で見ることはできない。パリの動物園なら、運が良ければガラス一枚隔てて観察することが可能である。

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カラカル(日本での飼育頭数:6)
さて、この家の端に住んでいるのが、独特な耳の形が目を引く、カラカルである。名前は聞いたことがあるかもしれないが、日本では広島県の福山市立動物園などでわずかに飼育されているのみであり、関東圏では1頭も飼育されていない。パリの動物園でぜひ見ておきたい動物の一種である。また、私が訪れた時には、運が良いことにちょうど赤ちゃんが公開されていた。上二枚が生後二ヶ月ぐらい、下二枚がその約半年後の写真であり、親とほとんど見分けがつかなくなっていた。

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このように、パリ植物園付属動物園は、パリ市内にありながら、魅力的で貴重な動物がたくさん飼育されているのである。今回紹介した動物は、そのごく一部である。パリに限らず、海外の都市を訪れる機会があったら、定番の観光地だけでなく、ぜひ動物園にも足を延ばしてみよう。日本ではなかなか見ることのできない珍しい動物に会えるかもしれない。海外の他の動物園の見どころについては、別の記事でまた改めて書くことにしよう。

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