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『その本は』という本

先日、書店に立ち寄った際に目に入ったのが、
又吉直樹さんとヨシタケシンスケさんのお二人の『その本は』という本。

又吉さんもヨシタケさんも好きなのでつい手に取りました。

プロローグを立ち読みして、買おうと即決。

久しぶりにこんなに即決で本を買いました。

自分のために本を買ったのなんて何年振りだろう。

活字中毒なのではないかと思われていた程ずっと本を読んでいないといけなかった私が仕事や家事育児に追われ、いつの間にか活字から遠のいてしまって長い文章が読めなくなって、苦手意識さえあったのに。

『その本は』すんなりと読めてしまいました。

あらすじは2人の男が本好きな王様に世界中の本にまつわる不思議な話を毎夜語るという話。

全て「その本は、」の書き出しから始まる短編集。

クスッと笑えて静かに泣けて少し考えさせられたりもして、オチが綺麗で、何より、本のことが好きになれる本。

どの本の話も読んでいて心地良い気分になりました。

その中でもすごく気になった一節を紹介させて頂きます。

どんな人も、自分自身を救うことはできない。
できるのは、自分以外の誰かを救うことだけなのだ。
だからこそ、誰かを救う努力をしなければいけないのだ。
他の誰かに、自分を救ってもらうために。 

これは第6夜のヨシタケシンスケさんのお話に出てくる一節で、読んだ時に、なぜかこれは"覚えておかなくてはいけないな"と思いました。

"まさにその通り"と思った訳でもなく、"そうじゃないだろ"と思った訳でもないのですが、なんだろう、文章にすると難しい。

そういう考え方もあるのか、確かにそうかもな〜、とふんわり思ったんですよね。

別に誰かに助けて欲しいから助ける訳ではないのだけど、きっと巡り巡って誰かが自分を助けてくれることって私はなんとなくある気がしてる。

例えば、私は今や一児の母だけど、妊娠中に熱中症でバス停で倒れかけていた時声をかけてもらえて助かったことがあったり、電車で優しくしてもらえたり、その経験があるから、私は困っていそうな親御さんが居たら絶対に声をかけると心に決めている。

それってバス停で声をかけてくれたあの女の子がいつかお母さんになった時に、巡り巡ってどこかの誰かに優しくされることに繋がるんじゃないかなぁと。

電車で席を譲ってくれたあのスーツのお兄さんはもしかしたら誰かに優しくしてもらった後なのかもしれないなぁとか。

優しくしてもらったら、誰かに優しくしてあげたくなるじゃないですか。(多分)

それに、誰かを救うことで救われる自分っていうのもいたりするなぁって

これは完全にエゴですけどね。

そんな風にこの一節で少し考えさせられました。

そして、この一節を読んだことによって、迷ったら助けておこう!自分のためになるかもしれないし!というマインドにもなりました(笑)

もちろん全部がこういうお話では無いです。全体通して、フランクに楽しく読めました!本や文字が苦手でもきっと読みやすいと思います。

絵本ばかり読んでいたけど、久しぶりに何か本を読みたいなと思わせてもらいました。


「その本は、」一冊なのに何冊も読んだような気になる不思議な本でした。


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