見出し画像

【動物園水族館訪問記】その5 沖縄こどもの国~「こども」だけじゃない!動物達との出会いがセンス・オブ・ワンダーを育む~

皆様こんにちは!残暑残る中、いかがお過ごしでしょうか?私は日々節約生活をしつつ、次回の遠征費用を必死に貯めております(笑)遠征に行く時以外は専ら自炊&節約生活をしつつ、空いた時間にこういった執筆活動や写真整理をしております。仕事やZOO活、そして執筆活動と忙しい日々を送っておりますがやりがいのある充実した毎日を送っているので楽しいです!

さて、今回は沖縄遠征の第4回目です。訪れた施設は『沖縄こどもの国』。訪問する前は昔から地元の人に愛される大型の動物園といった印象でしたが、実際に訪れると「沖縄の歴史文化も学べる」観光客の方も楽しめる動物園でした!さらに保護者に嬉しい施設サービスも充実しており、小さなお子様連れの方も安心して楽しめる施設だったのが印象的でした。
沖縄遠征のその他の記事は以下のリンクにまとめてあります。まだ見てないよーという方がいらっしゃいましたら、是非こちらもご一読下さい。

☆DMMかりゆし水族館

☆ネオパークオキナワ

☆沖縄美ら海水族館


1.沖縄こどもの国とは?

沖縄こどもの国は「人をつくり 環境をつくり 沖縄の未来をつくる」ことを理念とし、沖縄県の体験型生涯学習施設・社会教育施設として1970年5月5日に沖縄本島中部、沖縄市にオープンしました。動物園エリアでは約150種類の動物を飼育しており、琉球列島の野生動物や在来家畜をはじめとした世界の野生動物達に出会うことができます。

「沖縄こどもの国」メインゲート。白地のアーチに園内ロゴがデザインされたシンプルなつくり。
「沖縄こどもの国」の園内マップ。動物園の機能を持つアニマルゾーンとこどもの遊び場があるパークゾーンに分かれている。
園内にはこどもが感性や創造を育みながら遊べる室内施設「ワンダーミュージアム」や釣り堀、水遊び場といった施設も点在する。

2.園内の紹介

沖縄こどもの国では琉球列島の生き物をはじめとする世界中の動物達が数多く飼育されています。ゾウやキリン、ライオンといった大型動物も飼育されている、沖縄県最大の動物園です。今回は園内の各エリアをざっくり紹介していきたいと思います!

■琉球弧

琉球弧(りゅうきゅうこ)という言葉をご存じでしょうか?琉球弧とは九州の南端から台湾に至るまでの約1200kmの距離を連なる100以上の弧状列島のことです。亜熱帯海洋性気候に属しており、一年を通して温暖湿潤な気候です。琉球弧は北琉球・中琉球・南琉球と分けられており、それぞれの独自の生態系を築いています。
沖縄こどもの国ではそんな琉球弧に生息する生き物の飼育展示に力を入れています。このエリアでは来園者に地元の生き物をもっと知ってもらいたい!。。。そんな熱意の詰まった展示が盛りだくさんです。

動物園エリア入り口付近に設置されている「琉球弧」のオブジェ。沖縄こどもの国が特に推している、地元の生き物をメインに展示するエリアだ。
複雑に入り組まれたヤクシマザル舎。獣舎の中央部分が開いており、来園者が入れる作りになっている。来園者はサル達と同じ目線で観察することができる。
獣舎の中央エリアからヤクシマザルを観察した時の写真。
島ヤギの放飼場。現地の言葉で「島ヒージャー」と呼ばれている彼らは家畜として昔から親しまれている存在だ。敷地内はそこまで広くないが高台や建物上も利用した、高低差を生かした放飼エリア。ヤギの行動量を増やす工夫がされていた。
高台の上にいる島ヤギ。人間だと震え上がるほどの高さだが、ヤギ達はへっちゃらな模様。

琉球弧の生き物については次項『3.沖縄こどもの国のここが好き!』でより詳しく紹介しています。

■里山の迷宮

里山の迷宮」と名前がつけられたエリアでは日本(本州)の里山を生息地とするタヌキやキツネ、ツキノワグマといった哺乳類をメインに飼育しています。一般に「里山の生き物」と呼ばれている生き物達は沖縄本島には生息していません。つまり、沖縄の人々にとって「里山の生き物」は『かちかち山』や『金太郎』など「昔話の世界の住人」なのです。本物のタヌキやキツネを一度も見たことのない沖縄のこども達―ここはそんなこども達に直接見てもらうことで、日本の里山の生き物をより身近に感じてもらうことを目的とした施設です。

里山の迷宮の入り口。かわいらしいフォントで作られたロゴとタヌキとキツネのオブジェが愛らしい。
日本の動物ではないが、このエリアではマレーグマも飼育されている。南国の草木が植えられており、開放的なマレーグマ舎はなんとも沖縄らしい。
マレーグマの「マーズ♂」。この日は猛暑日、さすがのマレーグマもこの表情。
「里山の迷宮」の案内板には一般的な日本の里山の風景が描かれている。本州ではおなじみだが、沖縄では絶対に見られない光景だ。
ホンドタヌキの「オワリ♂」。名前の由来は故郷「東山動植物園」のある『尾張』地方から。沖縄こどもの国は沖縄本島で唯一、ホンドタヌキが見られる施設だ。

■草食獣のあしびなー

あしびなー」とは沖縄の言葉で「遊び庭」の意味。人々が集まり交流する場という意味があります。このエリアではカバやゾウ、キリンといった大型の草食動物達が数多く飼育されています。

チンパンジー舎。複雑に入り組まれた消防ホースが獣舎内に張り巡らされている。
茎を使って起用にジュースの飲むチンパンジー。
年季の入ったカバ舎。あちこちでリニューアル改修工事が行われている園内の中では異彩を放つ。飼育されているのは「モモ♀」と「水美♀」の母子。
改修工事中のアミメキリン舎。園内はリニューアル工事がどんどん進められている。
広くて開放的なアジアゾウ舎。地面には土が敷かれておりアジアゾウにとっても快適。
アジアゾウの「琉花♀」。この日はちょうどごはんの時間に遭遇。
こんなところにも沖縄らしさが。もらってるエサは(おそらく)サトウキビの皮。
こちらはオスのアジアゾウの「琉人♂」。長い牙が凛々しい。

■ハンターの潜む秘境

アマゾンの古代遺跡をモチーフとした施設内ではジャガーや爬虫類等、熱帯湿潤な地域にくらす動物を中心に飼育されています。まるで遺跡探検をしているような内装の爬虫類飼育エリアや、ウッドデッキが入り組んだ屋外エリア、高低差を生かしたジャガー舎等、見どころ満載!来園者の好奇心を掻き立てられる展示デザイン・工夫に終始ワクワクしっぱなしでした!

「ハンターの潜む秘境」外観。南アメリカの古代遺跡をイメージしたデザイン。
爬虫類の展示エリア。内装も古代遺跡を模したデザインで彩られている。
気持ちよさそうに水浴びをするオオアリクイ。一般的にアリクイといえばオオアリクイを想像する人が多いが、日本で飼育されている動物園は意外と少ない。
「ハンターの潜む秘境」を俯瞰で見た景色。屋外エリアではオオアリクイ、ジャガー、リクガメ等が飼育されている。この日は猛暑日。強い太陽光に備えるため、獣舎のあちこちに日よけが設けられていた。
眠そうな表情でこちらの様子を伺うジャガーのこども。
厳つい顔つきのジャガー「ハク♂」。

■ライオンフィールド

ここはライオンたちの住処「ライオンフィールド」。岩場や高低差を生かして作られたライオン放飼場は生息地を再現されており、来園者は様々な角度・視点からライオンを観察することができます。最上階は休憩所にもなっており、景色抜群!園内を一望することもできます。

ライオンフィールド全景。通路はスロープ状になっている部分もあるので足の不自由な方や車いすの方も安心して見学することができる。
ホワイトライオンの「セラム♂」。ライオンの白変種は世界でも見られる施設が少ない。
中階付近から見たライオンフィールド。獣舎の周囲に園路が敷かれているので、上からも下からも自由に見渡すことができる。
上階から見た景色。ライオンが登れる岩場の奥には沖縄市の街並みが広がっている。

3.沖縄こどもの国のここが好き!

沖縄こども国で私が見つけた「ここ、いいな!」という所を紹介していきます!郷土の生き物や文化を学べる展示や、来園者目線で考えられた便利な施設サービスといった、来園者が動物園を楽しく過ごせる工夫が多々みられました。

■こどもと一緒に楽しめる動物園

沖縄こどもの国は親子で楽しめる工夫が盛り沢山。小さなお子様を持つ保護者には嬉しい室内ベビールームやこどもが喜ぶ遊び場といったうれしい施設が園内のあちこちにあります!これなら安心して小さなお子様と動物園を楽しむことができます。

琉球弧エリアで見つけたベビーケアルーム。建物内で授乳やおむつ替えができるようになっている。入り口に空席か使用中かがわかる伝言掲示板が設置されているのが良い。
東ゲートにもベビーケアルームが。こういった施設が園内のあちこちにあるので急なトラブル時にも助かる。
ライオンフィールド隣に設置されているブランコ。来園者は自由に遊ぶことができる。奥にはライオンフィールドへ繋がるアスレチックのようなデザインの階段もあり、こどもだけでなく大人の好奇心もくすぐられる。
ライオンフィールド内にある「BASE」。レンジャーの活動基地をイメージした施設内にはライオンの写真が飾られた休憩スペースになっている。室内からガラス越しにライオンも観察できる。
「BASE」内にはレンジャーの活動に必要な道具がインテリアとしてデザインされている。観察メモボードもあり、来園者がライオンを見て感じたことを自由に書くことができる。
園から保護者や教師に向けられたメッセージ。動物園は単にレクリエーションの場としてではなく、教育・学習の場としても機能している。

■生き物達を通じて琉球弧の歴史文化を学ぶ

前項「2.園内の紹介」でもご紹介した琉球弧(りゅうきゅうこ)。沖縄こどもの国では琉球弧の生き物を数多く飼育しています。展示エリアでは琉球弧と人々との文化歴史を学べるパネルもたくさん掲示されています。

ヤクシマザルの家系図。うちなーぐち(沖縄の方言)で書かれた説明文は読むだけでも面白い。
島ヤギ(島ヒージャー)の解説板。ヤギは沖縄では昔から家畜として身近な存在。
ウタイチャーン(沖縄在来鶏)。美しい鳴き声からウタイチャーン(唄う鶏)と名付けられた。沖縄県指定天然記念物に指定されている。
ウタイチャーンの解説板。こちらも昔から沖縄の人々に家畜として親しまれてきた生き物。鳴き声の美しさから主に観賞用として飼育されている。
島ウヮー(沖縄在来豚)。かつては正月の時にのみ食べられる特別な食材だった。食肉業界では「アグー豚」の愛称でブランド豚としての取引もされている。
大木に繋がれている口之島牛。どこか田舎の風景を思い出す一枚が撮れた。
口之島牛の「しのぶ♂」。こちらも昔から日本で飼育されている生き物だが、口之島牛を見られる動物園は数少ない。
口之島牛は日本で唯一野生化した牛。もともと家畜である牛が野生化した例は世界的にも珍しい。トカラ列島北端の口之島に生息しているため「トカラ牛」とも言われている。
牧場のような広々とした広場。ここでは家畜生物へのエサあげ体験や乗馬体験ができる。
ウマは沖縄では「ンマハラシー」と呼ばれる競馬も行われているほど身近な存在。この日の夕方、運動がてら飼育員さんが与那国馬を走らせていた。
ンマハラシーの解説板。動物園はこういった郷土の歴史文化を伝える場でもある。
美しい羽模様と黄色い瞳が特徴のカンムリワシは西表島や石垣島に生息している。
カンムリワシの種名版と解説板。解説板右下のQRコードを読み取ると野生下の保全状況の解説を見ることができ、より詳しく知ることができる。
あくびをするリュウキュウヤマガメとセマルハコガメの交雑種。本来は出会うことのない2種だが、人間により持ち込まれた影響でこういった交雑種が生まれてしまう。
交雑種についての解説板は日本語のほかに英語も併記されている。

■来園者に優しいたくさんの休憩所

沖縄こどもの国で印象的に残った所一つに「エアコン付き休憩所の多さ」があります。園内のあちこちにエアコン付きの休憩所や日陰のあるベンチがあったのが印象的でした。高温多湿の厳しい環境下にある動物園。。。正直言って一日中野外で活動すると体調を崩します。筆者も訪問中、こちらの休憩所にたくさんお世話になりました。
詳しくはこちらの記事で紹介していますので、併せてご覧ください↓↓↓

ユーラシアカワウソ舎内にあるエアコン付きの休憩所。畳を使ったベンチも併設されておりかなり快適。
チンパンジー舎の内通路にあるエアコン。出入口を常時開放しているにもかかわらずエアコンがかけられていた。
トイレとベビーケアルームが併設された施設。室内はエアコン付きの休憩所も兼ねており、小さいお子様を連れた家族連れが涼しんでいた。

4.まとめ

皆様いかがだったでしょうか?「沖縄こどもの国」は動物好きの方はもちろん、沖縄観光に来た観光客にとっても楽しめる、かなり充実した動物園でした!こどもが(もちろん大人も)ワクワクする園内の仕掛けや工夫がたくさんあり、親子で楽しく学べる施設としてこれほど秀逸な動物園はないでしょう。

沖縄こどもの国は「こどもの夢を育み、健康を増進し、情操と知識を豊かにする」施設としてオープンしました。こどもが動物園を訪れることによって同じ地球に生きる動物達に興味を持ち地元の文化歴史を知り自身の知識や考えを豊かにすることができる、いわゆる「センス・オブ・ワンダー」を育む場所として最適だなと感じました。これからも「沖縄こどもの国」が「こども」達のための(もちろん大人や動物達のためにも)動物園としてますます発展することを願っています。

次回の更新もお楽しみに!ここまで長文に付き合って下さり、ありがとうございました!!!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?