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アイスクリームと脱走者【完結】

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長編小説/全62話/14万5千字程度/2017年に初めて書いた小説です。
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2021年5月の記事一覧

アイスクリームと脱走者/6

6.アイスクリームはキープで  コンビニでガリガリ君とハーゲンダッツを買い、ヒロセさんの車…

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アイスクリームと脱走者/7

7.愛は痛いもんだ  店長と一緒にヒロセさんのマンションを出て、そっとスマホを確認すると、…

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アイスクリームと脱走者/8

8.友達とかプライバシーとか  彩夏の部屋にいた”友達”は、切れ長の目をした、中性的な顔つ…

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アイスクリームと脱走者/9

9.離婚届は 「圭、何時に出る?」 「何時でも」  圭はのそっと立ち上がり、緩慢な動作で身…

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アイスクリームと脱走者/10

10.学祭前夜に  十月、最後の金曜日。街路樹はすでに色づきはじめていた。  近づく冬から逃…

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アイスクリームと脱走者/11

11.左手の傷を隠す  深夜の国道を、海岸に向かって車を走らせた。大学からほど近い場所で、彩…

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アイスクリームと脱走者/12

12.そんな時代じゃないから  大学祭一日目。  目を覚ますと、外は気持のよい秋晴れだった。山は紅く色づきはじめている。   「千尋、そろそろ起きんと、お昼になるよ」  窓を開けると、祖母が玄関先からこちらを見上げていた。両親と兄の車はなく、三人とも出かけたようだった。父の会社はイベントの企画や機材の貸し出し、消耗品の販売を行っていて、この時期はいつも忙しくしている。  台所のテーブルには目玉焼きが置かれていた。ガラス戸を引いて居間をのぞくと、祖母がソファに横になってい

アイスクリームと脱走者/13

13.アウティング?  大学の正門に着いたときには、どんよりした雲が空一面に広がっていた。 …

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アイスクリームと脱走者/14

14.講義室は空いてない  文学部棟前の広場まで来ると、ずいぶん人通りは少なくなった。広場の…

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アイスクリームと脱走者/15

15.知らないほうがいいこともあるけど  圭とわたしは空き教室を探すのをやめ、ダンサーのいな…

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アイスクリームと脱走者/16

16.今夜は「happy icecream」  大学祭でのあれこれで落ち着かない気分のまま、わたしはうまし…

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アイスクリームと脱走者/17

17.罪悪感を越えて  遠くで啓吾さんの声が聞こえた。本当はすぐ近くだったはずだ。  煙草の…

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アイスクリームと脱走者/18

18.雨の夜に夢を見る  美月さんの住むシェアハウスは、二階建ての二世帯住宅だった。  玄関…

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アイスクリームと脱走者/19

19.構ってほしいから  ザアッと雨が吹きつける音がした。見慣れない天井。ぼんやりとくぐもった音は遠雷のようだ。  あまり眠れなかった。瞼が重く、体は鉛のようで立ち上がる気力がない。布団の中で丸まると、廊下からガチャとドアの開く音がした。足音が近づいて来る。 「千尋ちゃん、起きてる?」  なんとか体を起こし、襖を開けた。 「おはようございます、美月さん」 「おはよ。思いっきり寝起きね」  いつから起きていたのか、美月さんはスッキリした顔をしていた。昨夜の酒は少しも