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日々、発酵。微生物の生き方に学ぶ

わたしは自宅で麹をつくっています。
今回は、麹づくりを始めて感じた微生物からの学びについて、シェアしたいと思います。

麹とは?

そもそも麹って何?という方へ。
麹とは、お酒や味噌、醤油やみりんなど、日本古来のあらゆる発酵調味料や発酵食品のベースとなるもの。

塩麹などはスーパーでも気軽に買えるので、”麹”という言葉には馴染みのある方も多いかもしれないですね。
その、麹そのものの作り方について少しご紹介します。

まず、白米、玄米、麦といった穀物を浸水させ、水切りした後、せいろに入れて蒸していきます。穀物が芯から温まって、柔らかくなるまで、ゆっくり、じっくり時間をかけて。
せいろから立ち上がる蒸気と檜の香りが、なんとも幸せな気持ちにさせてくれます。

木桶に移し、蒸した穀物の温度が落ち着いてきたところで、そこに日本の国菌である”麹菌”をまぶして「よろしくね〜」と話しかけながら、自分の常在菌と一緒に優しく馴染ませていきます。

そして布でくるんだら、そこから手をかけ声をかけ、愛情をかけながら、麹菌に心地よい状態をつくり、菌を繁殖させていきます。
すると、3日後。もふもふとした、とっても可愛い麹が誕生するんです。

わたしはまだ麹づくりを始めてから経験が浅く、声をかけるところ止まりなのですが。
発酵にどっぷり浸かっている方によると、そのうち麹菌たちと会話ができるようになるそうです笑

微生物と循環

麹菌は、微生物の一種。
微生物は人間の誕生より遥か前から存在していて、地球のあらゆるところで、そしてわたしたちの体内でも、想像がつかないような単位の数で、生きています。

微生物の働きといえば、“分解”。
彼らの分解という活動あってこそ、いろんな命が形を変え、新たな命のための栄養分になる。自然界もわたしたちの身体も、そうやって循環することができるんです。

それなのに、彼らが分解できない、自然にはなかったものを大量に生産し、消費•廃棄するのが当たり前になった現代社会。
わたしたちは、彼らへの感謝やリスペクトを忘れてしまったのかもしれない、、
果たしてそんな社会に、健やかな循環や持続可能性はあるのだろうか、、

麹をつくることで、わたしはそんな社会のあり方について考えたり、微生物のありがたさを感じたりするようになりました。

本当の心地よさの中で

麹づくりをする中で、もう一つ感じたこと。
それは、”人も発酵する”ということです。

芯から温まり、たくさんの水分を吸収して柔らかくなった穀物と、麹菌が一緒になって心地よい空間にいるうちに、どんどん菌糸が伸びていき、仲間が増えていく。

そうやってできた麹は、新しい何かに出逢った時、それを分解しエネルギーにして、更なるエネルギーを生み出していく。

これって、人にも当てはまると思いませんか?

発酵の魅力を伝えてくれる大好きな師匠が、ある時くれた言葉。

心地よさを大切にしてね
自分が求めるエネルギーに、自然と繋がっていくよ

心地よい=脱力して楽な状態、と短絡的に捉えていたわたしは、心地よさの定義から悩んでいたのですが笑
手探りでやっていくうちに、その言葉が示していた意味を感じられるようになりました。

そして、自分にとっての本当の心地よさを感じ、求めるエネルギーに繋がったとき、こう思えるのです。

あ、わたし今、発酵してる!

発酵する生き方を

発酵と相対するものとして、腐敗があります。
どちらも、微生物の分解によって起きる同じ現象のことを指します。
そのうち人にとって有用なものを発酵、有害なものを腐敗と呼んでいるだけなのだそう。

「性根が腐る」など、腐敗する様子を人に当てはめる言い回しはありますが、そういえば人が発酵する様子が表される言葉ってないなぁと。
わたしが知らないだけで、実はあるのでしょうか?

モノも情報も溢れた時代の中、さらにコロナも大きなきっかけとなって、わたしたちは意識的にも無意識的にも、日々たくさんのことを分解していますよね。これは、食べるものも然り。
中には分解が難しくて、疲れてしまうこともある。

そんな中で、腐らず、発酵していくために大事なこと。
それは、自分にとって本当に心地よい状態が何なのかを知っておくこと。温かく、柔らかく、伸び伸びと、心と身体の土壌をふかふかにしておくことだと思います。

そうすると、不思議と自分の中をいいエネルギーが巡り、同じようなエネルギーを持った新たな出逢いに繋がっていくから。

それに気づくきっかけが、わたしにとっては麹づくりだったわけですが。
土に触れる、木漏れ日を感じる、鳥の声や水の流れる音を聴く、、そういった自然を感じる時間が、循環していく自然の力や、微生物への感謝の気持ち、そして心地よさについて教えてくれる気がしています。

それを感じられる人がどんどん増えていくことで、きっと今の社会はもっと優しく、次の世代へと巡らせていけるんじゃないか、、
そんなことを考える、今日この頃なのでした。

お読みいただき、ありがとうございました☺️

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