見出し画像

映像作品の名シーンを色で分析する

こんにちは、塩です。今回は映像作品をピックアップし、シーン内で使用されているカラーの色彩効果について分析するデザトレを行いました。

映像から読み取る色のこだわり

MVや映画はアーティストや監督のこだわりや特徴が顕著にあらわれるため、映像作品としての良いところであり、最大の魅力であるといえます。

色の効果を印象的に見せる

映画『博士と彼女のセオリー』では、光の演出が美しく、実話を元に描かれるシーンに日常を彩る豊かな光を効果的に使うことで、彼らを取り巻く世界の美しさを表現したいという想いが込められています。


色から伝わる美しい感情表現

映画『ムーンライト』は、透明感のある色使いが魅力的で、作品全体の空気感がとても綺麗です。暗い場面などで登場人物を魅せる手法の一つとして、影に青色が足されており、作品の美しさを加速させています。

影に青を乗せる手法は役者の肌にも用いられています。実際に撮影時には存在しない青色を編集で足しているそうです。透き通るようなシーンからは、鮮やかな色を引き出すためのこだわりを感じさせます。


カラーパレットの出力

今回は取り込んだ画像から、実際にカラーパレットを作成してくれるツールを2つ紹介します。

Adobe Color

Adobe Color CCは、PhotoshopやIllustratorなどをリリースしているAdobeが提供しているツールです。画像からカラーパレットジェネレーターを作成。これらのカラーテーマは、Photoshop、Illustrator、InDesign および他のアドビアプリケーションで使用できます。

HD rainbow

HD Rainbowアップロードした画像に使われている色を一覧で出力してくれるサイトです。カラーピッカーで画像の色を抽出する必要なく、画像をアップロードするだけで色をRGBで知ることができます。


デザトレ内容

実際にデザインメンバーに色の分析を行っていただきました!
結果はこちら。


『のだめカンタービレ 最終楽章 後編』

似たような構図でも、パリと日本という違った舞台シーンで使用されている色使いが、登場人物の心情の対照とリンクしていて面白いです。


『The Backrooms (Found Footage)』

黄土色のようなトーンの黄色がなぜか不気味に感じてしまうのは、とても不思議です。例えば、月とかも美しさと恐怖が入り混じってるモチーフだなと、ふと思う時があります。

トーン(明るさと彩度)の分類例(PCCS)


『つぐない』

仄暗い願いが光で、焦りを影と解釈していて面白かったです。そして、光の明るさでシーンの捉え方に変化を与える描写は素敵だと思いました。


『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』

不安に立ち向かう様子がこのワンシーンからでも伝わる色使いだと思いました。恐怖ではなく、前を向くことの不安を感じさせます。


『Midnight in Paris - by Woody Allen』

パリが舞台とのことで、この色使いはかなり映えますね。彼らを描くシーンがレトロでロマンチックなのは2人の関係性を暗示しているかのようです。


『The Grand Budapest Hotel - by Wesley Wales Anderson』

作中のモチーフが線対称で、全体の雰囲気もピンクの世界観です。とてもユニークなことが起こりそうな予感がします。


『Kẻ Ăn Hồn - A Soul Reaper』

結婚式のシーンと聞いて二度見しましたが、斬新な表現だと感じました。補色が効果的に使用されており、不気味さを際立てているようです。


最後に、私が今回ピックアップした映像作品はこちら。

『ミッドサマー』

『パンズ・ラビリンス』

どちらもホラー要素を含む映画ですが、ホラーによく使用される暗さや青味強めの要素が少ない作品を取り上げました。不気味より美しさが勝る作品は中盤から後半にかけて怒涛の展開が押し寄せる傾向があるように感じます。無性に惹かれてしまうのは、もちろんストーリー展開が面白いからこそだと思いますが、使われている色が作品の良さをさらに引き出してくれているのだと考えます。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?