【映画のつぶやき】『母性』
※ネタバレあり
かねてから観たかった『母性』。
いつも映画の感想を言葉にしようとすると、
どうしても語彙力の欠如もあり陳腐になってしまうが、
記憶の濃いうちに思うままに記録しておこうと思う。
率直な感想、
衝撃的だった・・・
正直、登場人物の誰にも共感できなかったが・・・
唯一、永野芽郁ちゃん演じるさやかちゃんが考える「母性」とは、
という定義には腑に落ちるものがあった。
正確な台詞は覚えていないが、何となく以下のような
ニュアンスだったように思う。
「「母性」は本能的な感情ではなく、後から形成されるもの。
本能だと決めつけるから、備わっていないことを嘆いたり、責めたりする」
私自身は、まだ人の母親になった経験はないので、
本当のところは分からない。
劇中で、戸田恵梨香演じるルミ子が、自身のお腹に子を宿したとき、
凄まじい嫌悪感を顕わにしていた様子が印象的だった。
そしてもう一つ強く印象に残ったのが、
高畑淳子演じるルミ子の義母だ。
食事のシーンが多々あるが、咀嚼しながらほとんど怒鳴り散らしていた。
しかし、最愛の娘が恋人と駆け落ちして家を出て行くと、
狂ったように泣き叫び、最後にはベッドで寝たきりとなった。
映画の前半は、ルミ子の実母に対するこれ見よがしな依存が描かれ、
ルミ子の娘さやかが生まれてからは、娘を愛せないルミ子、
ルミ子の義母とその娘の関係性も描かれていた。
「母性」とは・・・を常に考えながら観ていたが、
上記のように、後半さやかが語った定義のおかげですとんと落ちた。
同じ出来事を語るルミ子とさやかの証言が食い違う演出も
見応えがあって面白かった。
拙い表現ではあるが、私が映画を観て毎度純粋に思うのは、
「俳優ってすごい・・・」
に尽きる・・・
もちろん原作の湊かなえ先生が紡ぎ出した物語も
猟奇的で驚かされる展開が多々あるが、
共感できない人間を演じる、生きることの難しさは
計り知れないな・・・と思う。