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モニタリング

 プリセールスマネージャーはチームの状況を把握し、適切な対応が出来ているか、いくつかの指標をモニタリングする事で進捗、課題を確認します。ここでは、いくつかの代表的な管理項目を例として記載しますが、多くの会社でいろいろな指標で見ていると思いますので、あくまでも一つの例として確認下さい。これらの管理項目をダッシュボードなどで定期的にチェックして、必要なアクションを取る為の材料とします。

パイプライン件数

 ここで言うパイプラインは、営業がクオリファイしたリードを指します。プリセールスが対応する将来の負荷を見積もる一つの数値となりますので重要です。個々のパイプラインをクローズ予定月でまとめ、四半期別に件数と金額両面から捉えて、金額は計画達成の為に充足度、件数でプリセールス負荷の見込みを確認します。月別、四半期別に見ることで、どの四半期に繁忙期が来るかの予測が可能ですし、直近の四半期に余裕があれば、営業と話して先の四半期の有望な案件の支援を先行してもいいかも知れません。また、先の四半期での案件が少ない場合は、パイプラインを増やすアクションを行う必要があるでしょう。基本的には先行6ヶ月のアサイン状況を見て、月別、四半期別の適正な負荷バランスを取るための材料とします。

アサイン済み件数

 上記のパイプラインのうち、既にプリセールスのエンジニアをアサインしている案件を指します。これも月別、四半期別に件数と金額から捉えます。当該年度の期初からアサインされた全てのWin商談、Lost商談の件数と金額も管理して、アサインされた案件での勝率を見ます。パイプラインの中でアサインされている案件の比率(件数、金額)を月別、四半期別に見ながら、アサインされていない案件で営業側で抱えてしまっている案件がないかも確認します。ともすると、相談出来ずに案件の方向性が定まっていないものも有りますので、このままその四半期に置いておくのかどうかも合わせて、営業と確認してアサインすべきか判断します。アサインされた案件での勝率はプリセールスの生産性の指標として重要です。リソースを効果的に活用できているかの判断ができるからです。アサインをして活動した案件での成約率が低いと言う事は、案件のアセスメントが不十分な可能性があります。アサインされた案件での勝率としては6割を目指して活動し、アサインされていないものと合わせても全体で4割を目指したいところです。これが低い場合は、プリセールスの増員を考える前にLOST分析を行なって、そもそも案件のアセスメントが正しかったのかを営業と共に振り返ります。

Win&Lost件数

 この数値も月別、四半期別にトラッキングします。少し触れましたが、プリセールスのアサイン有無に関わらず、WinとLostの件数と金額の把握をして、特にプリセールスのアサインがない状態でLostした場合には、プリセールスがアサインされていれば状況を変えられたのか、アセスメントは正しかったのか、など含めて営業と振り返りをします。Winの案件でも、工夫した点、苦労した点などをチーム内で共有してプリセールスと営業全員が学ぶ場も設けることで成功の再現性を高めます。Lostが多い場合には、本来アサインすべきでない案件にアサインしている可能性もあり、アセスメントの条件を見直しし、案件のアサイン依頼の差し戻しも検討します

プリセールス別アサイン件数

 プリセールスの個人別アサイン状況を把握します。四半期別の件数と金額を当年度全体の推移を見て、アサインされている件数そのものが妥当か、偏りなどないかも見ます。アサインされた案件の中のWin&Lostも見ながら、異常に成約率が低いなどの問題がないかを把握出来ます。営業側の状況によって、チーム間のアサイン件数の偏りが発生している場合に、アサインを変更してスポットで他チームの支援をしてもらう事もできます。特定の製品に詳しいプリセールスに負荷が集中している場合など、そのエリアでの増員も検討します

ランキング

 プリセールスエンジニアの中でのWin案件の金額とアサイン件数(総数)をエンジニア別のランキングで見ます。グローバル全体でのランキングも見て日本のメンバーがトップに立った場合はお祝いのメールを送ってモチベーションを高めてもらったりするのに使ったり、他国との生産性の違いを見る為の参考にします。マネージャーが人員計画をする際に、他の国の生産性を見て優劣を判断し、説得材料を探すことが出来ます。

売り上げ達成度(YTD)

 営業と売り上げ目標を共有して部門の成績として見ている以上、数字の達成度は毎月、毎四半期に進度を確認して、営業と一緒に手を打てる事がないかを議論します。適正なアサインの為に案件のアセスメントは厳しくやりますが、一方で一緒に数字を作り上げる為の施策も並行して実施し、良いパイプラインを作る為の協力も行います。これは、活動のバランスを見るための指標として、本来の目標に向けて活動ができているかの点で重要です。営業の状況を理解してもらうために、チームの会議などでこの数字に触れて関心を持てるようにします。

大規模案件のカバーレッジ状況

 「大規模」の定義は各社で異なると思いますが、「大規模」=重要案件(または注力案件)とも言えるので、営業マネージメントからすると、重要な案件にプリセールスが適切にアサインされているかは気になるところです。プリセールスマネージャーは将来の4四半期の「大規模」案件でのアサイン状況を見て、アサインされていない案件があれば、案件の状況を営業と話をして、早めにアサインをして確実な成約に向けた対応が出来るようにします。基本的には「大規模」案件の状況は100%理解している状況を作る事が目的です

インダストリー毎の進捗

 インダストリー毎のプランニング(Joint Business Planning)をし、その施策の進捗を四半期毎に営業と共同で確認します。これをインダストリーチームの会議などで発表形式にする事でインダストリー間での学びなども出てきます。また、インダストリー毎のTop20社での製品の採用状況を確認して、営業側と注力すべき企業を合意してプランに反映します。

ソリューションマップの進捗

 四半期毎に営業と、ノミネーションした重要顧客での導入状況や、顧客の各事業部門での商談の進捗を確認し、今後取るべきアクションなどを決定します。案件としては未だ出て来ていない場合も、今後の注力する事業エリアの特定や、どの組織の誰がオーナーとなって進めるべきかなどを決めてゆきます。

 もちろん、他にも管理項目は存在すると思いますが、四半期毎や、日々のチームの活動という観点ではこれらをモニタリングする事で、手を打つべきポイントは把握出来るのでは無いでしょうか。

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