漱石と「隣の客」その2

「懲り懲りする程食らう」そんな柿好きの彼は発句や短歌を研究している際にあることに気付いたという。
『柿などというものは従来詩人にも歌よみにも見離されておるもので、殊に奈良に柿を配合するというような事は思いもよらなかった事である。余はこの新たらしい配合を見つけ出して非常に嬉しかった。』(「くだもの」○御所柿を食いし事)
この発見が、余りにも著名な一句を生じたのである。
『柿食えば鐘が鳴るなり法隆寺』
正岡はこれを南海新聞に寄稿し発表された。当時南海新聞社には子規派の俳句結社松風会会員の柳原極堂が居た。掲載当初は特に話題にもならず仲間内の句選にも漏れる程で決して評価の高いものではなかったと云う。
この句碑が法隆寺に建った大正時代より名句として広がって行ったもののようである。

漱石の隣の客はよく柿食う子規だったというお話しでした。

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