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福井のそばについて語ってみる その2

その2 蕎麦好きなら歴史が面白い

おろしそばについて

福井の蕎麦といえばおろしそば。昔は強力粉をつなぎに使い、すする蕎麦というよりももぐもぐと食べる蕎麦だった。その蕎麦に大根おろしのしぼり汁半分にだし・醤油を入れて、絞ったおろしを半分戻し、鰹節、ねぎを散らす。永平寺の門前では鰹節は使わなかったと記憶している。
 現在では蕎麦のつなぎの種類・量にかかわらず、大根おろしをだしで割ったものが総称しておろしそばになっていると思う。
 昔は、蕎麦がふるまわれたのは仏事などのハレの日であり、明治以降は家庭でも打たれるようになっていた。白米のご飯が一般的になる中では、蕎麦食は貧しい家庭の食事であり、蕎麦を食べたというのは恥ずかしい思い出だったと語る老人もいた。昭和初期までは店で食べる嗜好品ではなく、貧乏な家庭で作るものだったのだ。その頃はつなぎも強力粉であり、菜切り包丁で切る蕎麦は割りばしほどの太さで、ぼそぼそと切れる物だった。

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