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広島お好み焼き屋【皐月】の看板娘のリムは実は竜の姫巫女様でした! 第11話 【皐月】へと帰宅をしてみれば (1)

#創作大賞2023
#お仕事小説部門

 第11話 【皐月】へと帰宅をしてみれば (1)

「ふぅ~」やっと家に着いたよ。

 だからリムは、自身のポケットから鍵を出して──。

〈ガチャ、ガチャ〉と。

 音を出しながら玄関の鍵を開け──扉を開けると。

「ただいま。帰りました」と。

 リムは言葉を漏らしつつ玄関内へと入る。

 そして入れば、自身が履いていた靴を脱ぐの。

 それもね、ちゃんと玄関に座り込んで丁寧にスニーカーを一足ずつ脱ぐのではなくて。

「ああ、疲れた。疲れた……」と。

 リムは気だるそうに声を漏らしつつ、大雑把──。

〈ポン!〉

〈ポン!〉

〈ポッ、ポン!〉と言った感じでね。

 竜の姫巫女。

 女神さま。

 お姫さまらしくない振る舞いで雑に脱ぎ捨て──。

 スニーカーもちゃんと揃えることもしないで。

 家の中にズンズン、ドシドシと大袈裟な足音を立てつつ、玄関の廊下を歩き。

 お店、皐月へと繋がる扉へと向かい歩く。

「ああ、疲れた。疲れた」と。

 リムは何処かの誰かさんこと。

 うちのパパに聞こえるように大袈裟に嘆き、悪態をつきつつ。

 広島お好み焼き屋【皐月】へと繋がる扉へと向かうの。

 岡山市からの宅配から帰宅をしたばかりのリムだから。

 リムは早く、自身の主さまである竜神さまにね。

『リム、良く頑張ったな、偉かったぞ! 流石俺のリムだ! 偉い。偉い』と。

 労いの言葉をもらいつつ、頭を優しく撫でてもらいたい。

 そして、パパからギュッと力強くハグもしてもらいたい。

 だからリムはたいして疲れ。

 そう、岡山市からのデリバリーの仕事を終え。

 そんなに疲労が溜まっている訳でもないのに。

 只家のパパに優しい労いの言葉と頭ナデナデ──ハグをもらいたいだけで。

 リムはこんなにも大袈裟な振る舞い。

 悪態をしつつ、扉へと向かう。

 う~ん、でもね?

 リムがこれだけ大袈裟な声をだしつつ、悪態をついて扉へと向かおうが。

 家のパパから一向にリムへと労いの言葉が返ってこない。

 それにお店には、ライザ伯母上もいるはずなのに。

 ライザ伯母上からも。

『リム、お帰り』と。

 労いの言葉が返ってこないのも可笑しい。

 となれば?

 考えられることは只一つ!

 お店、【皐月】の店内が満席──。

 お店の外にもお客さまが立ち並んで待ってもらっている大忙しな状態……。

 満員御礼に違いない。

 と、なればリムは?

 大袈裟に嘆き、悪態をついている暇などない。

 広島お好み焼き屋【皐月】の女将の一人として慌ててお手伝いへといかないといけないよ。

 と、リムは思えばね。

 慌てて扉へと向かい。

〈ガチャガチャ〉と。

 扉のノブを回して、扉を開け──。

 皐月の店内、厨房を覗き込むと。

「あっ! リム! やっと帰ってきたわね」と。

 リムの姉上が、自身の目を大きく開けながら、慌てた素振り、口調で。

 リムへと告げてきた。

 だからリムは、「……?」と無言で首を傾げる。

 でもね、リムの姉上の慌てようはまだ収まらないようだから。

「リム、何をボォ~としているの。貴女も今から出かけるの。だからリム、今直ぐに出掛ける準備をしなさい。分かりましたか?」

 姉上は今から何処にいくのかは、リムにはわからないけれど。

 リムに今から直ぐに身支度、出かける準備をしなさいと急かしてくるの。

 それも姉上の様子は。

 リムがよく見て観察をしてみれば。

 姉上の顔が真っ青になっているのが。

 リムの碧眼の瞳に映るから。

「あ、姉上、どうしたの? なにかあったの?」と。

(カクヨム)
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