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箕輪編集室・2周年冊子の制作過程〜表紙デザイン編〜

みなさんこんにちは。
デザイナーの安村シンです。

2019年6月26日に迎えた、オンラインサロン「箕輪編集室」の2周年を記念した冊子制作プロジェクトにて、表紙デザインを担当しました。

2周年冊子の表紙は、
寄せ書きのようなメッセージとともに
「2nd Anniversary」を伝えるデザイン
となっています。

なぜ寄せ書きなのか。
そして、この冊子が伝える「みの編2周年への想い」は
どんなものなのか。

冊子制作チームの想いを、もっと広めたくて
制作過程を振り返りながら、改めてnoteを書きました。

↑冊子の表紙デザイン


そもそも1周年はどんな冊子だったか

2周年の冊子について語る前に、まず1周年について振り返ります。

2018年6月、1周年冊子の表紙デザインは、
超凄腕アートディレクターの前田高志さんにより制作されました。


前田高志さんは、いわずもがな圧倒的な経験と実力を持ち、
みの編で圧倒的に手を動かしてこられた方です。

箕輪編集室のロゴデザインを始めとして、


数え切れないほど、みの編のデザインを手がけています。

このように、
圧倒的な経験と実力により作られた、
圧倒的にカッコイイ冊子。

そんな姿が、みの編1周年冊子でした。


2周年冊子の表紙担当は、何者か?

それに対して、2周年冊子の表紙を担当した「安村シン」とは
何者なのか。改めて自己紹介をします。

僕は、本業はフリーでグラフィックデザイナーをする傍らで
前田さんの主催するデザインのオンラインサロン前田デザイン室にクリエイターとして参加しています。
フリーランスとして独立したばかりの2018年3月。ある日、 Twitterをウロウロしていたところ、たまたま見つけて
「おんらいんさろん?よく分からないけど、なんか面白そう」と入ったのが2018年の5月でした。


前田デザイン室で前田さんのお話を伺っているうちに、
前田さん自身がフリーランスとして知られるようになったきっかけの1つとして「箕輪編集室で圧倒的に手を動かした」と聞き、
「では自分は、前田デザイン室で圧倒的に手を動かす人になろう」と決めました。

それからは、打席があるたびフルスイングで参加し、

ある時は、
ドラマ「インベスターZ」とのコラボ企画では、原作が投資マンガなのに
あえてネコだらけのTシャツを作ったり、


またある時は、
前田デザイン室はじめての雑誌「マエボン」
チーフディレクターとして表紙の案出しに参加したり、


前田デザイン室 x 宇宙兄弟のコラボ企画では
特設ウェブコンテンツやブギーの待ち受けをデザインしたり、


とにかく、
機会さえあれば全力でフルスイング!
企画を考えるところから、その広げ方、デザインまで
全てを楽しみながら、遊びぬいてきました。


そんな折、
前田さんがデザインチームのリーダーを降りると聞いたことをきっかけに、
その背中を追いかけて、
2018年11月に、箕輪編集室に入りました。


なぜ表紙の担当を任されたのか

2周年冊子の台割りと担当者は、
前田デザイン室でも一緒だった、みの編デザインチームのサブリーダーでらみさんにより決定され、希望者の中から担当が割り振られました。

ぜひデザインで参加したい!と名乗りを上げていた私の担当ページは、
全部で5ページ分。そのなかには、なんと表紙・裏表紙という
驚くべき大舞台
が割り振られていました。

2周年冊子の指針は、台割りが決まった時点でおおよそ決まっていました。
それは「卒業アルバム」のようにしたい、というもの。イメージは「みんなで作った感」や「あたたかさ」が感じられるものです。

表紙の担当になってから、しばらくはずっと、頭の中で
「箕輪編集室の2年目ってどんな年だったのだろうか」と考え続けました。

1周年のときは、冊子のデザインも
インクで強く塗られた「1」が印象的なデザイン。


このデザインをみながら、考えました。


箕輪編集室の1年目は、スターのような圧倒的な人たちが活躍し、築き上げてきた。だから、1周年冊子ではペンキで塗られたカラフルな『1』がいくつも輝いていた。
だけど、箕輪編集室の2年目は、きっとそうじゃないのだ。」

「自分のような、普通のデザイナーが活躍できる。普通のデザイナーも活躍できる。全国のいろんなところで、いろんなイベントが発生している。人を巻き込み、地方を巻き込み、大きくなって行った。それが2年目の姿だったんじゃないだろうか。」

そして、僕が表紙を任された理由もそこにあると考えました。
きっと、スタープレイヤーが滅茶苦茶カッコイイものを作るというより、
そうでない誰かが、そうでない方法で作る方がテーマに合う。
という計算の上で、一番何かやってくれそうなヤツ、として采配されたのではないだろうか?という推測です。

それがあっているのか、間違っているのか。
「2周年冊子に対する想い」を
今回の冊子アートディレクターでもあるでらみさんに
改めて確認するため、zoomでのヒアリングをお願いしました。


「みんなでつくる冊子」へ

ヒアリングの際、僕は表紙のデザインコンセプトを2種類用意していました。

この冊子は、配られるのが「主に新歓の場である」ということから
新しく入ってきた人に対して「ようこそこの世界へ!」と伝えるアイテムです。

そこから導き出したコンセプトの1つは、冒険の書

冊子全体を、
”テーマパークに入ったときに配られる地図、
ガイドブックのようなものにする”というもの。

(↑イラレのアートボード外に残された謎のメモ)

しかしこちらは、でらみさんとの打ち合わせでは
今ひとつしっくり来ませんでした。

もう1つ用意していたコンセプトは、
あまり言葉では上手くまとまっていませんでしたが
「言葉を集める」というもの。

つまり、卒業アルバムの寄せ書きみたいに、
いろんな人のメッセージが集まっている。

こちらは、コンセプトを考えた次の瞬間には
デザインイメージまで形が浮かんできました。

(↑手描きのラフ。カラフルコトバ というカタコトが添えられています)

冊子の目的や、受け取った人に感じて欲しい感情などを
1つ1つ確認していき、最後にこれらのコンセプトをぶつけてみたところ
後者の案に一瞬で決まりました。

みんなで作る冊子なのだから、表紙もみんなで作る。

それが冊子コンセプトに沿ったデザインだ、という結論。
でらみさんの考えていたテーマとも一致し、
zoomの場が(1対1ですが)盛り上がりました。


2周年冊子が伝えるメッセージとは?

言葉を集めることが決まった表紙デザイン。
どんな言葉を集めるかを決める段階に入ります。

でも僕は、すご〜く避けたい現象がありました。

それは、

「寄せ書きだからって良いこと書きすぎて、
ヨイショと持ち上げてる感が全面に出る」
という現象。
なんだか、怖いし、ちょっと気持ち悪いじゃないですか。
みんなの心が感じられなくて、見えなくて、なのにポジティブな言葉が並ぶ。
そういうのは、避けたい。

僕はむしろ、「1人か2人くらい、なんか『ハイボール』とか
ワケわからないメッセージを寄せてくれたら最高だな」
とさえ考えていました。

どんな言葉を集めるか吟味する必要があるため
でらみさんと、どんなアイデアが良いかブレストすることにしました。

・今のみの編を一言でいうと?
・みの編ってどんな変化を遂げてきてると思うか
・この1年、どんな1年だったか

いくつか案を出しても、なかなかしっくりこない。

と、そこまで書いていて、ふと新案がうかびました。

(↑でらみさんへ送った、メッセンジャーのコメント。)

表紙を「祝いの寄せ書き」にする、という案です。

お祝いって、言いたいと思っていても
タイミングがないと言えなかったり
する。

冊子が、お祝いの言葉を寄せるキッカケを作る場にもなるというアイデアです。

これが、みの編らしさもあり
でらみさんとも意見が一致。

しかし、
言うは易し、実行は大変なものです。
なんたって、みんなからメッセージを集めなければいけない。

相談の末、みの編ライターチーム・デザインチーム合同のMTGのタイミングで
各チームへ「メッセージ募集」のスレ立て協力を頂くことに!

(↑「合言葉はミノワール」については また別途ご紹介します)

それから、ほんのわずかな募集期間にも関わらず、
最終的に55名からメッセージを頂くことができました。

(↑メッセージの一部です)

たくさんの人の協力により、集めることができたメッセージたち。
データの集めかた、募集文言、各チームへの投稿、
それぞれの対応や、データ管理、、、諸々、全て
チームの皆さんのお陰で、グイグイッと短期間で進みました。

本当に感謝しかありません。
すでに「チームってすごいな・・・」と、
その力を実感した出来事です。

ここまで決まって、ついに
「2」のタイポグラフィへと向き合います。

たった1文字の重み

2周年冊子の表紙は、1周年を受け継いで
真ん中に「2」!と書くことだけは決めていました。

しかし、問題が1つだけありました。

「前回のカッコよすぎる"1"」を超えられるのか・・・・!?

という点です。

なにせ、前田さんのスーパーデザインです。

数日ほど考えましたが、ある結論に至りました。

「勝つことは不可能。」
「むしろ勝つ必要なんてない。」

僕がするべきは、去年と比べてデザインを作ることではなくて
「今年のコンセプトを形に落とし込むこと」ただそれだけ、
というデザインをする上で最も大切な心構えを思い出しました。

思い入れが強すぎたり、張り切りすぎたりして
気負うことは、デザインの邪魔になります。

再びコンセプトに戻り、
「みんなで作る冊子」を、タイポグラフィにも落とし込む方法ってなんだろう
と考え始めます。


塗りかえの1年から、重なりの2年へ

1周年の表紙デザインを見て、僕は「スターたちが世界を塗り替えた」という絵だと解釈しました。

そこから逆算した2周年目のデザインは、
「いろんな形の文字が重なり合って、より強い"2"が生まれる」というもの。

↑一番初期のデザイン。

タイポグラフィを中心に、カラフルな寄せ書きが並びます。
そしてその寄せ書きの色で描かれた、いろんな書体の"2"が重なって、
くっきりと黒い"2"が現れる、というものです。

デザインはこの方向。でも、これだけでは味気ない。データっぽすぎる。
わざわざ手書きでメッセージを集めているのだから、
"2"にも手作り感が欲しい。

そこから手を加えたものがこちら。

クレヨンで描いたような質感をプラス
また「箕輪編集室」ロゴのカラーでもあるオレンジを追加しました。

だいたい良さそうだ、とも思いながら
「どこかシュッとしない、もんやりしている」とも感じて
提案する前に、再度ブラッシュアップを行いました。

↑完成度80%。重なりをより密接に、カスレをほどほどに。

しかし、ここまで進んできて、ふと1つの疑問が浮上してきました。

表紙のメッセージは、いろんな形が合わさって"黒"を描いてるのに、裏表紙のロゴはなぜオレンジなのか?」という疑問です。

ロゴがオレンジだから、と言ってしまえばそれまでですが
絵的な整合性を考えれば、裏面の箕輪編集室ロゴも黒であってほしい。

ですが、ロゴの色を勝手に変えるのは、デザイナーが最もやってはいけないことのひとつです。

これまたしばらく悩んだ末に、勇気を出して
ロゴをデザインした前田さんに、了承を頂くことに…!

そして…!

前田さんのメッセージも、頂きたい…!!

2つのビッグなお願いを相談したところ、
なんとどちらも快く了承を頂けました。

よかった。よかったすぎる。

前田さんの1周年デザインを継いでの2周年冊子です。
その前田さんからメッセージを頂かずに進むわけにはいかない、と思いながらも
急に声を掛けて、メッセージをくださいと言うのに、ビビっていました。

忙しい方ですし、自分からしてみれば、はるか雲の上の人。
お時間をいただくのも恐れ多い・・・と、ずっと躊躇っていたのですが
ロゴをきっかけに、勇気を貰えました。
表紙担当者なのだから、聞かねばなるまい!と。

このメッセージを頂いたことで、
表紙デザインについて、出来ることを完璧にやれた、、と思えました。


ところで裏表紙の英文の意味は?

さて、冊子の裏側について考えていた時に、
あることに気がつきました。

箕輪編集室1周年冊子には、裏表紙に
英語で「Anything but Death is a Scrach 2017-2018 MinoHen」という文字が添えられています。

↑さらりと一文。画面を引き締める英文。(韻)

訳すると「死ぬこと以外かすり傷」となり、
1周年冊子のテーマと言える文章のようです。

これは、今年も英文を用意しなくては。
冊子制作チームへ、即相談メッセージを投げました。

2周年冊子の全体のメッセージって、
言葉にすると、なんだろう。

冊子制作チームの編集長、荒木さん主導により、
ライターチーム内で、たくさんの案が出されました。

荒木さんの、
・Welcome to thisworld (こちらの世界へようこそ)
といった、webサイトのメッセージに沿ったものや、

たろちゃんさんの
・You know what? We are 箕輪編集室
などの箕輪★狂介の歌ったメッセージに乗った案など。

いろんな案が出たところで、
金藤くんから改心の一案がでました。

" Big Love to you all. "

こちらは、巻末にある箕輪さんからのメッセージとも通じる英文です。
気になる方は、ぜひ冊子の最終ページを読んでみてください。

2周年冊子のサブタイトルも決定し、
デザインも整っていき、
表紙が無事、完成へと至りました。


表紙だけでも、これだけいろんな方の力により作られている
箕輪編集室2周年冊子。

面白いな、と思った方には、
ぜひあらためて、表紙を開いた2ページ目のメッセージを
読んでほしい、と思います。

そこに書いてあるメッセージが、またシビレるのです。


余談

完成を迎えた表紙。
掲載されているメッセージのうち、見切れちゃってるものがいくつかあります。

じつはこれ、全部僕の書いたメッセージです。

ギリギリのところに色がないと寂しいけど、
誰かのメッセージをぶった切るのは心苦しい。
そう思った時に、
「あっ、これ、書いてみたけどちょっと載せるの恥ずかしいな」という
自分の書き損じのメッセージを再利用することを思いつきました。

「これで、穴埋め代わりに、見切れるところにもメッセージを敷き詰めよう!」というダミーメッセージ作戦を決行しました。

なんて書いていたのかは、ヒミツです。


Tシャツにもなりました

2周年冊子の入稿が完了したあと、
ふと、このデザインを使ったTシャツを作りたくなりました。

2周年記念イベントで、
2周年冊子のデザインのTシャツを着てる人がたくさんいたら、
どれだけ華やかになるだろう!という妄想から始まったものです。


作りながら、
納期や販売価格、在庫の管理方法など
リアルな側面をいろいろ考えました。

箕輪編集室のコンテンツを、公式ではない形で借りながら、
そこで利益を出すことは、許されるのだろうか。(いや許されないだろう)

だったら、原価で販売すればいいじゃないか。

そう思い立ってからアクセルがかかりました。
ただイベントを盛り上げたい一心だけで、
Tシャツを生産し、原価で販売する。
全部売り切れても、全然儲からなければ良い。

そうして始まったのが「みのT」企画です。

あまりに制作期間が短かったため、
本来ならラブソルさんにお願いして、いいTシャツを・・・・としたかったのですが、やむなく超短納期に対応している業者を探すことに。。

また、在庫リスクを抱えないために受注生産を!とも考えていたのですが、
これまた期間が短すぎるために、あまりうまく行かなそう、と感じました。

僕にとって、
「当日になって、やっぱ欲しかったという声が寄せられる」リスクのほうが
「全然売れなくて何万円か大損する」リスクよりも勝っていました。

イベントを盛り上げたい、と思って作ってるのに
欲しかった、と言われてしまったら、それは計画の失敗です。

「赤字覚悟の原価販売。」

なんてバカバカしいんだろう!と思いながら、
でも面白いから、これはやるしかない。と覚悟を決めました。

やりきった結果。

なんと、30着全て完売しました。

一緒に売り子をしてくれたでらみさん、
売り場からTシャツを持ち歩いて、直接売るのを手伝ってくれた三浦さんを始めとして
会場の多くの人が協力して下さいました。

1着売れ残れば、千六百数十円の赤字。
2着売れ残れば、3着、、、
まるっと完全に個人負担なので、まあまあ痛い出費です。

ですが、なんとか赤字を免れました。

じつは全部売れても箕輪さんプレゼント分が1着あるため
100円の赤字になる予定だったんですが、
3名から700円のカンパをいただき、その分で600円の黒字になりました。

ありがたや・・・ありがたやです。


そして2周年冊子は、人の手に渡る

このようにして作られた表紙の、箕輪編集室2周年冊子。
いま、全国各地で配られています!

大阪では、編集長の荒木さん自らが!


九州にも!


沖縄にも!!


なんと、有名レストランsioの鳥羽さんにも!


中部にも!!

↑たまたま僕が用事で広島に行っていたタイミングで、中部チームの集まりがあり、
同じく冊子デザイナーで参加したカズシさんと初めてお会いできました。


新歓のあるたび、人の手へと渡っていく箕輪編集室2周年冊子。

渋谷のCAMPFIREのエントランスにも置かれているそうなので、
もしお立ち寄りの際には、よかったらチェックしてみてください。

みんなで作った、みんなの冊子。

これからもっと多くの人の手に届き、
あたらしい「みんな」が生まれますよう。


(最後までお読み頂き、ありがとうございました!)

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