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芸能界と枕営業(ガタンとの対話①)

芸能界について、かつて裏方で働いていたガタンは言った。
人間界と芸能界はそもそも別の世界で、芸能界というのは外道とキチガイと魑魅魍魎の世界であり、だから倫理とかモラルとかいうものを求めること自体が間違いなのだと。
それは私も同感で、
「そら、音楽もそうやけど、しょせんは河原乞食の世界やもんな」
そうそうとガタン頷き、
「枕営業もクソも、そんなもん当たり前の話なんや。例外はあるやろうけど、カネもコネも無かったらそれが基本なんや」
「ほうか、そんなに当たり前なんか」
「当たり前や。女もそうやし、男もそうや」
ここで私はマスオさんのようになり、
「ええーっ!? 男もなのかい?」
「男もや」
「あれかい? 菊の穴営業をせなアカンのかい?」
「せや。ケツの穴を差し出すんや。ブチ込まなアカン場合もあるやろうけどな」
「お偉方にはゲイ道者が多いのかい?」
「そんなんもあるやろうけど、女に食傷して男に目覚めた連中も多いんやろうな」
「なんちゅうカルマな連中や。それにしても嫌やなあ…ケツ穴営業必須とか」
「必須や。なんで大河ドラマの出演者に棒がおると思うんや」
「え…アレって、そういうことなん? 棒がケツ穴を差し出したん――?」
「お察しや! それ以外に何があるんや」
「…せやけど…そんなん、クソまみれやないか」
「せや、クソまみれや。みんなクソまみれや。せやけど、私はそんなクソまみれの子ぉらが愛おしいんや。女も男もみんな生きるために必死で枕したりケツ穴営業してる、そんなクソまみれの子ぉらが愛おしくて愛おしくてたまらんのや。みんな、そうやって懸命に生きてるんや!」
勢いもそうだが凄まじいレベルの人間賛歌を受け、私はよくわからないが感動してしまった。
「ケツ穴か…!」
「そうや。売れるためにケツ穴を差し出す――新くんにその覚悟はあるんか?」
「ケツ穴。ケツ穴…ケツ穴か……」

私はとうとうその覚悟なく40まで生きてきてしまったわけだが、とりあえずガタンとの対話以来、芸能人についての見方は変わった…まあ、見ないのだが。冒頭の写真ぐらい関係ない。

思えばガタンとの付き合いも18年になる。
面白い人間に男も女もないが、それにしても無類に面白い女——それがガタンだ。おもしれー女など、ガタンを前にすればそれこそ笑止でしかない。
私は自分を偽るのが面倒くさいので基本的にヴァーリ・トゥード(なんでもあり)スタイルのざっくばらんさで生きているが、それにしても一応は人間なのである程度の自主規制をおこなっている。が、ガタンとは剥き出しの丸出しで対峙している。それこそ、目つぶし・金的・夜討ち朝駆け騙し討ちアリの本物のヴァーリ・トゥードといえるだろう。
そんなガタンとの対話について、といおうか主にガタンから学んだことについて、なんだか書きたくなったので書いていくことにしたのだった。


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