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アスパラパラダイス #17

私が独立就農後に栽培したいと考えている作物がもう一つあります。それは、アスパラガスです。

数ある野菜の中からアスパラガスを選んだ理由は、味の美味しさに惹かれたからということはもちろんですが、それだけではありません。

まず私は、蔵王かぼちゃを栽培することを先に決めていました。(note #14 参照)蔵王かぼちゃを栽培する中で忙しくなるのは年2回。6月上旬の定植時期と、9月10日前後の収穫時期です。そして、次に栽培しようと決めたのは原木なめこです。(note #16 参照)原木なめこ栽培の繁忙期は、菌打ちをする4月下旬と収穫をする10月〜12月にかけて。もしこの2つの他に作物を栽培する場合、これらの忙しい時期が被らないものがよいだろうと考えていました。

また、私が就農する山形県は冬場に大量の雪が降り積もるので、農業用ビニールハウスがない限り冬季間に新たな野菜を栽培することは、基本的には困難な土地柄です。むろん、私は野菜を栽培することができるほどの大きな農業用ビニールハウスは持っていません。(note #12 参照)

これらの状況を踏まえ、上記の2作物と繁忙期が被らない野菜は何だろうか。そう考えた末に、白羽の矢が立ったのがアスパラガスだったのです。

アスパラガスの苗

アスパラガスは露地で栽培するのであれば4月ごろから収穫がスタートし、採り方によっても多少前後しますが、だいたい8月ぐらいまで採り続けます。若干、蔵王かぼちゃの定植と被る時期はありますが、この作型だと繁忙期をずらして栽培することが可能です。

さらに、アスパラガスは果樹と同じで多年生の作物なので、一回定植してしまえば毎年土の中から出てくるという特徴を持っています。さらに、しっかりとした管理作業を行えば10年でも20年でも取り続けることができるという研究結果が、県からも発表されています。

つまり、アスパラガスは蔵王かぼちゃと原木なめこを栽培しようとしていた私にとって、これ以上ないベストマッチな作物だったのです。

これから育苗するアスパラガスの種

しかし、もちろん良いことばかりではなく、栽培するには難しい点が多々あります。

まずは、土壌の排水性の問題です。アスパラガスは湿害に弱いので、大雨などで畑に水が溜まってしまいなかなか抜けていかない状態が続くと、根っこが腐ってしまいます。それを防ぐためには、少しでも土壌の排水性を高める必要があるのですが、私が就農予定の農地は土質が粘土質で排水性に難アリなのでした。(note #13 参照)

また水の問題もあります。アスパラガスは乾燥も嫌うので、栽培するにあたっては大量の水が必要になります。井戸を掘っていつでも水を出せるようにするか、近くに沢があればそこから引き込んでくる方法もあるかもしれません。しかし現在、私にはこのどちらもありません。定植して水が必要になるまでに、何とかこの問題も解決しなくてはなりません。

さらに、研修先のお日さま農園ではアスパラガスの栽培をしていなかったので、栽培技術や知識に関しては改めて自ら学び直さなければならないという課題もありました。

そのため、地域で実際に栽培されている先輩農家さんのもとへお話を聞きに行ったり、県の試験場でアスパラガスの有機栽培方法を研究されている先生のもとに相談に行かせていただきながら、知見を深めるよう努めています。

先輩農家さんの圃場を見学させていただいている様子

それでも、まだまだわからないことだらけなので、引き続き先輩や先生方にご指導を仰ぎつつ、実践しながらアスパラガスに対する知識や技術を高めていければと思います。

そして、実際に栽培を始めれば予想もしなかった問題や困難なことにも直面するかもしれません。昨今の異常気象や市場価格の変動などにも上手く対応していかなくてはなりません。

だとしても、蔵王の清らな水と美しい山麓の景色の中で育った美味しいアスパラガスをより多くの方に食べていただきたいし、何より私自身も食べたい!だから諦めず、課題を一つひとつ解決してつくり続けていきたいと思います。

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