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『イノベーション・オブ・ライフ』を読んで考える、人生の資源配分(7/50)

クレイトン・M・クリステンセンをご存じでしょうか。破壊的イノベーション理論を確立させた経営学者で、『イノベーションのジレンマ』や『ジョブ理論』など複数の著作を出版しながら、多くの経営理論を打ち出してきました。そんな彼が60代を迎えて出版した『イノベーション・オブ・ライフ』は、これまで彼が確立してきた経営理論を、人生全般に応用させようとした意欲作です。

死の床についた時「幸せな人生だった」と言うために、私たちはいかに生きれば良いのか。この問いについて誰しも考えたことがあるかと思います。就活戦線では夏インターンも後半戦に差し掛かり、学生の皆さんも、様々な企業にエントリーされる中でこの問いに向き合い、行きたい業界や就きたい職種などの暫定解を出し始める時期ではないかと考えています。

私たちはいかに生きれば幸せになれるのか。クリステンセンはこの問いについて、資源配分(≒資源を何にどれだけ投資するか)に着目しながら考察しています。

わたしたちはプライベートな時間や労力、能力、財力といった資源をもっていて、これを使ってそれぞれの人生でいくつもの「事業」を育てていく。たとえば伴侶や恋人と実り多い関係を築く、立派な子どもを育てる、キャリアで成功する、教会や地域社会に貢献するといったことだ。

IR資料などで企業の資源配分を知ることは、その企業がどのような姿を目指し、何を大事にしているかを理解する1つの有効な手段です。資金も時間も有限である中で、企業は例外なく、何にどれだけ投資を行うかの決断を日々迫られています。クリステンセンは本書において、この点における人生と企業の類似性について指摘しました。

残念ながら資源には限りがあるため、それぞれの事業は資源を得ようとして競い合う。つまり、わたしたちも企業とまったく同じ問題を抱えているのだ。

今、月曜日が終わろうとしています。あなたが今日どのような1日を過ごしたか、少し思い返してみてください。もし今日があなたにとっていつもの平日ならば、別の1日を想像しても今日とさほど変わらない過ごし方をされているでしょう。今日は昨日であり、1週間前の月曜日であり、環境の変化がないならば1年前の月曜日であり、そして1年後の月曜日でもあるでしょう。一生が数少ない特別な日と多くの”いつもの平日”で構成されるならば、人生全体の風景は概ね今日過ごしたものと似通ってくるはずで、成し遂げられることがあるとすると(それが”立派な子どもを育てる”であれ”キャリアで成功する”であれ)、それは今日積み重ねた何かの先にのみ存在します。

夏インターンに参加できた方、結果が奮わなかった方、現時点における就職活動の様相は人それぞれだと思いますが、就職活動単体の話をすると、現時点での結果自体はそこまで重要ではありません。インターンに参加した方はインターン先で学んだことを復習して自分のものにすることが大事ですし、参加されなかった方はあらためてご自身の目標を見つめながら行動を振り返り、秋以降の動きに活かせば結果はついてくるはずです。どちらにせよ、自身が描く目標に対して何が必要かを分析し、今日すべきことを厭わず行うことが、この時期においてスムーズな就職活動を目指す上での重要ポイントになります。

そして人生全体の話をすると、夏インターンの結果も新卒で入社する企業の名前もそこまで大きな問題ではなく、あくまで幸せな人生を送るための諸問題のうち1つという位置づけでしかありません。本当に大切なことは、人生において何を成し遂げたいかを多面的に見極めた上で、その実現に対する適切な努力を日々行える環境を作ること。行きたい業界も就きたい職種もそのために決めるのだということを忘れず、引き続きオータムに向けて突っ走っていただけると嬉しいです。

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