「子供だましみたいなこと」は、幼児と一緒だと楽しめる

先日バズったデイサービスのツイートで、私が耳にした「子供だましみたいなことをやらせやがって」という件だけど、それだけ嫌がっている高齢者の方々でも、喜んでチーチーパッパ、を楽しめる方法がある。子どもと一緒にやること。
https://note.com/shinshinohara/n/n8a5347309d98

祖母が入所しているところに、まだ赤ん坊だった息子と一緒に行くと、高齢者のみなさん、笑顔が輝いた。ものすごくうれしそう。女性だけでなく、男性の方まで。わあ、皆さん子供好きなんだなあ(嫌いな方がいらっしゃるのはもちろんだが)、と驚いたことがある。息子の周りにワラワラと、車いすが。

Eテレの番組「Eダンスアカデミー」を見ていた。デイサービスなのか、高齢者の方々が簡単な体操をやっていた。介護士のお姉さんが明るく声をかけるのだけれど、幼稚園児にかける言葉に似ていて、それが不服なのか、多くの高齢者の方が嫌そうに体操していた。中には嫌がってしない人も。

そこにEダンスアカデミーの子どもたちが登場。自分たちで考えたダンスを高齢者の方たちに教え、音楽に合わせて踊り出すと、高齢者のみなさんのやる気が変わった。子どもたちと目を合わせながらニコニコ、一所懸命に手を伸ばして体操する方もいて。子ども相手だと、様子が全然違う。

いくら若いと言っても成人したスタッフから「おじいちゃんおばあちゃん、手を伸ばしてー、はいー!」と、幼稚園児に語りかけるような形で体操するのは、自分が幼稚園児扱いされた気分でどうも気分が乗りきらない人が多いらしい。しかし相手がEダンスアカデミーの子どもだと話が違うらしい。

目と目で「こうするの?」とニコニコ笑いながら、目や表情で無言の会話をしながら踊っていた。子どもとだと、「子供だまし」ではなくなり、子どもと一緒に楽しむ体操になるらしい。一所懸命踊る子どもたちがかわいらしくて、その子たちに「合わせて上げている」気持ちになれるから、恥ずかしくない。

以前、保育園と高齢者施設を併設している施設があるというのをニュースで見たことがある。赤ん坊を連れて行った時の、高齢者の方々の輝くような笑顔を思うと、これ、全然違うと思う。チーチーパッパも喜んで子どもと一緒に踊ると思う。子どもとアイコンタクトしながら、きっととても楽しく。

軽度と重度の人が混在する中で、複数のサービスを提供するのは無理、というご意見が結構あった。その通りだと思う。ただ、そのご意見は、一つの施設が複数のサービスを提供する、という前提のように思う。その必要はない、と私は考える。大学の講義みたいなデイサービスに特化した事業所でいい。

あとはケアマネが、高齢者の個性に合わせて、紹介するデイサービスの事業所を変えればよいだけだと思う。事業所ごとに、提供するサービスが、身体機能に特化したところでもよいし、大学の講義みたいなのに特化したところでもいい。そうして、事業所ごとにサービスを特化し、選択肢を提供すれば。

ただ、まあ、大学の講義みたいなサービスを提供する事業所が成り立つのは、都会だけかな、という気がする。田舎だと成立させにくいかもしれない。うちの近所は皆さん農家で、80代後半だが、デイサービスを受ける暇がない。農作業や庭仕事に忙しくて。とてもご健康であらせられる。

それにしてもみなさん、子どもがお好きだなあ、と思う。もう、集落の中の高齢者のみなさんが、うちの子どもをかわいがってくださる。子どもは、いくら若くても成人した人間と、どうも違う魅力を持っているらしい。だとするなら、デイサービスなど高齢者施設も。

子どもと一緒にできるようなデイサービスがあってもいいかなあ、という気がする。幼老複合施設というらしいけれど、これは幼児にとっても、高齢者にとっても、いい意味でとても刺激的な空間になるように思う。

私のところで働くスタッフは、当然大人ばかり。みなさん個性があって楽しいのだけれど、学生さんを引き受けると研究室の活気が違う。みなさんが学生さんをかわいがる。空気が若返る。和らぐ。大人だけのとは、やっぱりなんか違う。若いっていいな、と思う。

チーチーパッパ、で運動するのには、衰えた身体に合わせた運動ということで、とても立派な理由があるのだと思う。ただ、大人だけの世界でそれをやるのは心理的心情的につらく感じる人がいるのも確か。しかしそのつらさは、子どもがたった一人でもその空間に存在するだけで劇的に変わるように思う。

たぶん、「チューリップの花」のような歌でも、子どもの顔を見つめながら、手でチューリップの花をかたどるのも、笑顔でできる人が一気に増えると思う(全員ではない)。子どもは、少なからずの高齢者の心のこわばりをとることになるのではないか。

新型コロナ前はよく出張していて、泣きそうな子どもを電車の中でよく見かけた。私はそんな時、笑顔で目をむいて見せたり、変顔したり。すると、子どもは私の目をじっと見たり、照れてお母さんの胸に顔を沈めたり。でもまた気になって、私の顔をじっと見て。そのやり取りが楽しかった。

変顔なんか、大人に対してやる気は全く起きない。相手もバカにするなと怒るだろうし、こっちもバカバカしい、とお断り。けど、子どもに対してなら全然違う。特に赤ちゃんや幼児なら、声をかけなくても変顔でかなりコミュニケーションとれる。楽しい。

高齢者ばかりの施設、幼児ばかりの施設、という風に分けるのは、管理上の「効率」を考えると実に合理的。なだ、人間の心理信条としては、かなり不自然。この矛盾相克を、どうやったら解決できるのだろう。大変だとは思うけど、幼老複合施設って、もっと真剣に考えてもいいともう。

幼児と一緒なら、幼児と一緒に踊り、楽しめる高齢者の方は多い。これも相性だから、全高齢者にあてはめてはいけない。ケアマネがうまく相性を考えて、サービスを選択できるようにする必要がある。けど、そうした選択肢もあるといいなあ、と思う。選択肢がそもそもないのは残念だから。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?