BIS規制の見直し

雇用を守り、イノベーションを起こす一つの方策に、BIS規制の見直しかあるように思う。
BIS規制が行われる前、日本の銀行はふんだんに企業に融資していた。不景気になったら企業は資金不足になる。それでも大企業なら銀行から資金を調達でき、雇用を維持できた。中小は土地を担保に入れて借り入れた。

不景気でもなんとか雇用を支え、新規事業を必死になって探す、ということを繰り返していた。これがバブル経済までの日本の成長を支える原動力でもあった。
これにアメリカが目を付け、BIS規制を国際ルールにした。銀行の自己資本の何倍以上はお金を貸し出しちゃダメ、というルール。

バブルが崩壊すると、銀行はBIS規制で思うように企業にお金を貸し出せなくなった。企業は銀行から借りられなくなった。製造業は好調で、圧倒的に世界一の製造能力と技術力を誇っていたが、次第に資金確保の難しさが深刻に。資金不足を補うため、内部留保を蓄えるようになった。

それでも内部留保は「いざ」というときにとっておきたい。問題は、「いざ」っていつ?ということ。恐くて使えず。結局、内部留保は使うに使えないお金。
銀行は相変わらずBIS規制と不良債権のせいで企業にお金を貸せない。そのうち製造業はついに社員の首切りをしないと資金繰りが回らなくなった。リストラ。

リストラは「使えない社員の首を切る」と口では言うものの、「この人、会社辞めたら生きていけない」と思うと首切れず、優秀な人間は「この人ならどこでもやってける」から辞めさせやすい。結果、優秀な人材が製造業から流出、韓国や中国メーカーに転職していった。

いま、政府は企業に内部留保を吐き出させようとしてるけど、企業からしたら、銀行がどれだけ資金提供してくれるか読めない状況で内部留保を吐き出すなんて恐くてできないのではないか。もし銀行が昔のように潤沢に資金提供してくれるなら、企業も内部留保を吐き出すことかできるかもしれない。

コロナでいろいろ混乱したが、逆にこの状況を利用して、BIS規制を国際的に緩める提案をしてもよいのではないか。企業は銀行から潤沢な資金提供を受け、不況でもリストラせずに済む。なんとか雇用を維持してる間になんとか次の手を探す。銀行からの資金提供は、次の景気までつなぐ大事なバッファー。

しかし今はそのバッファーが小さいために、企業は業績が悪くなるとすぐリストラしなければならなくなる。BIS規制を緩和すれば、日本だけでなく、他の国でも雇用の維持とイノベーションの両立をやりやすくなるのではないか。
これはあくまで一案でしかないけれど。

追伸。
バブルは、BIS規制を克服しようと、株と土地の価格をつり上げ、銀行の自己資本比率を上げるために考えた方策の可能性。けれど膨れ上がった風船をどう始末するのか考えてなかった方策、と私は考えています。


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