日本の研究力を再生する一案

私が考える研究活性化策は
①競争的資金を半分に減額、その分を交付金として分配。
②年に1回メンターを派遣、コーヒーでも飲みながら「誰も試したことのない実験」をどれだけやったか話してもらう。すべて失敗でも構わない。メンターは、さらにやったことのない実験を促す。
以上。

以前にもまとめたけど、競争的資金は研究者から自由な発想と創造性を奪う。大型プロジェクトで、早期にうまくいかないことが明らかになっているのに、惰性で何年もムダな研究してる「フリ」をしてるケースが少なくない。なのに路線変更しづらい。それが競争的資金の問題。
https://note.com/shinshinohara/n/ncdf8e397d76d

計画通り進んでるフリ、研究成果が出てるフリをしなければならないという呪いにかかってる研究プロジェクトのいかに多いことか。競争的資金は、こうした呪縛を研究者にかけてしまう魔力がある。私は、競争的資金は、半分に減らしてよいように思う。

その代わり、交付金を増額する。研究者一人当たり100万あれば、分野にもよるが、相当の実験が可能になる。そして交付金での研究には計画を立てさせず、興味の赴くまま、誰も試したことのない大胆な実験をすることを促すとよいように思う。

メンターが年1回訪問し、そのメンターを驚かすような、楽しませるような様々な実験をすることだけを義務として課すとよいように思う。メンターは、成功に着目するのではなく、いかに新しい挑戦をしたかに着目する。そうすれば、研究はとても面白いものが生まれてくるように思う。

日本人は良くも悪くもマジメで、競争的資金のように計画を立てさせると、その通りにしなければならないように思ってしまう。それ以外の実験をしてはいけないように感じる。日本人と競争的資金は相性が悪すぎるように思う。

また、競争的資金の出し手も研究というものがわかっていないケースが多い。計画通り研究が進んでいるかを監視しようとする。ビルの建設じゃあるまいし。研究はうまくいくかどうか分からないから研究。計画通り進んだらそれは研究ではない。なのに進捗を管理しようとする。そんなことをするから。

研究者は計画通り進んでいるフリをする。うまく成果が出てるフリをする。そして役に立たないゴミデータばかりが蓄積する。牢の番人みたいなことをするから研究は死んでしまう。研究は、自由を失えば死んでしまう営み。

研究で大切なことは、まだ誰も試していないことを試すこと。誰もやったことのないことを試せば、それなりの確率で新しい現象、法則を発見できる。それが役に立つかどうかはわからないが、新規な現象は山ほど見つかる。その裾野が広ければ広いほど、役に立つ研究も生まれてくる。

まずは誰も試したことのないことを試しまくること。それによって山ほど新発見を積み上げること。その中から、ある確率で役に立つものが生まれてくる。それが研究だと思う。

ところが2000年代に入ってから、やたら予算はつけるけど、その代わりにやたらと計画通りに進んでるかにクチバシを入れ、研究者が「計画通りに進めなきゃ!」という呪縛に陥るようにし、自由な発想を奪ってきた。日本を弱体化させるのに、こんなに効果的な政策もなかった。

日本の研究は相当に壊れてしまったが、それでもやらないよりはよい。競争的資金を減らした分、交付金を増やし、「誰も試したことのない実験」を促す。それが日本の研究力を再生する一番のシステムのように思う。

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