世界をアップデートする方法

私はもともと勉強ができず、物わかりの悪い人間としてスタートしているからか、「そんな説明じゃわからんよ、そもそも興味すらわかないよ」というところが気になるタチ。難しいことを難しい言葉のまま話すのは比較的簡単。だって、言い回しを丸暗記すりゃいいんだから。

でも、そんな語り口は、興味のない教科書の文章を読むようで、味気ない。理解できない。興味がわかない。つまりなんの役にも立たない。難しいことを難しく語ることほど、意味がないこともないのかもしれない。役に立つとすれば、「オレってこんな難しい言葉を駆使できる」という自己満足にだけかも。

一つのことにクローズアップして解説することは、全体を歪めるからよくない、というようなご指摘を頂いた。それも一理ある。ただ、正確な全体表現って、つまらない。本当に教科書の文章のようで味気ない。間違ってないかもしれないけど興味を持ってもらえないのでは、存在しないも同然。

エジソンやナポレオンの伝記を読むと面白い。しかし歴史の教科書を読んでも面白くない。これは、歴史に登場する人物一人一人を身近に感じることができないためだと思う。木を知らないのに森を語られても、全然興味が湧かない。それよりは一本一本の木の魅力をまず知ってもらった方がよい。

森の中には魅力的な木の一本一本が息づいている、と感じることができるとき、はじめて森の全体像もいきいきと感じ取ることができる。1本の木さえ知らない人間に森を語っても、それは教科書的な無味乾燥な言葉の羅列にしか感じられないだろう。

「世界をアップデートする方法」を書く際、その点を重視した。そもそも歴史が苦手な人は、その歴史の中で一人一人の登場人物がどれだけいきいきと活躍していたのかということを知らない。歴史上の人物の魅力を知らないで、歴史全体のことを語られても教科書にしか思えないだろう。

しかし、人物をいきいきと描く伝記などは、その人物を描くことはできても歴史の流れをつかむということには不向きだったりする。人物の魅力と、歴史の流れをつかむということはなかなか両立させづらい。
私はその点に挑戦してみたいと考えた。

特に哲学者や思想家という人種は、一般の人には縁遠い存在。その人の伝記を読んでも心躍らないし、何が面白いのかわからんということが多い。いわば、コンピューター言語はコンピューターの発展に大切だとしても、それを生のまま示されても素人には呪文にしか思えないようなものだと思う。

しかし、ウィンドウズが出てきて、素人でもパソコンを操作できるようになり、スマホのOSが登場することで様々なアプリを楽しめるようになったことは、素人でも理解できる。コンピューター言語を生のまま知らなくても、歴史的重要性を把握することは可能。

哲学や思想が、世界にどんな影響を与え、歴史をどう変えてきたのかを描くことは可能。そうした流れをかいつまんで説明することも可能。穴あきだらけの理解かもしれないが、骨格さえつかめば、あとは個々人で肉付け作業はやってもらえばいい。私は、その骨格を示したかった。

そして、骨と骨のつなぎ目には、魅力的な人間がいるということを示したかった。木を知り、森を知る。木も森も把握できる本を作りたかった。たとえそれが粗いものであっても、肉付けは読者にお任せすればよいと考えて。

果たしてそれに成功しているかどうかは、読者が決めることだけど、今のところ、評判は悪くない模様。歴史が苦手で面白いと思ったことがない人ほど、読んでみて頂きたい。そういう人にこそ、面白がって頂こうと考えて書いた本だから。

というわけで、読んでみてください。
「世界をアップデートする方法 哲学・思想の学び方」 https://www.amazon.co.jp/世界をアップデートする方法-哲学・思想の学び方-篠原-信/dp/4797674423#featureBulletsAndDetailBullets_secondary_view_div_1717125781566

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