第四次産業の台頭

「第四次産業」化が進み始めているのかもしれない。近代までは農業など第一次産業が中心だった。産業革命からは工業化が進み、第二次産業が発達した。石油文明が進むと、サービス産業が盛んになり、第三次産業が巨大化した。そしてインターネットが生まれて。 https://t.co/fnt5QmnQ5U

膨大な情報を扱い組み合わせ、新しいアイデアを生み出す知的産業が中心になりつつある。これは第四次産業と呼んだ方がよいのかもしれない。第四次産業には、高度な知識が求められる。それには博士号をとるくらいの知的好奇心が必要だ、ということで、欧米では博士号をとる人が増えているのかも。

しかし日本は、博士課程の学生を「無料でこき使える労働力」扱いにしてきたし、しかも博士号取ってみたら就職先がない、という有り様。「ポスドク」の大量生産で、三年程度しか収入を保証されない不安定な身分で、しかも収入はどんどん低下。低賃金労働化。

博士号を持つ人間は、未知な事象に対して仮説を立て、実験し、解決策を探る訓練をさんざんやってきた「課題解決のプロ」。これを雇えば、「第四次産業」を生み出すのに大きな力になるというのに、これを活かそうとしなかった。

一つには偏見もあっただろう。昔の博士は「専門家」になってしまい、自分の専門分野以外はやりたくない、という頑なさがあり、雇う側としては扱いにくかった。しかしこれは昔の話。ポスドクになったら全然違う研究をやらされるのが当たり前となり、もはや専門を続けられるとは考えなくなってる。

また、博士になろうと言う人間にも誤解があった。昔は博士と言えば大学の先生になるのが相場だと思っていたので、博士号取ったらポスドクで渡り歩くしかない、という現実に愕然とした面がある。専門を続ければよいと思い込んでいた面もある。

しかし良くも悪くも、博士号をとったからといって専門分野を続けられるとは限らない、ということは、博士課程に進む人間は身にしみている。それよりは、未知の現象に仮説を立て、実験検証して事実を突きとめていく課題解決型の姿勢が明確になりつつある。

日本企業は、こうした課題解決型の人材として博士を見直し、積極採用すべきだと思う。そうなれば状況は大きく変わるだろう。
あるいは、社会人を博士課程に放り込むのもアリだろう。解決したい課題の専門家のところの博士課程にスタッフを送り込み、解決を図る。こうして第四次産業の人材を育てる。

欧米は第四次産業に人材を増やそうとしている。これには、仮説を立て、実験するという博士課程並みの訓練が必要。そうした社会に乗り遅れないようにしたいなら、企業も変わる必要があるように思う。

第四次産業は「知的創造産業」。これまでの産業が、ある程度ノウハウを確立したらそこで終わりだったのと違い、ひたすら頻繁にアップデートを求められる産業が、第四次産業と言える。これに引きずられるように、他の産業もアップデートを余儀なくされつつあるくらい。

第四次産業が次の時代の核になるのは間違いない。というより、すでにそうなっている。そろそろ、第四次産業を別途、他の産業と区別して統計を取った方が良さそうな社会状況のように思える。

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