相手を劣位に置かず、相手に委ねる

(公園でタバコを吸ってる若者に注意しても聞いてもらえなかったという意見に対し)

言葉かけのときに重要なのは「相手を劣位に置かない」ことだと思います。相手は劣位に置かれた、と感じてしまったのかも。あくまで対等になるように持っていく必要があるんですよね。
加えて、こちらの言うことを聞かない自由も相手に預ける必要があります。これがないと強制になるから。

以前、電車で大騒ぎしてる5歳くらいの子どもがいました。母親が必死に「静かにして」と言い聞かせてるんですけど、聞いちゃいない。このままだと、苛立った乗客の誰かが怒鳴りつけてしまうかも。で、私が話しかけることにしました。その子の前に進んで、その子に次のように話しかけました。

「お楽しみのところ悪いな。この電車の中、疲れたおじさんが多くてな。少しでも眠りたいんやわ。ちょっと静かにしてやってくれるか。悪いな」と言うと、ピタリと静かになりました。まさか「背景」と化してる電車の乗客から「人間」が飛び出して声をかけてくるとは思わなかったみたいです。

電車から私が降りるとき、もう一度その子に声をかけました。「よう静かにしてくれたな。ありがとう」。その子も、母親も会釈してくれました。
このケースで気をつけたのは
・君には楽しむ権利がある
・ただ電車には他の人もいるので、配慮はしてほしい
・でもどうするかは君に委ねる
ということ。

いくら言葉が丁寧で下手に出てるようにしていても、心構えが「お前、言う事聞けよ」だと、言葉よりこちらの態度を察知して、それに反発してしまいます。人間って、言葉以上に、その人が醸す雰囲気、姿勢、態度に反応するんですよね。だから、

最後にどうするかはあなた次第です、それにどうこう言うつもりももはやないし、言うことを言いましたから、こちらの要望と違うことをされてももう文句は言いません、という心がまえが大切。相手に全てを委ねる。委ねた上は不満を言わない。それが大切なんですよね。

相手に、こちらの言うことを聞かない自由がある、そうした選択肢がある、ということを、こちらの気構え、心構えで持つ必要かあります。これは言葉のデザインではなく、心構えのデザインになります。現代人は、この心構えのデザインを忘れがちなのかな、とは思います。

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