私が知らない妻の一面
彼女は18歳、私は23歳だった。
ちょうど30年前に出会い、少しずつ距離が縮まり、ある日彼女は
「大丈夫、恐れないで何でも話して。」と言った。
人生でそんなことを言われたこともない私は心震えた。
太宰治の小説と河島英五の唄が好き、と言われ、なんて澄んだ心の人だろう、と思った。
お互いの気持ちを確かめ合い、人はこんなにもありのままの気持ちを伝えたり、ただただ無邪気にじゃれあったりしていいんだ、と感激しながら、胸震わせながら、いつか壊れてしまうのではと少し恐れながら、この夢のよう