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それはイカンガー

学生時代、福岡国際マラソンのコースは下宿の前の国道でした。そのコースをタンザニアの英雄、ジュマ・イカンガーは毎年のように走っていました。全盛期を過ぎたベテランランナーは小柄な身体を激しく揺らし、スピードランナーの片鱗を漂わせながら、表情を歪ませながら走っていたのです。沿道からは「イカンガー!」「イカンガー!」と日本人選手以上の声援!本人の走る姿を見て鳥肌が立ち、想像以上の声援を聞いてまたまた鳥肌が立ちました。

いつしか彼へのリスペクトは日常生活で何事かの懸念を示すときに「それはいかんガー。」といってしまう口癖となって私の中に深く根付いていきました。

時は流れて30年後。出てしまうのです。あの口癖が今も所構わず出てしまうのです。

ところが「いかんガー」はダジャレとは言い難く、ここ名古屋では普通に地の言葉として通用しそうなギリギリアウトコースいっぱいストライクなのでした。したがってイカンガー選手を知り得ない人々にとっては私の「いかんがー」はただ「いかんがー」と曰うオジサンの口癖でしかなく、背景に偉大な選手へのリスペクトがあろうことなど知る由もないのでした・・・・・・・・・・いや、わ、わし、「知る由もない」などと世代的に知り得ない人々に対して傲慢な年長者の口ぶりになっている!こ、これは、い、い、い、いかんガー!

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