「歯科技工士」一歯科医師の立場から
「歯科治療は多くの方がイメージするよりもはるかに難しい。」 「置換治療を現状の保険治療で受け続けること自体にリスクがある。」と言いました。例えば健康保険適用の銀歯、これは金銀パラジウム合金です。よくこの銀色であること自体や、 パラジウムがレアメタルであること、時に金属アレルギーなどが取り沙汰されることがありますが、本当の問題は、材料云々よりもこの銀歯に関わる工程の一つ一つに精密さが約束されていないことにあるのです。まずは歯科医師。この銀歯治療に支払われる報酬の少なさはこの治療の妥当性を探る「診査診断」という重要ステップ を、さらに銀歯のための前準備の精度を軽視しています。さらに恐ろしく軽視されているのが歯科技工士の技術です。恐ろしく少ない報酬をさらに値引きされて、そうした現状を受け入れながら大量受注し夜を徹し、身を潰して、ひたすら大量の銀歯をすごいスピードで作製し続けているのです!
私たち国民が「保険でお願いします。」と何気なく言う末に広がる世界は多くの若者の就業意欲を挫き、自らの生活を極限まで削る非人間的な絶望の世界なのですよ!いいですか!そんな状況で出来上がってくる銀歯に生物学的機能的に過酷な口腔内の環境を生き抜くタフさと微生物からの侵襲を受け付けない細部の精度を求めるのですか!生体を恐ろしく軽視している実態を、この狂った世界を頼むから見てくれ!もう、僕はこんな誰もメリットのないことなどしたくない!メリットは、お金が安いこと、ただそれだけなのですよ!我が国の歯科技工士の離職率は80%を超えています。この事実の原罪に問われるべきは歯科医師であり、こうした保険診療報酬体系に甘んじてきた国民一人ひとりの問題なのです!こんな犠牲を礎にしながら歯科医院を開いているとはどういうことなのか?激しく糾弾されることをどこかで望む自分を激しく自覚するのです。
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