「エレベータートーク」という名の修行
職場のエレベーターであまり親しくない人と
ばったり会ってしまった。
エレベーター内の数十秒
何を話そう…って
ドキドキしたことありませんか?
または、エレベーター待ちの時間。
ボタンを押してもなかなか来ないとき
顔見知りの人と待っている間、
沈黙のまま過ごしていませんか?
一応知り合いだし
「何か話したほうがいいのかな」
「黙っていると悪い印象を持たれちゃうかな」
と考える人もいるかもしれません。
あるいは、「気まずいなぁ」と思いながら
早く目的の階に着いてくれることを祈ったり。
かくいう私も
スマホを出してメールチェックするふりをして
やり過ごしたことがあります。
でも、今は違います。
エレベーターが目的階につくまでの数十秒を
ひそかに修行の時間にしています(笑)
『エレベータートーク』というスキル
アメリカ・シリコンバレー発祥の
「エレベータートーク」
というビジネス文化をご存知でしょうか。
シリコンバレーで成功を夢みる起業家が
資金調達のために
目当ての投資家が勤務するビルのエレベーターで
待ち伏せをします。
そして偶然を装い乗り合わせ
行き先のフロアに到着するまでの短時間で
自らの事業のプレゼンテーションを行い
資金を調達した、という実話に由来します。
エレベーターに乗り合わせただけ
の時間ですから
せいぜい30秒、長くても1分程度です。
それほどの短時間で
投資家に自分のアイデアを売り込むため、
話の要点を伝え
相手の印象に残らなければならないのです。
つまり、
エレベータートークとは
簡潔かつ印象的にわかりやすく伝える必要
があったことから生まれたトークスキルです。
別名、エレベーターピッチ
サバイバルトークとも称されます。
コミュニケーションの場と捉える
エレベーター内のわずかな時間に
渾身のプレゼンをして
ビジネスチャンスにつなげる。
すごい人たちがいるもんです。
わたしは普通のサラリーマンで
起業家ではないし
エレベーターで投資家と乗り合わせる機会も
そうそうありません。
ただ、このわずかな時間を
大切なコミュニケーションの場
として捉えてみたらどうでしょう。
たかがエレベーター、
されどエレベーターです。
わずかなやりとりで相手の興味をひきつけ
自分の存在を覚えてもらったり
1分で相手の印象に残るトークスキルは
身につけておいて損はないと思います。
「沈黙を乗り切る引き出し」を
たくさん用意しておけば
日頃の会話も上達するような気がします。
とはいえ「エレベーター内で会話すること」って
日本のビジネスマナーにおいて
あまり歓迎されるものではないですよね。
オフィスビルには
さまざまな企業が入居していますし
誰が乗り合わせているか分かりません。
特に、人材業界に身を置くわたしは
情報漏洩の観点からも注意が必要なので
会話するのは1対1のときだけにしています。
ちなみに、わたしの勤務先は
10階建てのビルの9・10階に入っています。
エレベーター(定員12名)は2基あり
社内の人とふたりになることはよくあります。
つまり、そのときがチャンスです。
わたしにだけ「カ〜ン」と
ゴングの音が聞こえます。
わずか数十秒の会話を楽しむ
営業のわたしの就業フロアは8階なので
9階(他部署)にいる人たちの多くは
話したことがありません。
そして、同じ9階にも
普段あまり接点のない人や
初対面に近い新人さんたちがいます。
そんな人たちとエレベーターで乗り合わせて
ふたりになったとき、何を話しましょう。
絶対にダメなのは、挨拶をしないことですよね。
「どうせエレベーター内で無言だし、
会釈だけでいいや」と考えるのはいけません。
挨拶は声に出して感じよく、が基本です。
そして、鉄板ネタはやはり、
天気・季節の話題です。
「今日も暑いですね〜、
(オフィスの)冷房がきいてるといいんですが」
などなど
その日の季節・天気などの事実+感想
を話すのが無難ですね。
あとは、コロナ関連の話題もまだまだイケます。
「コロナがまたジワジワ増えてるみたいですね」
「意外にまだマスクしてる人多いですよね」
などです。
ほかには、仕事の忙しさを聞いてみるのも
社内の会話テーマにぴったりです。
「最近残業どうですか?
20時までには帰りたいんですけどねぇ」
「最近忙しいですか?事務処理が多いですよね」
などの声かけなら、相手も反応しやすく
会話がつながりやすいですね。
ちょっと上級者編ですが
相手の「服装や持ち物」を褒める
のもオススメです。
「涼しそうでいいですね」
「その色オシャレですね」
など、上手に褒めるような言葉をかけると、
相手も気持ちよくなって和みます。
場数を踏むことで向上する
わたしは営業職なので
コミュニケーションスキルを高めることは
仕事に直結します。
初対面の相手に好印象を与えること
「また会ってみたい」
「話の続きを聴きたい」
と顧客に思わせることができれば
大きな強みとなります。
飛び込み営業や短い商談などのシーンでは
わずかなやりとりで相手の興味をひきつけ
自分の存在を覚えてもらう必要があるからです。
伝えたいことをすべて伝える時間がない中で
大切になるのは
相手へのインパクトや興味を喚起することです。
別の機会を設けてでも
もっと詳しく話を聞きたいと相手に思わせ
次のチャンスにつなぐことが
エレベータートークの要諦だと思います。
営業ではない人にだって
忙しい上司への報連相や
社内でのコミュニケーションなど
手短に要点を伝えなければならない場面が
あるはずです。
エレベータートークとは
同じエレベーターに乗り合わせた時のような
30秒~1分弱の短時間で
自分の伝えたいことを簡潔に分かりやすく話す
会話術です。
時系列でダラダラ話すのではなく
結論を先に述べて、要点をまとめたり
相手のメリットを強調したり
などのトークスキルは随所で求められます。
「話が長いばかりで
結局何を伝えたいのか分からない」
という印象を与えないよう、
普段からトークの瞬発力を磨いておく意味はあると思います。
おわりに
少し飛躍して聞こえたかもしれませんが
会社を“自分磨きの道場”と考えれば
たかがエレベーターでも
自分に負荷をかけることができます。
エレベーターに乗っている時間なんて
ほんのわずかな時間ですからね。
最初はドキドキしますけど
やってみると案外楽しいです。
誰かとバッタリ顔を合わせた途端
「さぁ、なにを話そう?」
と、頭の中が高速回転を始めます。
これを繰り返していたら、
社内の人はもちろん
ビルの清掃の人、宅配の人とも
普通に話すようになりました。
瞬時に褒めポイントを探すようになって
観察力も上がった気がします。
「社外の人」とふたりになる機会もあるので
最近はチャレンジして、楽しんでます。
まだひとりだけですが
顔見知りになった社外の人から
「お疲れさまです」
と声をかけてくれるようになりました。
なんだか、うれしい気持ちになります。
さぁ、今日はエレベーターで
だれといっしょになるかな?
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