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『転職の魔王様』の名言に思うこと⑥

あなたの人生、このままでいいんですか?

来栖 嵐(キャリアアドバイザー)


毎週月曜、夜10時から放送中のドラマ
『転職の魔王様』もついに次が最終回です。

“転職の魔王様”の異名を持つ
敏腕キャリアアドバイザーが
心えぐる辛辣な言葉を突きつけながらも
求職者の働く自信と希望を取り戻させる
爽快なストーリーです。

録画をなかなか視聴できず
かなり遅くなってしまいましたが
今回は第10話についてです。

成田凌さん演じる来栖さん(魔王様)の
名言をクローズアップしつつ
現役のキャリアアドバイザーとして
私見を述べさせていただきます。



家族にとっての転職


第10話に登場した求職者は
大手レストランチェーンに勤務する
38歳のシステムエンジニアでした。

妻と2人の娘との将来を考え
「給料を今の2倍にしたい」と熱望する
家族思いのサラリーマン。

転職先が決まってから
伝えて喜ばせたいということで
転職することを妻に隠していました。

そして
無事に企業から内定を勝ち取ったのですが
なんと妻が転職に大反対するのです。

いわゆる「嫁ブロック」ってヤツです。

家事育児を専業主婦の妻にまかせて
自分は仕事ばかり。

一方の妻は、収入増よりも
早く帰って来ていっしょにご飯を食べたり
子供の世話や家事をやってくれるほうを
望んでいました。

収入を増やせば家族が喜ぶと思っているという
ありがちな(?)すれ違いですね。

どちらの気持ちもわかります。

でも、この奥さん
転職に反対する理由を夫が聞いているのに
はっきり答えようともしないんですよ。

「察して」と言わんばかりに
一方的に不機嫌になっている姿には
違和感しかありません。

自分に相談せず
勝手に転職を進めていたことに
腹が立っていたんでしょうけど
きちんと伝えてくれないとわからないですよね。

さらに、幼い子どもが近くにいる場所で
夫婦がいがみ合う姿を見せるのも
親としてはこらえてほしい。

あと、なんの落ち度もないのに
自分の力不足だと千晴(小芝風花さん)が
夫婦に謝罪していたのも釈然としません。

いちキャリアアドバイザーが
転職希望者の“夫婦の問題”まで
深読みする必要はないですよね。

「嫁ブロック」とは?


妻が反対するので内定を辞退します」

夫の転職や起業が
妻の鶴の一声でご破算になる。

「嫁ブロック」という言葉をご存じでしょうか。
(ドラマでは「嫁ストップ」と表現)

もともとは転職エージェント内で
スラング的に使用されていた言葉です。

家族を持っている既婚男性の場合、
転職すれば収入の変化や引っ越し
勤務時間の変更による生活サイクルの変化など
家族にも影響が出ることが多くなります。

そのため、家族の理解と協力は不可欠です。

本人が転職の意向を固めても
奥様がブロックすることって
実はよくあるんです。

エン・ジャパンの調査によると
既婚者の男性のうち
4人に1人(25%)は嫁ブロックを経験
したことがあるとのこと。

嫁ブロックの理由は、多い順に
「年収が下がる」
「有給休暇の取得率が低い」
「転職先の企業や業界のイメージや噂が
 あまり良くない」
と並んでいます。

引っ越しを伴う転職の場合には
交友関係が途切れてしまったり
子供がいる場合は転校させる必要が出る
などの理由で
妻は嫁ブロックを発動させます。

嫁ブロックへの唯一の対策は
転職や起業を考え始めたら
すぐに妻に相談しておくことです。

千晴(小芝風花さん)は、夫に話します。

転職はあなたひとりの問題ではありません
生活をともにする奥様に
内緒でするようなものではないんです
奥様は敵じゃない
いっしょに家庭を守る仲間です
なら、まずきちんと自分の想いを
伝えるべきなんです

奥さんはいわば運命共同体ですから
これはその通りですよね。

妻は闇雲に反対しているわけではなく
家族の生活や夫の体調を心配して
意見を言っている場合がほとんどです。

また、転職を決めてから
一方的に告げられたのでは
生活の変化への準備ができず
ただ反対するしかなくなってしまうことも。

先ほどの調査では、驚くべきことに
嫁ブロックで内定辞退した人のうち6割
「辞めておいてよかった」と回答しています。

転職や起業など、人生の転換点では
目の前に迫るさまざまなものに焦って
冷静な判断がつかなくなってしまうことが
少なくなりません。

そんなとき
夫をよく知る妻の冷静なアドバイスが
夫を救うこともあるのです。

転職によって
生活に何かしらの変化が出る以上
話し合いは必須だと思います。

落ち込んだ女性を励ます方法


せっかく内定まで導いたのに
嫁ブロックで辞退という、思わぬ事態に
落ち込む千晴(小芝風花さん)。

奥さんとお子さんにも
責められるような言葉をかけられて
打ちひしがれていました。

そこへ魔王様(成田凌さん)が現れ
言葉をかけます。

たった一度や二度雨が降ったぐらいで
向かい風を浴びたぐらいで
明日の晴れを信じないなんて
笑わせないでください
君にはまだ
できることがあるはずです

これに対して千晴は

「確かに
弱音なんて吐いている場合じゃないですね。
泣き言は言わず、一人でやってみせますから」

と意気込みます。

これに対し、魔王様は

弱音くらい吐けばいい
俺が大阪にいようが
君がひとり立ちしようが
困ったら頼ればいい

と返したのでした。

いや〜、ツンデレ男子っぷりがたまりません。

ただ、ひどく落ち込んでいる状態の人に
「笑わせないでください」
は刺激が強すぎませんか?

わたしは派遣営業として
150名超のスタッフさんを担当していまして
仕事で落ち込んでいる人を励ます場面が
ときどきあります。

あまりにちっぽけなことで悩んでいる人には
魔王節を炸裂させたくなります(笑)

まぁ現場ではそうもいきませんので
わたしが普段使っている
“励ましの言葉5選”を挙げてみたいと思います。

「◯◯が頑張ってきたことは知ってますから」

「あなたなら大丈夫」

「その状況なら
 自分も同じことをしていたと思います」

「困ったときはサポートするから
 安心してくださいね」

「わたしも以前こんなことがあって…」
 (類似の苦しかったことを話す)

今の状態を肯定しながら
不安や孤独感を取り除きつつ
寄り添う言葉をかけてあげたいですね。

おわりに


第10話は既婚者の転職がテーマでした。

いまや、国内の専業主婦の割合は
夫婦がいる全世帯の3割を下回っています。

「夫が働き、妻は家庭にいる」
という昭和型のスタイルはとっくに崩壊し
令和は夫婦共働きが7割を超える時代です。

政府は異次元の少子化対策を掲げ
産み・育てやすい環境づくりに
取り組んでいます。

わたしも人材業界に身を置く者として
求職者に多様な働き方(選択肢)を提供し
それぞれの自分らしい生き方を実現できるよう
支援したいと思います。



最後まで読んでいただき
ありがとうございました。

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