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長い関係の相手をわかっているつもりになる思い込み

今回は、対人関係のバイアスの一つについてお話します。
 
 
長く付き合っている相手のことをわかっているつもりになる「思い込み」です。
 
パートナー、家族、友人などの長く関わっている相手でも、会話をしていてわかり合えていないことがあります。
 
話を聞いていても、
「ちゃんと話を聞いてもらえていない」
「そんなことは言っていない」
という齟齬が生じることがあります。
 
これは長い関わりから、相手を理解しているつもりになり、話を聴かなくなっているからかもしれません。
 
そのことが要因で関係がうまくいかなくなることがあります。
 
今回は、そのようなバイアスについてです。




近接コミュニケーション・バイアス」 
 
この言葉が『LISTEN』という傾聴について書かれた書籍に出てきます。
 
近い関係にある相手のことをよく知っているという思い込みです。
 
近い関係の相手の気持ちを読み取る能力を過信していることから生じます。
 
バイアスというのは、脳の怠けからくると思います。
なるべく複雑な処理をせずに、楽にあまり考えずに今までに知っていることだけで処理したいと。
 
一度誰かとのつながりを感じてしまえば、その後も関係性はずっと変わらないと思いがちになります。
 
しかしながら、人や関係性は変わっていくものです。
過去の理解だけを頼りに今この人を理解しようとすることは難しいのです。
 
そのため、常に相手の話に耳を傾けて、新たな面を知って理解をアップデートしてく必要があるのです。
 
 
万物流転(ばんぶつるてん)」という四文字熟語があります。
 
この世にあるすべてのものは、絶え間なく変化してとどまることがないという意味です。
万物というのはこの世の中に存在するすべてのもので、物も人もすべてです。
それが絶えず変化し続けているということです。
 
時間は流れて、その時間の流れとともにすべてのものは変化していきます。
 
新しく買った家具も時間が経つと、見かけは変わっていないようでも、よく観察すると劣化し小さく変化し続けていることがわかります。
 
物がそうですから、人間はもっと変化が早く大きいはずです。
1年後の自分は変わっているだろうし、極端にいえば昨日と今日でも変わっています。
 
人との関係性は流動的に変化する生き物のようなもの。
その変化を捉えていかなければいけません。
 
 
相談の仕事をしていますと、相談者と長い期間で関わることがあります。
 
関わり始めの頃は理解しようと努めるものです。
でも一度関係性ができると、私のほうが安心してしまうんですよね。
 
しかしながら、先に書いたように相談者も刻一刻と変わります。
その変化をとらえて新たな面を知ろうとしないと、一度築いた関係性も微妙に離れていきます。
それで相談関係がうまくいかなくなることも経験しています。
 
絶えず相談者に耳を傾けることが大事なんですね。
 
 
親しい間柄、長い間柄だからといって、相手を理解したつもりにならずにいつも耳を傾けましょう。
 
 
 
今回は、近くて長い関係の相手をわかっているつもりになる思い込み「近接コミュニケーション・バイアス」についてでした。
 
 
最後までお読みいただきありがとうございました。
 
 
【参考文献】
『LISTEN―知性豊かで創造力がある人になれる』(ケイト・マーフィ (著), 篠田真貴子(監訳) , 松丸さとみ (翻訳)  日経BP)
 
 
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小林いさむ|公認心理師

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