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自分の緊張が人に伝わっているという思い込み

今回は、『自分の緊張が人に伝わっているという思い込み』という話をします。


人前で話すのは緊張するという人は多いと思います。
大勢の前でのプレゼンや、少ない人数でも大事なことを伝えなければいけない場面では、緊張しますよね。

このように緊張してしまうのには、ある思い込みが一因になっています。


それは、タイトルで書きましたが、自分の緊張が人に伝わっているという思い込みです。

緊張というのは自分の内側の状態ですが、その緊張が外側の他者に伝わっていると思い込んでしまうのです。



ここには、「透明性の錯覚」という心理が働いています。

透明性の錯覚とは、自分の考えや気持ちが実際以上に他人から見透かされていると思い込んでしまうことです。

自分では緊張して話したと思っていても、周りの人からは緊張しているようには見えなかったと言われた、
そのような経験はないでしょうか?

実際以上に自分の緊張が人に伝わっていると思ってしまっているのですね。

隠し事や嘘が相手にばれているのではないかと、実際以上に思ってしまうのもこの心理です。


また、相手へ
「自分の考えや気持ちをわかってくれているだろう」
「正確に伝わっているだろう」
と実際以上に思い込んでしまうのも、透明性の錯覚です。

ですので、透明性の錯覚は、人に伝わってほしくない場面、人に伝わってほしい場面、両方に生じます。



どうして「透明性の錯覚」は起こるのでしょうか?

それは、私たちが自分を手掛かりとして相手を判断しがちな傾向があるからです。

他者の内面というのは結局のところ、わかりません。
ですので、推測しようとします。
そのときに自分の状態、感じ方、とらえ方を手掛かりに相手を判断しているのです。



透明性の錯覚理論を提唱した、心理学者トーマス・ギロビッチが行った検証実験があります。

嘘をつく場合に,他者がそれを見抜けるかどうかが確かめられた実験です。
嘘をつく役割の人は,「行ったことのある外国」「会ったことのある有名人」などについて話します。
そして自分が嘘をついたことが、話を聞いた参加者のどれくらいに見抜かれたのかを推測しました。

実験の結果,嘘をついた人は,自分の嘘を見抜いた人は参加者のうち平均48.8%いたと推測して答えました。
しかし実際には誰が嘘をついたのかを見抜いた人は25.6%しかいませんでした。
しかもこの値は偶然の場合と変わりませんでした。

嘘をついた人は、実際以上に自分の嘘が多くの人に見抜かれたと思い込んだのです。



人前で話す緊張に話を戻しますが、私たちが思っているほどに人には緊張が伝わっていません。

緊張しないように、緊張がばれないようにすればするほど緊張してしまうものです。
あまりそこに意識をフォーカスしないことがポイントのようです。

過去の記事でも、『プレゼンであがらずに話すには』というタイトルで
「緊張を認める」
「準備が大事」
「思いが大事」
ということについて潜在意識の作用の観点から書いています。

これらの記事も参考にしていただければと思います。



今回は『自分の緊張が人に伝わっているという思い込み』という話をさせていただきました。


最後までお読みいただきありがとうございました。


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小林いさむ|公認心理師

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