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強い人とは自分の弱さを認められる人
今回は強い人とはどのような人なのかについて書きます。
強くなりたいな、と子どもの頃から思いながら、どういう状態の人が「強い」のかを考えてきました。
・人を打ち負かす力のある人
・何を言われてもびくともしない人
・非の打ち所がない完璧な人
・威厳のある人
・体を鍛えて腕力のある人
・ケンカが強い
いずれも違うよなと。
強い人であるためには、人に負けないということよりももっと大切なものがあると思っています。
私なりに考えてきた強い人とはどういう人なのかについて書きます。
そのような人は、結果的に人との信頼関係も築きやすくなるので参考になればと思います。
私が考える強い人とは、「自分の弱さを認められる人」です。
ちょっと逆説的ですけど。
人は誰しも弱いところがあります。
けれども、弱い人間だと思われたくないので強がって自分を見せようとします。
自分の弱さを認めることができないのです。
やたらと子どもに威厳を見せようとする父親がいるとします。
内面は弱く脆いのに「父親とはかくあるべき」という虚勢から、子どもに口答えさせない父親。
(今はそんなに多くないかもしれませんが例です)
本当の強さは伴っていないのに強く見せようとしてしまいます。
自分を強く見せようとする人には、自信がないことやコンプレックスを隠そうとする心理がありそうです。
自分の弱いところを知り認めたうえで人と接することができる人は、人から信頼されます。
偽りのない自分を見せることができるので、安心感や人間らしさを示せるからです。
それでは、どうしたら自分の弱さを認めることができるのか。
それは、自分の気持ちに正直になって生きることです。
自分のことを情けないな、ちっぽけな存在だな、と思うことがあっても、それを否定せずにそのように今感じているのだと受け入れることです。
逆にポジティブな、今うれしさを感じている、これができて自分はすごい、という気持ちも正直に受け入れると良いのです。
私も自分の気持ちに正直になれた体験があり、このように考えるようになりました。
学生の頃の精神科実習での体験です。
依存症のデイケアに2週間実習したときのことです。
そのデイケアは独特の雰囲気があり、外から来た患者でもない一人の実習生を温かく受け入れてくれるという感じではありませんでした。
人とすぐに打ち解けるのが苦手だった私は、メンバーさんたちに受け入れてもらおうとどこか必死でした。
プログラムの間の休憩は特に一人にされてしまうのでとてもつらい時間でした。
そのため、私はタバコを吸わないのにメンバーさんたちが集まる喫煙所にいて疎外されないようにしていました。
それが実習の前半でしたが、それはさすがにつらかったのです。
プログラムの一つにミーティングという、メンバーさんそれぞれが、自分の考え、気持ち、内面などを語る場がありました。
毎回私は何を話したらよいのか戸惑っていましたが、そのミーティングで正直に自分の気持ちを話してみました。
人と打ち解けるのが苦手なこと、緊張が強いこと、疎外されたくなくて喫煙室にいること。
私の話をみなさん、無言でしみじみと聞いてくださいました。
それから、なんとなく雰囲気が変わり、私のことを受け入れてもらえているように感じました。
後半の1週間は少し楽になって実習をやり通せたのを覚えています。
自分の弱さを認めて開示できたことが強さであり、それによって人に受け入れられるのだということをこのときの体験から学んだのです。
強がらずに正直に自分の弱さを認めることが大事かと思います。
今回は、個人的な体験も交えながら、人としての強さとは自分の弱さを認められることではないかという話をしました。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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小林いさむ|公認心理師
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