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【考察日誌】商売の歴史から考える!売れるビジネス、長続きするビジネスの秘訣とは?vol.3

こんばんは、芝本です。

今回は、以前書いた記事「【考察日誌】商売の歴史から考える!売れるビジネス、長続きするビジネスの秘訣とは?vol.2」の続きから書いていきます。

前回の記事では、このような流れで考察を書きました。

・平安時代から戦国時代にかけて商人のコミュニティ「座」が繁栄した。
・「座」のメリットは、安定した受注の獲得と市場の独占でした。
・公益性を伴わなかった「座」は楽市楽座等で禁止され始め、その姿を消しました。
・代わりに江戸時代に登場したのは御用商人で、新たな商売人が数多く登場する時代の中でも自店のブランディングと地域の有力者との商売によってその力を伸ばしていきました。

前回の記事は、紀元前や710年の平城京ごろから起こった「座」という商人のコミュニティから書き始めました。平安時代から江戸時代の終わりまでの約1,000年間に、「座」と「御用商人」という二つの形がで登場しましたが、両方とも「安定した顧客の獲得」という共通点を持っていました。

今回の記事はその続きの時代になります。江戸時代後期から明治時代にかけて調べてみると、開国以降急激な方向転換と発展が見えてきてとても楽しい時代でした。ちょんまげに刀の時代から一気に現代に近づく時代なので、今利用しているインフラ等の導入についても楽しみながら見ていただければと思います。

では早速、文明開化の話から長続きする商売の特徴を探っていきましょう。

明治時代初期に起こった急成長

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引用:長崎大学附属図書館

江戸時代は、ペリーの乗った蒸気船の来航で唐突に終わりを迎えます。鉄の船を作る技術や、遠くまで飛ぶ大砲等、圧倒的な技術力の差を見せつけられたんですね。

日本は明治、大正、昭和と近代に近づいてきて、皆さんも知っているような時代背景へと変わっていきます。散切り頭や牛肉の文化が取り上げられる文明開化、蒸気機関の発達による産業革命、三種の神器や3Cと呼ばれた便利な家電製品、それぞれが教科書に記されるような重要な日本文化の一ページです。しかし、これらの文化が日本で発達した原因には共通点がありました。

江戸時代と明治時代の大きな違いと言えば鎖国です。江戸時代の日本は海外との交流を絶っており、最終的に貿易を許されていたのはポルトガルのみとなりました。海外からの貿易交渉使節団を処刑した例もあったようですね。鎖国のきっかけはキリスト教の弾圧だったそうです。

そんな経緯で海外との交流を絶っていた日本でしたが、ペリーの乗った黒船の来航により、日米修好通商条約が結ばれる事となります。外交に不慣れな日本は、関税等の条件面で相当不利な内容だったにもかかわらず、そうとは知らずに条約を結んでしまったと習いましたね。この条約が結ばれたのが1858年。

1867年には幕府の信用がゆらいだ事から、朝廷へ政権を返上する大政奉還が行われ時代は明治時代に。名目上は政権を返上しましたが、あくまで実権を握るつもりだった旧幕府軍に対して、攘夷派(日本の独自性を守主義思想で外国を追い払う考え)が反発。1868年 - 1869年にかけて戊辰戦争が続きます。結果は攘夷派の勝利で終わりました。

ここまでが歴史の復習。ふーん、確かに習った気がするなぁで大丈夫です。

明治政府の急成長の秘訣は「パクる」こと

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引用:【第2回】冷静沈着な名宰相!日本近代化の父・大久保利通

ここからが個人的に「日本すごいなぁ」と思う部分なんですが、新政府(明治政府)の中核に就いた木戸孝允や大久保利通は、攘夷派の考えから「諸外国に負けない近代国家日本に、いかに早く成長させるか」を考えたそうです。

その変革ぶりは江戸時代の鎖国を一気に取り戻す勢いで、1871年には各地の反対を押し切って廃藩置県を断行。これによって大名による分権社会から、明治政府の中央集権制へと体制を変えました。外国との戦争になった際に、全兵力を招集する権利を政府が握るというのが大切だったようです。

廃藩置県の数か月後には、岩倉具視を団長とする使節団を海外に派遣。後に帰国組と残留組で派閥が分かれてしまう原因にもなりますが、多くの権力者を海外に学びに行かせた施策は英断だったと思います。初代内閣総理大臣である伊藤博文も、この使節団に参加していました。戊辰戦争が終わってからたった2年後の出来事です。

どれぐらい急激な変化だったのか。
分かりやすいのがインフラ関連の発達です。1869年ごろから電信線(当時は電話音声ではなく文字を届ける線だったようです)の整備を始めて、1875年には長崎から北海道までが電信線でつながれます。これまで一週間以上必要だった情報伝達が数秒~数分に変わるわけですから、どう表現していいかわからないぐらいすごい進歩ですよね。

1871年には飛脚に変わって郵便制度が始まり、全国で統一料金が設定されました。これは海外とのやり取りを視野に入れた動きで、1877年には万国郵便連合条約に加盟。

同年に電話も導入して、明治時代に変わってからわずか10年で、情報伝達の面で諸外国と肩を並べるに至りました。1872年から1877年にかけての鉄道導入も歴史的な進歩ですね。ちょんまげに刀で戦争をしていた所から、終戦と同じ年に電線の整備をはじめ、わずか2年後には郵便制度を導入し、翌年に鉄道を整備されていると聞くと圧巻です。

年数は重要では有りません。スピード感がいかに凄まじかったかを感じていただければ十分だと思います。この、外国を真似ると大きな進歩が得られるという学びが、先ほど書いた文明開化や産業革命、家電製品の発明へとつながるのです。

外国人技術者を招聘してパクった

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近年中国のパクリ問題が取り上げられていましたが、明治時代の日本もとやかく言えたものではなかったそうです。多くの外国人技術者を多額の給料で招聘し、技術を国内に定着させたのです。

お雇い外国人は延べ3000人ほどで、ピークの1876年には500人以上が来日しているそうです。給料面も破格で、『トーマス・キンダー』というお雇い外国人には月額1045円と、政府の太政大臣・三条実美の月額800円を超える報酬が支払われています。このような外国人技術者のおかげで、日本における産業革命が成し遂げられ、海外の発明を元にカラーテレビや便利な家電が作られたんですね。

現代でも、少し前までは日本の技術者が東南アジアの企業に引っこ抜かれる事例があったようです。悪い意味で使われることが多いですが、いい意味でも歴史は繰り返されるという事ですね。これほど、学ぶ(真似る)を体現している時代は他にはないんじゃないかと思います。模倣する。パクる。最近でも良く聞く商売の原理原則ですね。

歴史を振り返った学び

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長い歴史のお勉強も、ついに現代へたどり着きました。

・生活に密着した物を扱う。
・数(コミュニティ)の力を活用する。
・社会的利益も大切にする。
・流行に左右されない商売。
・先に成功している例から学ぶ。
・新規参入が少ないか、参入されても問題ない程のブランド力を持っている。

何度も書いていますが、歴史から学ぶ事は非常に多いですね。
最後に、これまでの学びを活かしてこれからの商売を考えていきましょう。

上記の学びは大きく分けて3つに分類できます。

一つは「何を扱うか」
ほとんどこれと言っても過言ではありません。生活に密着した物を扱う、流行に左右されない商売をする、というのは歴史から学んだ通りです。

老舗と呼ばれるお店の多くが薬や衣類、お酒や伝統工芸を取り扱っているのがわかりやすい例ですね。どんな物やサービスを扱うかを決めるときは、先に成功している例から学ぶというのも大事なポイントでした。

斬新なアイディアもいいけれど、既にある成功例を学べという事ですね。ただし、当然既にある商売に食い込んでいく強みも必要です。

二つ目が「見られ方」
社会的利益も大切にする。新規参入が少ないか、参入されても問題ない程のブランド力を持っている。一見すると共通点がない二つの要素ですが、外からの見られ方という意味で共通していると考えます。

いい例が通信事業かなと思います。NTTから始まった通信事業は、情報面で日本という国を支えています。もし、NTTや大手キャリアが今この瞬間になくなったら日本はとても困りますよね。日本の発展に貢献しているという意味で、通信事業は社会的に貢献しています。

ただし、これが市場の独占に甘んじて高額な料金設定をしていたとしたら。既得権益を守るために、様々な手段で新規参入を妨害していたら。座制度から学んだ通り、技術の発展を妨げる企業になっていた場合は国から何らかの対処がされていそうですよね。実際、通信業界は寡占業種として良く例に挙げられますし、社会性と利益追求に折り合いをつけた業界です。

ブランド力も、商売を始めてからどんな方針で経営を進めていくかが問われる所ですよね。シャネル、グッチと言えば世界規模で有名は高級ブランドです。三越と言われれば少しお高いイメージですし、ユニクロと言えば安価な洋服のイメージ。イタリアンレストランと聞けば雰囲気が素敵でデートにいいかもと思い浮かべますし、居酒屋と聞くと会社の同僚や友達と行く場面を思い浮かべます。シャネルが創業当初にどのように噂されていたかは知りませんが、少なくとも創業後に安っぽい看板や内装で営業していたり、商品の価格帯を安くしていたとすると今のようなイメージにはなっていないでしょう。飲食店を出店する際にも、どんなお店にするのかイメージして”イタリアン””バル””居酒屋”等の名前をつけると思います。

国からどうみられるか、消費者からどうみられるか。何を売るかも大事ですが、見せ方も大事ですね。

三つ目が「コミュニティ」
これだけ毛色が違いますよね。特にここ数年でオンラインサロン等のコミュニティが急激に増えてきています。このコミュニティが現代の商売において、どのような価値を持っているのか、どのように活用していけるのかはまた別の記事で執筆していきます。

本日はここまで。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございます。

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