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『廃病院の囁き』

割引あり

登場人物紹介
主人公: 探索好きの大学生。好奇心旺盛で、廃病院の都市伝説に興味を持つ。
ユウキ: 主人公の友人。廃病院探索後、奇妙な体験を経て一時失踪する。
その他の大学生グループ: 主人公とユウキと共に廃病院を探索する仲間たち。

あらすじ
『廃病院の囁き』は、探索好きの大学生グループが、都市伝説に包まれた廃病院を訪れることから始まる物語です。彼らは廃墟となった病院で不可解な現象に遭遇し、一人の友人が失踪する事件に直面します。失踪した友人を求めて再び廃病院を訪れた彼らは、亡くなった人々の未解決の思いに触れ、見えない世界との深い繋がりを感じ始めます。この体験を通じて、彼らは生と死、そして人々との絆の重要性を学びます。

目次
序章: 廃病院の都市伝説
第一章: 探索の始まり
第二章: 不可解な現象
第三章: ユウキの失踪
第四章: 再訪と真実の探求
第五章: 亡き者たちのメッセージ
結章: 絆と学び

この物語は、ただのホラー体験談ではなく、見えないものへの理解と、人としての成長を描いています。リスナーの皆様には、ただ恐怖を感じるだけでなく、物語を通じて得られる深いメッセージにも注目していただきたいと思います。

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廃病院の囁き

夜の帳が下りた週末、私たち探索好きの大学生グループは、都市伝説の舞台となっている廃病院への冒険を決意した。その病院は、かつて多くの患者が謎の病に倒れ、今ではその霊がさまよっていると噂されていた。私たちは霊感など信じていなかったが、好奇心がそれを上回っていた。

病院の敷地に足を踏み入れると、異様な静けさが包み込んできた。月明かりだけが頼りの中、私たちは懐中電灯を手に、ゆっくりと建物の中へと進んだ。廃墟となった病院は、その歴史を物語るかのように荒れ果てていた。壁は色褪せ、床はがらんどうで、所々に残された医療器具が静かに時間の経過を物語っていた。

最初に異変を感じたのは、小児科の前を通りかかった時だった。ふとした瞬間、背後から子供の笑い声が聞こえてきたかのように思えた。振り返ると、そこには誰もいない。ただ、不気味な静けさが私たちを取り囲んでいた。その瞬間、一瞬だけだが、全員の心臓の鼓動が早くなったことを感じた。

探索を続ける中で、私たちは病院の地下室へと向かうことにした。噂によると、地下室は特に怪奇現象が多発する場所で、多くの探索者が足を踏み入れた後、奇妙な体験を語っていた。階段を下りる足取りは重く、各々の息遣いが響く。扉を開けると、そこは完全な暗闇が広がっていた。

地下室に足を踏み入れると、突然、空気が変わった。冷たい風が吹き抜け、何かが私たちを見ているような感覚に襲われた。そして、壁には不可解なシンボルが描かれ、床には古びた人形が散乱していた。一つの人形が、まるで私たちを見ているかのように、不気味に座っていた。

その時、ふと、全員が静止した。地下室の奥から、かすかに誰かが囁く声が聞こえた。言葉ははっきりしなかったが、その声は明らかに人間のものではなかった。恐怖が私たちを包み込む中、突然、人形の一つが動き出したように見えた。それはまるで生きているかのように、ゆっくりと私たちの方を向いた。

パニックに陥った私たちは、地下室からの脱出を試みた。階段を駆け上がり、建物から飛び出ると、背後から閉じる扉の音が響いた。外に出た瞬間、急に全てが静かになり、先ほどまでの恐怖が夢だったように感じられた。

しかし、その夜以来、私たちは何かが変わったことを感じている。あの廃病院で何を見たのか、何を感じたのか。それは今でも誰にも語ることができない。ただ一つ言えることは、あの廃病院には、私たちの知らない何かが確かに存在しているということだ。それは、今もなお、私たちの心の中で囁き続けている。

逃げ出したあの夜から、私たちの日常は微妙に変化し始めた。学校での授業中、家での一人の時間、さえぎることのない静寂の中で、あの夜の囁きが耳元で響くような錯覚に襲われる。それはまるで、廃病院から何かが私たちを追いかけてきたかのようだった。しかし、そんなことはあり得ない。ただの気のせい、ただの後遺症だと自分に言い聞かせた。

数週間後、その出来事はさらに奇妙な方向へと進展した。私たちの一人、ユウキが突然行方不明になったのだ。ユウキは廃病院の探索後、特に精神的な影響を受けているように見えた。夜な夜な悪夢にうなされ、眠れぬ夜を過ごしていたと聞いていた。そして、ある朝、彼の部屋には彼の姿がなく、窓が開け放たれているだけだった。彼の家族も、友人も、誰も彼がどこへ行ったのか知らなかった。

ユウキの失踪をきっかけに、私たちは再び集まり、何が起こったのかを話し合った。あの廃病院に何かがあるのではないか、もしかしたらユウキはあそこに答えを求めに行ったのではないか。そう考えた私たちは、恐怖を抑え、もう一度あの場所へ行くことを決意した。

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3,291字

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