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物語綴り

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2022年4月の記事一覧

誰かの涙を想像して

誰かの涙を想像して

雨が窓を叩く。雨が降る日は気分も下がり気味。出かける気分にもなれない。

ぼーっと外を眺めなていた視線を手元の本に落とした。ちょうど雨の描写のシーン。今日みたいな日常シーンかと想像と現実を重ね合わせながら読み進める。

『雨は誰かの涙。』

この一文を読んだ瞬間、そういえば最近自分が涙を流さなくなったことに気がついた。読書を切り上げて、また外を眺める。庭の花から滴る雫もどこかで泣いてる誰かの涙かと

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澄み渡る青空、空高い位置にある雲。そして夏の気配を感じさせる気温。
そして眩い光を反射させる白のワンピースを纏う君は、裾を翻してこちらを振り返る。その顔に浮かべる表情は青空に負けないくらいの清々しい笑顔で私の名前を呼ぶ。幼い頃から変わらないそんな姿に憧れを抱きながら今日も隣に立つ

物語綴り

物語綴り

夜の闇に白く浮かぶ夜桜。
仕事終わりコンビニに立ち寄って買った、チューハイをひと口。あわせて買ったつまみを食べてひと呼吸。忙しさに忘れそうになる周りを見る余裕。明日は休みだから、ここらでひと休み。誰かと見る桜もいいけれど、一人でのんびり見る桜も風情がある。

明日もこの場所であいつ見る桜。きっとそれも特別な時間。仕事会えなかった時間を埋めるように甘えるのもありかもしれない。酔いがまわった思考回路に

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溺れる。それは探究心を持てば持つほど深く、奥深く溺れていく。
この感覚を共感するものはどれくらいいるのだろうか。書物にあふれる空間で知識を貪り、知識に溺れる。
贅沢で幸福な時間。
今日も私は、あの場所に向かう。誰にも邪魔されず味わうために。今日も私は溺れるのだ

幸せの連なり

幸せの連なり

部屋に入れば、「しー」とジェスチャーをするあなたがいて、そのまま視線を横にずらせばすごい寝相で眠るあの子の姿。

思わず笑顔になるくらい愛くるしい。すぐに体勢が変わってしまって、いつもの寝相に。写真に収められなかったのは残念だけど、心の方に焼き付けたあの姿。

あなたと笑顔で顔を見合わせた時間もひとつの幸せ。穏やかなこの幸せが永く続くこと願って私も隣に寝転んだ。