ピアノを拭く人 第4章 (1)
遮光カーテンの隙間から、金色のヴェールが差していた。彩子は、エアコンを点けずにベッドから身を起こし、昨夜の名残のある部屋を見回した。昨夜、同期会を終えた後、鈴木とZoomで話した。彼女に、透との関係を反対されると思った。だが、この年齢になって条件を考えずに好きになれる相手は貴重で、頼りにされることに生きがいを感じる彩子に合っているのではと背中を押された。
しんと冷えた空気と、2021年を迎えた清々しさが、次第に心身を覚醒させていく。彩子はカーテンを勢いよく開けて新年の朝