見出し画像

地方企業がIT人材を採用しようと思ったら その2

こんにちは、ITエンジニア採用支援の東雲総合研究所です。

以前こちらのnoteで「地方拠点の企業が採用する時に確認したいこと」を網羅的にまとめました。

上記記事では、採用ターゲットを地域別に、「首都圏」「地元」「他地域(首都圏以外)」「海外」の4つに分け、地方拠点の企業は「地元在住のIT人材」および「他地域在住のIT人材」をターゲットとすることを提案しましたが、本記事ではこの2つのターゲットに対し、どのような採用戦略を取るべきかを考察します。

従来の処遇で求める人材は採用できない?

採用代行業務を通じて日々感じるのは、企業が求職者に出す大半のオファー額が、求職者が求める処遇よりずいぶん低いということです。残念ながら、企業が提示する処遇と求職者が求める処遇が一致することはほぼないと言えます。(とはいえ一定以上の提示をする企業も増えてはきています)
十分な経験年数と専門的なスキルを必要とする求人は多いですが、処遇はというと、お世辞にも魅力的とは言えないものが大半です。おそらく、会社の規定に沿った処遇設定を行なっているのでしょう。しかし、求職者にとって魅力のない処遇では、どれだけスカウトを打とうが大きな広告を出そうが、いつまで経っても彼らのアンテナに引っ掛かることはありません。

求人を出している企業側としては、売り手市場であるという現実を受け止め、何らかの見直しをしなければならないのです。
企業が行うべき見直し施策について、ターゲット層と処遇という2つの側面から検討します。

見直し施策1:ターゲット層の見直し

採用市場におけるIT人材の属性は、現在30〜40歳代のミドル層が少なく、若手やシニアクラスが中心です。ところが、求人を出している企業の大半が採用したいのは、まさに人材不足のミドル層。少ないパイを奪い合っている状態です。
レッドオーシャンに飛び込んでも、知名度が低い上、採用に人も時間も割けないスタートアップや中小企業に勝ち目は薄い。
このため採用ターゲット層を、育成を前提に、IT実務の経験が薄い若手層にスライドすることを提案します。
即戦力とはならず、当面は育成投資が必要となりますが、知識やスキルを習得してもらうとともに、実務の第一線でプレイヤーとして経験を積んでもらうことで、数年後は十分な戦力となることも期待できます。

育成前提で採用する場合の留意事項としては、育ったら離職しないような退職防止策を検討すること、そしてあくまでも育成枠・育成投資である認識を、経営層のみならず一般社員も共通して持っておくことが挙げられます。

見直し施策2:社内人材の異動

外部から人材を採用することに加え、すでに社内にいる人材の異動・リスキリングも一つの方法です。社員の中に、自己啓発としてIT関連の自己学習をしている人はいませんか?異動希望を出している人は?
現在はITに関連しない職種の社員でも、異動の上リスキリングを行えば、十分活躍の余地はあります。

異動と職種転換を成功させるポイントは、ミッションを明確にすることです。異動先での期待と役割を明確にすることで、スキル形成が容易になりますし、双方納得感のある評価にも繋がります。
御社では、社員の保有スキルやアスピレーションを把握していますか?異動希望は確認していますか?社内異動を検討した際、候補者がサッと揃えられるかどうかは、普段適切に人材マネジメントを行なっているかの試金石にもなりますね。

見直し施策3:雇用形態の工夫

IT人材の採用を考える時、雇用形態は正社員のみを想定していませんか。採用という側面で、首都圏の企業に比べて不利な状況にある地方企業においては、正社員以外の柔軟な雇用形態を考えてみてはいかがでしょうか。

副業として求人を行う

副業に関する関心はコロナ禍以降ますます高まっており、潜在的に副業を検討している労働者は少なくないと言えます。川上淳之「副業の実態と課題」によると、2017年時点で実際に副業を行なっている人は4.0%ですが、副業希望率は6.7%となっています。現在はこれを上回る数の人が副業を視野に入れていると考えて良いでしょう。

基調講演「副業の実態と課題」労働政策フォーラム より

副業の場合、現在の勤務先を辞める必要がないこと、また業務負荷がコントロールしやすいことなどから、転職と比較すると取っ掛かりのハードルは低いでしょう。このため、副業として人材を募集することは、正社員の募集に比べ、即戦力となる人材をタイムリーに採用できる可能性が高まると考えられます。

副業で人材を募集する際の注意点としては、今後もずっと副業前提で採用するか、いずれ正社員化を視野に入れた採用なのかを明確にしておくことです。求職者とのニーズがマッチしない可能性や、思い違いからトラブルになる可能性もあるため、口約束ではなく、雇用契約書に明確に記載しておくことも必要です。

弊社では副業人材向けの募集要項作成やスカウト、副業媒体の運用も対応可能です。ぜひお問合せください。

嘱託の活用

IT人材に高額の報酬でオファーしたいが社内規則の改訂が難しい場合もあるでしょう。このような時、嘱託として雇用する方法を提案します。
嘱託雇用は定年後の雇用形態として利用されることが多いですが、通常の正社員の給与レンジではおさまらない高額の報酬が必要となる産業医などの職種でも活用されています。雇用期間など確認する項目はありますが、IT人材にも嘱託という雇用形態を活用する余地はあるのではないでしょうか。

終わりに

これまで見てきた通り、IT人材市場においては企業が採用したい年代の求職者が少ないため、何らかポイントをずらす必要があります。
採用ターゲットとする人材の年齢層や経験、雇用形態など、本来採用したいスペックから少しポイントをずらすと、採用できる可能性は高まります。完璧な人材が採用できる日をいつまでも待つのではなく、採用可能性が高い層から確実に採用する戦略を取ってみてはいかがでしょうか。

とは言え、そもそもIT人材や業界の実情が分からないことには、求めるポジションに対してどのように人を当てるか、採用するならどういった層をターゲットとするか、戦略を立てることも難しいでしょう。求める人材像をどうアレンジするかを判断できる程度には、経営層がITに明るいことも大切であると言えます。

自社での採用が難しい、専門知識を有する人にサポートを相談したい場合は、ぜひお気軽に弊社までお声掛けください。今回もお付き合いいただきありがとうございました。

東雲総研ではいつでもお仕事を募集しております。
ページ下部にある「お問合せ」よりぜひご連絡ください!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?