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地方企業がIT人材を採用しようと思ったら

はじめに

こんにちは、ITエンジニア採用支援の東雲総合研究所です。
DX推進や社内システム刷新など、IT関連の課題を抱える企業は多く、業種や会社所在地を問わずIT人材の需要は高まっています。
しかしIT人材は首都圏に集中しているため、地方を拠点とする企業にとって、IT人材の確保は首都圏の企業より難しいと言えるかもしれません。
そこで本記事では、首都圏以外の地域を拠点とする企業が、IT人材の採用を検討しはじめた時に知っておくべきこと、実施してほしいことをご紹介いたします。

1.IT人材の現状

まずはIT人材の動向を確認しましょう。
以下の経済産業省資料からの引用をご覧ください。

東京のIT関連産業(情報通信)企業への集中も顕著な状況。IT人材の東京のIT企業の集中により、地域 のデジタル化を推進するIT人材の不足は課題。

 経済産業省「我が国におけるIT人材の動向」

引用部の通り、IT人材の集まるIT関連企業は東京への集中が顕著な状況となっています。理由としてはIT産業が東京に集中しているからですが、IT関連部門の候補者となりうる人材が地元に少ない点において、IT人材の首都圏集中は、地方企業にとって人材確保の面で大きなネックであることが分かります。

2.どの地域を採用ターゲットとするか

IT人材の東京一極集中を認識した上で、自社の採用ターゲットとなる地域を整理し、採用戦略を考えていきましょう。採用を検討すべき人材を地域別に4つに分けました。

 (1)首都圏のIT人材
上記でご紹介した東京をはじめとする首都圏在住の人材です。
下のグラフをご覧ください。
東京を拠点とするIT関連企業は51.1%となっていますが、この数字からもどれだけIT人材が首都圏に偏重しているかが分かります。候補者数としては一番人数が多いですね。

経済産業省「我が国におけるIT人材の動向」より引用

(2)地元在住のIT人材
次に、地元在住のIT人材。どの企業にとっても一番採用したい属性の候補者です。ただIT関連で即戦力となる地方在住の人材は希少であるため、現職企業としては手放したくないでしょうし、転職市場でも取り合いとなることは必至でしょう。

(3)他地域(首都圏以外)在住のIT人材
地元地域以外に居住しているIT人材も、フルリモートを前提とした働き方が実現できれば採用チャンスがあります。地元・首都圏以外在住の人材も十分に候補となり得ます。

(4)海外のIT人材
高度な専門知識を持つ海外のIT人材も候補者として考慮に入れておきましょう。
日本のIT産業で働く外国人材の出身国で一番多いのは中国ですが、今後はIT大国であるインド高度人材を採用する日本企業も確実に増えるでしょう。
具体的に採用を検討する際には、海外から新たに人材を呼び込むより、日本企業での勤務経験がある海外人材を採用する方がカルチャーギャップが少なく、企業側・働く側双方にとって良い結果を生むと考えられます。

JETRO「世界で活躍するインド高度人材を、日本企業競争力強化の即戦力に」より引用

採用活動をスタートする前には、これらの候補者群のうち、どこをターゲットにするかを明確にする必要があります。
IT人材が不している中、地元にゆかりのない首都圏在住者に目を向けてもらうのは至難の業。現在の主流は、 (1)首都圏のIT人材のUターン・Iターンを狙うか、(2)の地元IT人材から採用する の2つでしょうが、この層からの人材確保に苦労している企業は大変多いのが実情です。
このため、(2)地元在住のIT人材 に加え (3)他地域在住のIT人材 を候補としたうえで、即戦力ではなく育成する前提で採用することも検討してみてはいかがでしょうか。

どんな人材をどのように採用するかは、長くなるのでここでは省略しますが、ターゲット層と採用方法についてはまた頁を改めて考えたいと思います。

⒊ 採用検討時にやるべきこと

採用ターゲットとなる地域を明確にしたところで、会社として具体的に行うべきことを4つ提案します。

知名度向上

当たり前のことですが、まずは広く自社の知名度を高めることが必要です。IT技術や自社コンテンツに関するセミナーの開催や、業界イベントや地域イベントへの登壇、採用媒体への露出など、採用に直結しないことも含めて継続的に行うことがポイントです。

競争力のある処遇設定

前掲の経産省資料には、優秀なデジタル人材の採用を行う際、日本の企業でも通常より高い報酬水準を設定するケースがあることが記載されています。

米国等の海外では、AI・データサイエンス等に関する高いスキルを持つデジタル人材の採用の際に、高額の報酬水準を提示する例が増えている。こうした流れを受けて、我が国でも、優秀なデジタル人材の新卒・中途採用を行う際に、通常よりも高い報酬水準を設定する例がみられるようになっている。

経済産業省「我が国におけるIT人材の動向」

その一方で、「 DXを進めているユーザー企業においても、IT人材の給与水準は、全社的な給与水準とほぼ変わらない傾向が見られる」とも記載があり、会社によって処遇の設定にばらつきがあることが伺えます。

ただでさえ売り手市場の中、会社や事業によほどの魅力がない限り、いえ、たとえ魅力があったとしても、低い処遇で振り向いてくれる求職者はいないと考えられるでしょう。近年、首都圏のIT関連企業が出すオファー額は驚くほど吊り上がっているためです。
自社が求めるスキルを明確にするとともに、それに見合った処遇の検討は不可欠です。年功的な賃金制度を採用している会社なら、思い切って賃金制度の改定や、規定外の特別なオファーも真剣に考える必要があります。

働く環境を整備する

求職者に振り向いてもらうためには、スキルに見合う適切な処遇設定とともに、処遇以外の魅力付けも必須です。
フレックス勤務制度や在宅勤務制度はマスト。副業OKとしたり、短日勤務や短時間勤務制度を導入するなど、フレキシブルな勤務形態を整えられないか考えてみましょう。

また、どんなに魅力的でユニークな制度があったとしても、利用しづらい雰囲気ならば意味はありません。ここに関しては、経営層をはじめとした全社員のワークライフバランスへの理解が求められます。
一人一人に、育児や介護、自己啓発などの仕事以外にやりたいこと・実現したいことがあると理解し、互いにフォローし合える仕組みと雰囲気作りを行う必要があります。

この会社だからできることは?

求職者に対する自社の強み・訴求ポイントを明確にしましょう。
例えばITの立場から経営参画ができる、首都圏と変わらない高度な業務が経験できるなど、社員が自社の業務経験を通じて成長できるポイントは何かを考え、明確にしておきましょう。
IT人材はその他職種の人材に比べ、スキルアップに対する意識が高いことがデータで示されています(前掲の経産省資料より)。高度な仕事に関われることや、業務を通じた成長経験が提供できることは必須の条件と言えます。
そのほか、業務を通じた地域への貢献や業界変革など、IT×自社サービスや製品で強みを言語化してみるのも良いかもしれません。

⒋ 終わりに

IT人材の需要はますます高まっており、IT人材市場はその他職種に比べても特に売り手市場です。
求める人材の採用が困難であることを前提に、具体的な採用活動を始める前から、できることには手をつけておくべきと言えます。
本記事でもいくつか策を提言しましたが、全て同時に実行するのは現実的ではないかもしれません。自社はどこから手をつけるべきか、会社の実態と欲しい人材像を明確にしながら、まず整理してみることをお勧めします。


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